迷ったらカムリ!? アメリカで年間40万台も売れるほど人気な理由

地味な存在は北米でも同じ!?

トヨタ カムリ 2017

カムリが生まれたのは1980年。当時あったスポーツハッチバック、セリカのセダン版として、セリカ カムリの名前で登場しました。ちなみにカムリの由来は、"冠"から来ているのだとか。

2代目は1982年に登場。FRからFFに駆動方式が変わり、これを機会に「カムリ」という独立車系になっています。これが現在のカムリの源流です。

しかし、それ以降のカムリの日本国内のイメージと言えば、こんなことを言うと失礼になりますが、クラウンの廉価版的なイメージがつきまとい、あまりヒットはしませんでした。ところが、海の向こうのアメリカではちょっと事情が違っていました。

1970年代後半のアメリカというのは、自国の自動車産業が非常に衰退した時期でした。オイルショックや排ガス規制強化により、アメリカの自動車はそれまでのハイパワー、フルサイズ主義から転換を強いられます。ですが、当時のアメリカ自動車産業は経営難、商品開発の失敗などにあえいでおり、小型で性能のいい日本車やドイツ車にシェアを奪われていたのです。

カムリがアメリカに上陸したのも、ちょうどこの頃。1982年に登場したばかりの2代目が、北米をはじめ世界に輸出されたのです。軽くて燃費が良く、排ガスもきれい、装備も良くて壊れないトヨタの世界戦略車カムリは、徐々にアメリカの人々の信頼を得て、販売台数を伸ばしていきました。

日本人には、なかなかわからない感覚ですが、当時アメリカのベーシックだったフルサイズセダンに比べると、カムリは実用的でコンパクト。つまり”ちょうどいい大きさ”、そしてなにより評価されたのは、壊れにくかったことです。

自動車は年中修理工場にあるものだと思っていたアメリカ人にとって、カムリは驚異的な車に映ったことでしょう。その証拠に、アメリカでレンタカーと言えば、ほとんどがカムリ。彼の地のユーザーを修理ストレスから解放したことは、カムリ成功の要因のひとつだったに違いありません。

とは言え、カムリは彼の地でも”あまりイケていない車”だったようです。ですが、80年代のアメリカは決して景気が良かったわけではなく、目立たないデザインだけど性能はいいし、実用性は十分…というカムリは、アメリカの中間層を中心にシェアを獲得していきました。

その結果、北米乗用車ランキングでは、15年間もトップを記録。トータルランキングでも4位。上位3位を、すべてピックアップトラックが占めているのは、アメリカならではの事情です。

ちなみに2016年の北米でのカムリ販売台数は、なんと38万8618台。人口の多い国とは言え、その数は驚異的と言えるのではないでしょうか。

もはやカムリはトヨタのイメージリーダー

トヨタ カムリ (2007)

しかしカムリは、徐々にイメージを変えて進化していきます。特に2006年に登場した8代目は、従来のイメージとは異なる挑戦的なエクステリアデザインになりました。

さらに2011年に登場した9代目は、これまでのカムリのイメージを一新するアグレッシブな外観で、これは現行型につながるデザインとなっています。

そして2017年に登場した10代目は、もはやかつての大衆車イメージは微塵もありません。スポーティかつラグジュアリーな内外装は、トヨタの世界戦略車にふさわしいものです。特にサイドのアクセントラインの美しさは、レクサス車も顔負けです。

意外と国内では知られていませんが、カムリは北米だけでなく、欧州やアジア、中東諸国など100か国で販売されています。今後、世界のスタンダードなセダンになるために、トヨタは大胆なイメージをあえてカムリに与えたのでしょう。

トヨタ カムリ 2017

話をもとに戻しましょう。

現行型カムリは、これまで同様に非常に北米市場に好意的に受け止められているようです。トヨタは数代前から、アメリカで人気の自動車レース、NASCAR(ナスカー:National Association for Stock Car Auto Racing)にカムリのレースカーを参戦させており、イメージ戦略を怠りませんでした。

カムリはレースにも出ているスポーティさも持っている(もちろんレース専用車両ですが)というイメージを、アメリカの一般大衆に刷り込んでいきました。日本では9代目以降のカムリのイメージチェンジに驚いた、というか付いていけない人も多いようですが、アメリカ人はそうではないようです。

新型カムリ2017

さて、アメリカ市場の話ばかりしてきましたが、じつは日本市場でも、トヨタはカムリをメインモデルにしたいと目論んでいるようです。

現在、日本ではクラウンやマークXといった上位モデルが存在しますが、旧態依然としたFRボディであるうえに、市場でも決して成功しているとは言えません。昨今の噂では、マークXは廃止になる…とも言われています。クラウンも、先の東京モーターショーで次期コンセプトモデルが発表されましたが、やはり苦戦しています。

現行型カムリは、トヨタが力を入れているTNGAプラットフォームを使っています。トヨタ車のデザインアイデンティティである「キーンルック」はこの代でさらに明確になり、もはやマークXはかすむほどのアグレッシブなデザインになりました。室内の意匠も非常に美しく、300万円台がメインストリームの車とは思えない豪華さです。

日本国内でも、発売以来好調な売れ行きを見せており、2018年2月の販売台数は2,451台、前年比は950%を記録しました。販売台数は徐々に落ち着くと思いますが、今後は国内でもトヨタの主要モデルとなるのは間違いなさそうです。

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