雪国で見かける道路の融雪、これってどういう仕組み?

融雪

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2018年の冬は、日本列島が最強寒波に覆われ、九州南部でも積雪が観測され、関東地方も約20cmの積雪を記録。さらに雪の多い北陸や上越地方では、ひと晩で約1mもの積雪があったといいます。それでもほぼ通常通り日常生活が行われていた雪国の道路の融雪は、どういう仕組みになっているのでしょうか?
Chapter
雪国の道路の融雪対策
凍結防止剤の仕組み
ロードヒーティングの仕組み
融雪パイプの仕組み

雪国の道路の融雪対策

冬季ごとに積雪に悩まされる雪国では、建築物や道路の積雪対策はマストです。建築物なら屋根を急勾配にして、あえて雪止めを設置せず雪を落下しやすくしたり、たいらな屋根では1℃程度まで暖めて積雪しないようにしています。

一方、道路での積雪対策はというと、おもに3つあります。それが凍結防止剤、ロードヒーティング、融雪パイプです。それぞれの仕組みを見ていきましょう。

凍結防止剤の仕組み

凍結防止剤は、凍結抑制剤とも呼ばれます。雪が降るまえに道路に散布して、路面の凍結を防ぎます。成分は、おもに塩化ナトリウムです。

路上への降雪が積雪となる場合、路面の温度は大抵-1から-2℃程度です。ここに塩化ナトリウムを散布すると凝固点低下作用が起こり、路面凍結を起こりにくくします。ちなみに濃度約23%の飽和食塩水の場合で、凝固点は約-21℃にまで下げることが可能です。注意したい点は、気温があまりに低い場合は、効果が見込めないことです。

また融雪剤として使用される塩化カルシウムは、水分と反応する際、熱を発生させるのでこれによっても積雪を溶かします。凝固点も、最大濃度では約−50℃と凍結防止剤としても高い効果が期待できます。

ただし、塩害の点ではデメリットが多いので、現在は塩化ナトリウムが多く使われる傾向になるようです。

また、いずれの場合も、塩害によりアンダーボディが腐食しやすくなります。冬季とはいえ、アンダーボディの洗車は欠かせませんね。

ロードヒーティングの仕組み

雪国では比較的新しい融雪設備で、歩道やマンション内の通路に採用されることが多いようです。道路の表面を1~2℃程度に温め、降雪がすぐに溶けるようにします。溶かされた水は1~2℃に暖められているので、周囲の凍結も防げます。

道路面を温める熱源としては床暖房同様、電熱線や熱パイプが主流です。この熱パイプは電気によって暖められます。電気代がかさみそうですが、温度は1~2℃に保たれるので熱量もわずかで済み、電気代も比較的安価です。

ロードヒーティングに使用される電熱線や熱パイプの問題点は発熱量。比較的少ない発熱で作動しているため、極低温下では融雪効果が薄れてしまいます。

融雪パイプの仕組み

毎冬、道路に60cm程度積雪する地域では、古くから融雪パイプが道路のセンターライン上に設けられてきました。この融雪パイプから、冬でも水温が高い地下水を噴出させ、温度差と水量により雪を溶かします。

設備の設置や維持に費用がかかるため、重機による除雪よりもコスト的に安価と認められる場合、甚大な積雪により市民生活が脅かされる場合、豊富な地下水がある場合など、設置条件は限られています。

融雪パイプの問題点は、道路が水浸しになるので歩行者が水跳ねの被害を受けやすこと、凍結防止のためつねに地下水を噴出させておく必要があることが挙げられます。

融雪パイプは主要幹線道路にしか設けられていないことが多く、そこから脇道に入るとスタック覚悟なほどに積雪していることが多々ありますから、油断せず運転することを心がけてください。

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