車にちょんまげ!? なんのためにあるの?

ちょんまげ

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一般道ではあまりお目にかかることのない、車のちょんまげ。正確には力士のようなちょんまげではないのですが、ルーフ上に設置される、穴の開いた部品が、なんとなくそう見えることから通称ちょんまげと呼ばれているようです。これには、どのような役割があるのでしょうか。
Chapter
車のちょんまげは、機能部品だった!
ちょんまげの機能
バブル時代は人気のドレスアップアイテムだった!?

車のちょんまげは、機能部品だった!

高性能なレーシングカーや、そのストリートバージョンでみられる、ルーフ上のちょんまげ。正式にはエアインテーク、エアダクトに大別される機能部品です。

ちなみにルーフ上のエアインテークを”ちょんまげ”と呼んだのは、スーパーGTに初代NSXで参戦したホンダ関係者とのこと。世界では、インダクションポッドまたはエアインテークと呼ばれており、共通語にはなってはいない模様です。

ルーフ上にエアインテークを装備する車には、運転席背後にエンジンを搭載するミドシップ(以下MR)レイアウトという共通点があります。通常、フロントにエンジンがあれば、フロントバンパーやグリルの開口部を大きくとれば、エンジンルーム内への空気の導入には苦労しないのですが、MRではエンジンがキャビン背後に位置するため、空気の流入経路を確保しなければなりません。

そこで、市販モデルの多くはドア後端にエアインテークを設けるのですが、走行中に発生する気流は自動車の側面では車体から剥離し、気流そのものも乱れサイドエアインテークからの空気の流入量はハイパフォーマンスカーには不十分。エアロダイナミクス的には車体上部からの空気流入が一番効率が良いため、ルーフ上にエアインテークを設けるのです。

では、ちょんまげの機能を詳しくみてみましょう。

ちょんまげの機能

ルーフ上のエアインテークをレースカーや直系ストリートカーが採用する理由は、おもに3つあります。

その①:エンジンルームへの空気流入

ひとつ目はエンジンルーム内に、積極的に空気を送り込むためです。

最近の新型車はどの車もフロントグリルが大きく口を開けていますが、これはエンジンの熱効率が向上したためです。言い換えればエンジンが温まった状態を維持しやすくなり、燃焼効率がアップしたためです。その弊害としてエンジンルーム内の気温上昇があり、冷却のために大量の空気流を必要としています。

2017年の東京モーターショーに展示されたメルセデスAMG Project ONEは、最高回転数を15,000rpmから11,000rpmに抑えたものの、F1マシン搭載エンジンをほぼそのまま搭載。1.6Lながらエンジン単体の最高出力は500psオーバーとのこと。発生する熱量も市販車の比でないことは、容易に想像できます。

このような高性能モデルのエンジンルーム冷却のため、ルーフ上に効率よく空気を取り込めるインテークを採用しているのです。

その②:ラム圧でパワーアップ!

ターボエンジンは元来、航空機の技術ですが、F1で使用されるラム圧も同じく航空機の技術を取り入れています。ラム圧とは空気の圧力のことで、大気を切り裂いて走行する自動車には、つねに車両前面からラム圧がかかっていると言えます。

このラム圧を利用し、NAエンジンにも大量の空気をシリンダー内に押し込みターボチャージャーと同じ効果を狙うのがラム圧過給です。ラム圧過給効果を狙うため、ルーフ上に巨大なエアインテークを採用しているのが、第2世代のマクラーレンF1 GTRでした。

ラム圧過給はエアインテーク以外の設備が不要のため、安価に市販車に採用されても良さそうですが、効果を発揮しだすのは200km/h以上とのこと。そのため、市販車では機械的に過給を行うターボやスーパーチャージャーが採用されているのです。

その③:コックピット内の冷却のため

自動車のエアコンに使用するエアコンプレッサーは、動力をエンジンから取っています。そのため、レース車など快適性よりも走行性能を優先する車には、エアコンは採用されません。もちろんコックピットに断熱材なども使用されません。

代わりに大量の空気を流して温度を下げるのです。その空気流入口としても、ルーフ上のエアインテークは使用されます。

バブル時代は人気のドレスアップアイテムだった!?

バブル時代に誕生した日本初のMR車といえば、トヨタ MR2。同車のドレスアップアイテムにサードパーティーから、ルーフ上エアインテークが販売されていました。

公道ではかなり目立つ存在でしたが、MR2の廃止とともに見かけなくなりました。

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