知られざる”幻のカー・オブ・ザ・イヤー”に選ばれた日産 セフィーロとはどんな車?

初代セフィーロ

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日本カー・オブ・ザ・イヤーは、1980年から始まった日本国内で市販された乗用車のなかから、もっとも優秀な車両に与えられる賞です。それとは別に、かつて国内の自動車を生産するメーカーを会員とする日本自動車工業会(自工会)の記者クラブが中心となってカー・オブ・ザ・イヤーが選ばれたことがありました。これは、年末の納会で選ばれた非公式なものだったのですが、週刊誌に掲載されてしまいました。その栄えある最初の受賞が日産のセフィーロでした。一体、セフィーロとはどのような車でしょうか?

*追記・修正:2020年6月4日現在
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日産 セフィーロとはどんな車?
セフィーロの中古価格は?

日産 セフィーロとはどんな車?

セフィーロの登場は1988年。以降、2度のフルモデルチェンジを行い、3代目モデル(2003年)で生産終了となりました。

初代モデルは、FRのセダン専用車種としてのデビューしたものの、2代目以降はFFに変わり、さらにはステーションワゴンも設定するなど、戦略が右往左往したという印象は否めません。

日産としては、初代モデルの開発途中でバブルが崩壊してしまったため、当初の予定からどうしても変更せざるを得なかった部分もあります。その点では時代に翻弄されたモデルと言っても良いのかもしれませんね。

では、初代モデルから順にみていきましょう。

初代セフィーロ(A31型)

初代セフィーロ(A31型)1988 RB20DET エンジン
1988年9月1日に発売された日産 セフィーロの初代モデルA31型は、発売数週間前から、人類学者で思想家の中沢新一や演出家の和田勉、女優の斉藤由貴を起用したティザー広告で話題を集めました。糸井重里による「くうねるあそぶ」というCMコピーは、クルマよりもCMが話題になった記憶があります。

もちろんセフィーロ自体も、当時はまだまだオプション装備でしかなかったプロジェクターヘッドランプを標準採用。「33歳のセダン」というサブタイトルを付与されて、共働きだけど子供のいない、いわゆるDINKS層を主なターゲットにしました。

また、エンジン、サスペンション、トランスミッション、内装生地、内装色、外装色をユーザーの組み合わせによって注文出来るセミオーダーシステム「セフィーロ・コーディネーション」も導入。当初の組み合わせは810通りで、個性が求められていたバブル期ならではなシステムでした。

ちなみに、同時期には姉妹車であるスカイラインやローレルだけではなく、シーマ、スカイラインGT-R、プレセア、プリメーラ、アベニールといった日産を象徴するモデルが多数ラインナップされていました。

2代目セフィーロ(A32型)

2代目モデルの登場は、1994年8月24日。初代モデルは話題を振りまいたものの、バブル崩壊もあり販売面では苦戦を強いられました。そして2代目モデルでは、マキシマと統合されてFFモデルへと変貌します。

一方で、しなやなか乗り心地を実現していた点や、山口智子や竹中直人など話題のあるタレントを起用したコマーシャル展開が受け、好調な販売を記録することになりました。

2代目セフィーロは、日産の高い技術力をアピールするため、新開発した”VQエンジン”というV6エンジンが最初に搭載されています。VQエンジン製造専用に、福島のいわきに工場が新たに建設されるほど目玉だったのです。

そして1994年、自工会クラブ版カー・オブ・ザ・イヤーで、この2代目セフィーロが受賞します。選定基準は、自工会の記者クラブに属する記者の経済的な視点によるもので、日本カー・オブ・ザ・イヤーとは異なるものでした。

3代目セフィーロ(A33型)

1998年に登場した3代目モデルA33型は、ユニバーサルデザインを多く取り入れた点が特徴です。オーテックジャパンから特別仕様車も発売されました。

2001年にはマイナーチェンジし、全長が4,920mmへと大型化されたのは海外市場を見据えてのものでした。一方で、コスト削減のためサンルーフ、レーダークルーズコントロールアクティブヘッドレストといった装備を廃止。

2002年には平成12年排出ガス規制に適合しない2.5L車が廃止になると、その翌年には国内での販売終了となってしまいます。これはローレルと統合されるためで、後継モデルはティアナになります。

ちなみにセフィーロという名称はスペイン語で「そよ風」を意味するもので、自動車業界にさわやかな風をもたらしたかったとの狙いがあったのでしょう。

セフィーロの中古価格は?

セフィーロの中古相場をみていきましょう。2020年6月3日時点では初代セフィーロが1台、2代目セフィーロが1台という結果になっています。

※車選び.com調べ 2020年6月3日時点
現存する車両は少ないですが、決してプレミア価格がつけられているモデルではありません。生産終了から既に10年以上が経過しているため、今後在庫が大幅に増えることは考えにくいでしょう。

購入を考えている場合は、良い状態の物を見つけたら早めにアクションを仕掛けたほうが良いでしょう。現行モデルや人気モデルのように、いずれ良いモデルが出てくる可能性は、残念ながら低いです。

発売した直後にバブル崩壊という憂き目にあった悲運のモデルとして知られているセフィーロ。1台の車として客観的にチェックしてみると、なかなか味わい深いモデルだとわかりますね。
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