今後、フロントガラスが消えるって本当?

ウィンドウはガラスが常識だった

フロントガラス

ガソリンで走る自動車が生まれて100年以上。これまでに、さまざまなテクノロジーが開発・採用されてきました。

新装備というと、最新のデバイスばかりが注目されがちですが、あまり喧伝されない素材も車づくりのなかでは大切な要素です。

その素材の進化によって、車の窓ガラスに大きな変革がもたらされることになるかもしれません。

これまで、自動車のガラスといえば、安全のためにフロントには合わせガラス、サイドには強化ガラスという組み合わせが常識でした。

裏を返せば、ガラスよりもさまざま意味で優れた素材が、これまで出てこなかったとも言えますが、2016年に三菱ケミカル、2017年に帝人が、相次いで新素材で形成されたサイドガラスとフロントガラスを発表しました。

ガラスに代わる新しい素材とはなんなのでしょうか。

フロントガラスの重さってどれくらい?

車のウインドウのなかで、もっとも大きいのがフロントガラスです。その重さは、どれくらいあるのか考えたことはありますか?

もちろん車種にもよりますが、おおむね10kg以上はあるようです。

ニューモデルが発表されると、従来モデル比で〇%軽量化というような宣伝文句を耳にしたことがあるでしょう。

車の加速力を上げたり、燃費を向上させるためには、軽量化は欠かせないもので、あらゆるメーカーが取り組んでいる重要課題です。

しかしフロントウインドウには、衝突時の安全確保をはじめ、光の透過性や耐摩耗性といった、さまざまな要求特性があり、合わせガラスが一般的でした。ちなみにサイドガラスとリアガラスは、1枚の強化ガラスです。

しかし、自動車保安基準により2017年7月からフロントガラスにポリカーボネート樹脂の使用が可能になってことを受けて、帝人がピラーレスのフロントガラスを開発。京都発のGLM株式会社が販売するスポーツEV『トミーカイラZZ』に装着して、販売されます。

ガラスに代わる新素材は?

トミーカイラZZが採用するピラーレスガラスの素材は、PC(ポリカーボネイト)樹脂です。

透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性・寸安定性などにおいて、エンジニアリングプラスチックのなかでも高い物性を示す素材であり、かつ透明性をもつことから、航空機・自動車を始め、電気・電子光学・医療機器、防弾ガラスの材料などに用いられています。

帝人では、ウェット法でハードコートしたPC樹脂にプラズマCVD法によるハードコートを追加することで、ガラス並みの耐摩耗性と耐候性を高めています。

また、このフロントガラスは、ガラスを支え、衝突や転倒時に乗員を守るためのAピラーやトップの窓枠がないことが特徴です。

Aピラーを含めた窓枠部に厚みをもたせて強度を確保する構造は、トミーカイラZZのフロントガラス部分の重量で比較すると、36%の軽量化につながっています。

PC樹脂で形成されたフロントガラスユニットの窓枠部が透明な樹脂窓になったことで、トミーカイラZZは遮るもののない広い前方視界を可能としています。

このフロントウインドウは、すでに保安基準を満たしており、公道走行のために今後国内認証を取得予定とのこと。

一方、三菱ケミカルが開発したバイオPC「デュラビオ」は、素材に色を付けて整形することで、塗装が省けてコストダウンにも繋がるもので、すでに内装材としての実績がある素材です。それをガラス面に採用することで、環境性能に貢献します。

この新素材がより多くの車に実装されれば、燃費や加速だけでなく、車の安全性にも大きく貢献することは間違いありません。今後の車の新基準として注目されることでしょう。

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