水平対向、直列、V型…どれが最も優れているエンジンと言えるか?

簡素で軽量、コスト面で一番有利「直列エンジン」

直列エンジン

おそらく、世界中で一番生産されているのは、シリンダーが1直線に並ぶ直列エンジンです。

気筒数が少ないと振動が発生し、バランサーシャフトやカウンターウエイトが必要になる反面、気筒数を増やすと全長が伸び、エンジンルームの寸法やクルマのデザインも制約される、とデメリットは少なくありません。

しかし、シリンダーが1列に並ぶことによって、カムシャフトを駆動するために機構がひとつで足りるなど、部品点数が少なくコストを抑えやすかったり、重量も軽く、排気系の取り回しも単純というメリットがあります。

そういった理由から、現代では低コストな中型やコンパクトクラスの量販車に多く採用されています。

ちなみに、振動が少なくパワーも出しやすいレイアウトだったことから、かつては上級車種が多く用いられた直列6気筒ですが、クランクやカムなどに長さが必要で、それぞれに要求される剛性が厳しいことや、レイアウト的な制約もあり、最近では少なくなっています。

もっともコンパクトな「V型エンジン」

日産 GT-R VR38DETT エンジン

もっとも小さくコンパクトにまとめられるのが、シリンダーを2つに分けて配置するV型エンジンです。水平対向も同様にシリンダーを2つに分けて配置するレイアウトですが、クランクシャフトのデザインに違いがあります。

V型エンジンは、シリンダーブロックが2つに分割されることにくわえて、それにともなうパーツも倍になるため、重量は直列エンジンより重くなります。そのため、比較的排気量の大きなエンジンで採用されます。

各バンクごとにカムシャフトやバルブ駆動機構が必要、かつ排気系の取り回しが複雑になりやすいため、エンジンルームに制約が生まれることがあります。

また、エンジンルームが狭い場合は、メンテナンス性が悪化します。特に横置きV型では、奥側(コクピットに近いバルクヘッド側)バンクのメンテが難しくなるというデメリットも出ます。

とはいえ、気筒数を2つに振り分けることで、エンジンの全長を短くすることが可能なので、横置きエンジンでもマルチシリンダー化が容易。ひいては乗り心地やエンジンフィールにも大きな影響を与えることから、中排気量以上のエンジンでは今後も主流であり続けるでしょう。

もっとも低振動で軽量にも作れる「水平対向エンジン」

新型インプレッサに搭載されるFB20型水平対向エンジン

V型エンジンを左右に180度広げたように見える水平対向ですが、対になる気筒のピストンが同じ動き(右が上死点であれば左も上死点にある)をする点で、V型とは異なります。(※V型は、左右の対になるピストンが同じクランクピンを使用)

この構造は、対になるピストンが振動を打ち消し合うことになり、V型エンジンより気筒間が離れて若干全長は伸びますが、振動が少ないことがメリットになります。

また、横方向に広がるレイアウトのため低重心であることもメリットです。

そういったメリットを活かし、昔は軽自動車(コニー360など)や、コンパクトカー(パブリカやトヨタスポーツ800、ミニエース)のエンジンとして水平対向2気筒エンジンがよく使われました。

一方、どうしてもエンジン幅を取るため、サイズに制約のあるエンジンルームでは、OHCやDOHC化やロングストローク化が困難です。

そのため、スバルの水平対向エンジンのように2リッターなどビックボア・ショートストロークエンジンより、1.5リッターでショートボア・ロングストロークのほうが実用域でもフィーリングが良くなったりします。

単体で見ると利点の多い水平対向エンジンですが、実際には前述したエンジンルームの制約があるので、基本的には縦置きのFF車もしくは4WD、RR、あるいはリアミッドシップ車に限られます。

そのため、現在ではスバルとポルシェ以外ではほとんど使われていません。

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