なぜ、ガソリンスタンドの屋根は平らなの?

ガソリンスタンドの建築基準

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドで販売しているのは揮発性の強いガソリンで、-40℃から引火可能。引火したら爆発という危険物です。そのため、ガソリンスタンドには、フルサービス、セルフ問わず危険物取扱主任者が常駐している必要があります。

また建築物も防火耐火仕様となっており、万が一の爆発炎上に備えて、2m以上の防火壁の設置、事務所のガラスは針金入りのはめ殺し、建築素材は不燃性を使用するなどの基準が設けられています。

しかしキャノピーには、ほとんど規制がありません。それなのに、日本全国どこに行っても平らな板状ですよね。なぜなのでしょうか?

ガソリンスタンドのキャノピーの規制

ガソリン

キャノピーの数少ない規制は、給油設備を備えている場合に適応されます。その規制は、給油設備から60cm四方は耐油性とすること、建築素材は難燃性とすることです。

キャノピーが事務所建築物のひさしの延長状態であるなら、建築物より1.5m以上の張り出しで、給油所の面積の3分の1以下と定められています。

さらにホースの長さは5mまで、給油ノズルは通常、地上60cm以上の位置にあることが耐火基準で規定されているため、キャノピー下面の高さは5.6m以上であることも、ガソリンスタンド設置に求められる基準です。

耐油施工の範囲、建築素材、長さ、面積、耐火基準の要求を満たす高さなどは、キャノピー設置要件に条件付きで規定されますが、形状については一切の制限がありません。つまり、ガソリンスタンドの屋根は真っ平らでなければならない、という規制はどこにも無いのです。

実録!キャノピーが平らでないガソリンスタンド

じつは探してみると、キャノピーが平らでないガソリンスタンドは数多くあります。たとえば千葉県市川市のアクシス行徳や、新潟県新潟市の川崎商会 新潟バイパス店などはドーム型のキャノピーを採用しています。

ドーム型キャノピーは、1970年代に流行したガソリンスタンド建築様式で、比較的古い施設です。1970年代と言えば、日本のモータリゼーションの最盛期。ガソリンスタンドの経営も、さぞかし順調立ったことでしょう。

なぜ、ガソリンスタンドの屋根は平らが主流なのか?

2017年現在では、ドーム型キャノピーを備えるガソリンスタンドは、あまり見かけなくなりました。原因は、施設の老朽化により姿を消しているためと、ドーム型キャノピーの建築コストが割高で普及しなかったからです。

ガソリンスタンドの利益が圧縮されている現代では、低コストでガソリンスタンドを建築するため、デザインを統一し規格化することで、建築資材の大量調達を可能としています。

平らなキャノピーなら、部材を組み合わせ短期間で安価に施工可能ですが、ドーム型はワンオフのため、施工期間が長くなり、延べ作業員数も多くなり、どうしても割高になります。これでは初期投資の回収期間も長期化し、ガソリンスタンド経営が軌道に乗るまで長期化してしまいます。

過去には、丸屋根や丸い事務所、給油場所には屋根が無いなど、さまざまな形態が見られたガソリンスタンドですが、現在では敷地面積に応じてサイズが伸縮しているだけ。

日本全国どこに行っても変わらなくなってしまった風景は、このガソリンスタンドの画一化にも要因があるのかもしれませんね。

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