2000GTに始まり、RX-7に終わる。リトラクタブルヘッドライトは、いかにして発展したのか?

カッコいい車のシンボル「リトラクタブルヘッドライト」

リトラクタブルヘッドライト

リトラクタブルヘッドライトとは、普段はライト本体やその装備を車体に格納し、点灯時のみポップアップするものです。

メリットは、ボンネットを低くして空気抵抗を軽減できること。そのため、スポーツカーやスーパーカー、日本ではスペシャルティカーにも好んで採用されました。

日本初のリトラクタブルヘッドライトはトヨタ 2000GT

トヨタ 2000GT

日本で初めてリトラクタブルヘッドライトを採用した車といえば、トヨタ 2000GTです。

1960年代前半、日産はフェアレディ、ホンダはSシリーズをそれぞれ市場に送り出し、いずれも軽快なオープンボディのスポーツカーとして日本国内外で人気を集めていました。

しかしその当時は、トヨタにはスポーツカーが存在していませんでした。そこで、トヨタのイメージリーダーになりうるスポーツカーの開発が始まり、1967年に誕生したのが2000GTでした。

先に出たライバル車たちに負けないよう、多くの新機構が採用されましたが、そのひとつがリトラクタブルヘッドライトだったというわけです。

リトラクタブルヘッドライト採用の理由は、2000GTが長く低いフロントノーズをもっていたことに起因します。それにより当時の法規で定められた高さにヘッドライトを置くことができず、必要なときだけ適正な高さにヘッドライトを出せる機構を採用したのです。

リトラクタブルヘッドライト全盛期

4代目シルビア

トヨタ 2000GTは1970年に生産終了となり、その後日本車でリトラクタブルヘッドライトを採用する車はしばらく現れませんでした。

次に国内の市販車としてリトラクタブルヘッドライトが採用されたのは、1978年に発売されたマツダ サバンナRX-7です。

2ローターのロータリーエンジン12Aを搭載するマツダ サバンナRX-7は、初代から最終型のFDまでずっとリトラクタブルヘッドライトを貫きました。このRX-7の登場後、日本でのスーパーカーブーム、本格的なスポーツカー人気の高まりとともに、リトラクタブルヘッドライトの本格的な普及が始まりました。

1980年代前半までに三菱 スタリオン(1982年)、ホンダ プレリュード(1982年)、日産 シルビア/ガゼール(1983年)、そして3代目トヨタ セリカも1983年のマイナーチェンジでリトラクタブルヘッドライトを採用しました。

1983年デビューのホンダ バラードスポーツCR-Xは、半分だけライトが格納されたセミリトラクタブルヘッドライトを採用。このタイプは、いすゞ ピアッツァにも採用されていました。

スポーツカー以外にも続々採用

マツダユーノスロードスター

1980年代後半になると、トヨタ カローラⅡ、マツダ ファミリア、ホンダアコードエアロデッキなど、スポーツカー以外でもリトラクタブルヘッドライトを搭載したモデルが現れます。

しかし80年代後半~90年代を代表するリトラクタブルモデルといえば、89年デビューのマツダ ユーノスロードスターでしょう。

欧米の自動車メーカーに「MIATA(ユーノス ロードスターの海外名)ショック」を与えた2シーターのライトウェイトスポーツは、世界中でヒットしました。その後、1998年のフルモデルチェンジでリトラクタブルライトではなくなりました。

姿を消した理由は?

リトラクタブルヘッドライトは、格納されているときには空気抵抗を軽減するメリットが期待されていましたが、ライト使用時には大きな突起物が現れるためかえって空気抵抗が悪くなることが判明。

また、ライトを動かすためのパーツが必要なので重量増につながる、故障すると出し入れできなくなる、ライト使用時に歩行者事故を起こすと相手に大きな怪我を負わせる恐れがある…など、デメリットのほうが多く、さらにヨーロッパを中心にデイライトが義務付けられたこともあり、徐々に姿を消しました。

また北米ではライトの最低地上高に関する規制が緩和されたこともあって、安全性の問題とともに90年代中ごろからリトラクタブルヘッドライトは急速に姿を消していきます。

最後のリトラクタブルヘッドライト搭載車は?

マツダ RX-7 2002

日本車における最後のリトラクタブルヘッドライト搭載車は、2002年8月まで生産されたマツダ RX-7(FD)です。世界に目を向けるとシボレー コルベットが2005年にC6へとフルモデルチェンジし、リトラクタブルヘッドライトは新車市場から姿を消しました。

これからリトラクタブルヘッドライトの車に乗りたい方は、中古車という選択肢しか残されていないようです。

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