新型シビック タイプRはなぜMT仕様しかないのか?

ホンダ シビック タイプR 2017 ヨーロッパ仕様

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ニュルブルクリンクFF駆動最速モデルとして話題を呼んだ新型シビック タイプR。2017年7月以降発売予定のモデルには、320馬力というスペックが与えられ、トランスミッションは6速MTのみの設定となる模様。以前、AT仕様の発表も噂されていましたが、なぜMTのみなのでしょうか?
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新型シビック タイプRはMT仕様のみ
新型シビック タイプR、なぜMT仕様しかないのか?

新型シビック タイプRはMT仕様のみ

5代目となるシビック タイプRの日本向けモデルが、いよいよ2017年7月下旬に正式発表となります。歴代最高のモデルであることが義務付けられるタイプR。

今回はなんと、最高出力235kW(320ps)/6,500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2,500-4,500rpmという、2.0Lエンジンとしては最高レベル、そしてFFモデルとしても最高のパワーユニットを搭載。ニュルブルクリンクでは、7分43秒80というFF最速のラップタイムをマークしました。

そのトランスミッションは、6速MTのみ。もちろん、タイプRの硬派な性格を考えれば当然かもしれませんが、他方で同じカテゴリーのハイパフォーマンスモデルとして、ラップタイムで凌ぎを削っているVWのゴルフRには、2ペダルMT(DSGトランスミッション)の設定があります。

現在、日産GT-Rをはじめとするハイパフォーマンスモデルには、こぞって2ペダルMTが採用されており、ハイパワーエンジンを持ちながら、イージードライブも可能という設定が多いように見受けられます。

その点、シビック タイプRは、ある種スパルタンで古典的。AT限定免許が若者に増えていることを考えると、2ペダルモデルにすれば、日本での販売台数は高まる、と思ってしまいます…。

新型シビック タイプR、なぜMT仕様しかないのか?

前述のように、なぜホンダはタイプRにAT仕様を用意しないのでしょうか。

かつてATは、駆動ロスや変速のタイムラグが大きくスポーツカーには向かないと言われていました。しかし現在では、クラッチを2枚持ち自動変速する、いわゆるDCTが開発され、人間の操作よりも素早くて確実なシフトワークが可能となっています。

現行タイプRの生い立ちを考えてみると、そこにヒントがあるかもしれません。

先代、そして現行シビック タイプRは、英国で生産されている”逆輸入車”。その英国をはじめとした欧州では、いまだにMTモデルが多く、ATは忌避される傾向があります。

これは、かつてのATの性能が悪く、環境性能や運動性能でMTのほうが優れていたこと、また日本と交通事情が異なることが主な理由として挙げられます。

そのため、英国でスポーツモデル、ましてやタイプRのようなモデルとなれば、MTであってもそれほど販売にはマイナスになりません。事実、ニュルでのもう1台のライバル、ルノー メガーヌRSも6MTモデルのみです。

そのうえ、高出力エンジンのタイプRに組み合わせる2ペダルMTを開発・搭載するにはコストもかかりすぎる…。このような事情・思惑があり、シビック タイプRは6速MT仕様のみの設定となっていると思われます。

たしかにタイプRなら、6速MTで手足のように走らせたいと思いますし、ドライビングプレジャーを存分に堪能したいですよね。そう考えれば、6速MTのみの設定でもファンやユーザーからはあまり不満の声もないのかもしれません。

とはいえ、ホンダは自社ですでにDCTの技術を持っており、NSXには9速のATが搭載されています。また2輪でも採用されているため、数年後のマイナーチェンジで横置きエンジンに対応したDCTを搭載したモデルが追加されても、なんら不思議ではないことを期待とともに付け加えておきましょう。

どこか、かつてのホンダの尖った部分を残しているシビック タイプR。もう間もなくここ日本でも販売となります。ぜひ一度、その走りを味わってみたいモデルですね!
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