BMW i8やフォードGTなど、スーパーカーが採用する「ゴリラガラス」とは?

ゴリラガラスとは?

ゴリラグラス

世界最大級のガラス製品メーカー、米国のコーニング社が2007年にiPhoneのタッチパネルのために生産開始した「ゴリラガラス」。ゴリラガラス2、3とバージョンアップを重ね、2017年現在は5まで進化しています。

ゴリラガラスが注目されたのは、iPhoneへの採用がきっかけでした。

スティーブ・ジョブズ氏がiPhoneの試作機をポケットにしまっていたところ、iPhoneと一緒にポケットに入っていた鍵がタッチパネル(当時の試作機は硬質プラスチック製)に傷をつけてしまいます。

そこでジョブズ氏は、iPhoneのタッチパネルを強化ガラス製にする決定を下します。その際にコーニングのCEOが「それならいいものがある」と紹介した製品がゴリラガラスでした。

iPhoneの後も各種スマートフォン、タブレットのタッチパネル用ガラスの多くが、ゴリラガラスを採用しています。

もともとは自動車用ガラスだった!

ゴリラガラスの技術は、もともと自動車用ガラスのために完成されたものでした。

1960年代にコーニング社が開発した化学強化ガラス「Chemcor」がそれで、ダッジ・ダートやプリムス・バラクーダをベースとしたレーシングカーに採用されたのです。

ストックカーレース用に製作されたそれらマシンに採用された「Chemcor」は、約100台分が作られましたが、価格と性能が折り合わなかったのか、その後、陽の目を見ることはなく、単なる技術的ストックのひとつになっていたのです。

当時の技術者は、それから40年近い歳月を経て、スマートフォンというデジタルガジェットが生まれ、復活するとは夢にも思わなかったでしょうね。

BMW i8でのカムバック

BMW i8 2013

21世紀に入り、自動車は環境面での要求が年々厳しくなり、各種軽量化技術の限界に各自動車メーカーが挑戦しています。そのひとつとして、現在ではスマートフォンやタブレット用となっていた軽量強化ガラスに再び注目が集まりました。

とはいえ、コーニング社によれば、従来型の自動車用ガラスに対し、ゴリラガラスは重量を25~30%削減できる一方で、追加コストは1ポンドあたり2~4セントということ。つまり約450g削減するために約4円かかる計算です。

軽量ながらコストの高いゴリラガラスを導入するためには、それによる燃費向上というメリットとのバランスが取れていなくてはならず、どんな車にも採用とはなりません。

つまり、コストをかけただけ燃費が良くなるような車か、価格差を吸収できる高級車がターゲットです。結果、ゴリラガラスは2013年にデビューしたBMW i8のリアウィンドウで、自動車業界にカムバックを果たすことになりました。

熱心にテストしてきたフォードも「フォードGT」でついに採用

その一方で、米国のフォードも中型セダン「フュージョン」ベースの軽量コンセプトカーを2014年に発表した際に、ゴリラガラスと既存の自動車用ガラス(ソーダ)石灰ガラスを合わせたハイブリッドガラスをフロントガラスに採用するなど、実用化に向けたアプローチを重ねてきました。

問題はどの車に採用するかでしたが、そこで開発中だったスーパーカー「フォードGT」に白羽の矢が立ったのです。

目的は軽量化と低重心化

「フォードGT」のゴリラガラスは、フロントとエンジンのカバーの2箇所に採用されています。

ボディ上部の重量において大きなウェイトを占めるこの2箇所のガラスを「ゴリラガラス」とすることで、従来型のガラスと同じ強度で、厚みを25%から50%も削減できています。もちろん重量も30%以上、5.4kgもの削減に成功しており、車体の重心位置加工による運動性能向上に大きく貢献しています。

余談ですが、もともと複数のガラス板の間に樹脂製のプラスチックフィルムを挟み、割れた時の飛散防止や、耐衝撃性の向上も狙った従来型の自動車用合わせガラスは、フォードの創業者であるヘンリー・フォード氏が自動車に使い始めたものでした。

また最近では、コーニング社が制作したEVに採用したほか、未確認ながら最新のポルシェGT2でも、ゴリラガラスが採用されているようです。

現在は、運動性能を重視するスポーツモデルへの採用が中心ですが、環境性能を追求するメーカーにとって、軽量な強化ガラスは市販モデルでこそ採用したいアイテムのはず。

あと数年もすると、ゴリラガラスもしくはそれに近しい性能を持ったガラスが、自動車用ガラスの主流になるかもしれません。

【動画】CES 2017 「Gorilla Glass for Automotive」

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