事故で愛車が全損!被害者側はいくら請求できるの?

全損とはどんな状態を示すのか?

追突事故

もうすぐ夏です。夏休みには多くの方がロングドライブを楽しむと思いますが、車両が多ければ事故も起こりやすくなります。運悪く事故に巻き込まれ、愛車が大破。修理が利かない状態になったとします。こういう場合でしたら、間違いなく全損です。全損とは全損壊の略語です。

全損には2種類あり、前述したような場合を「物理的全損壊」と言います。これに対し、中古車市場で10万円で流通しているクルマで事故に遭い、修理金額15万円の損害を受けたとします。修理すれば乗れるとしても、修理金額が市場価格をうわまわってしまいます。この場合を「経済的全損壊」と言います。

全損時補償金額の請求限度

全損事故時に支払われる保険特約

愛車が全損になった場合、保険会社から補償金が支払われます。おもなものは被害者が加入している車両保険、加害者が加入している対物賠償責任保険です。さらに特約を結んでいれば、それに応じた支払いが行われます。

突発的な事故に遭い、その後いち早く経済的損失から脱出するためにも、任意保険は加入しておいた方が良いですね。

初度登録から6年以内の自動車の場合:レッドブック掲載金額

日産 スカイライン 350GT

さて、これらの車両損害に対する各保険科目から支払われる補償額ですが、一般的にはかなり低いのが現状です。

その理由は、自動車損害保険の補償金額提示の根拠となっている資料に掲載されている金額が低いからです。

その根拠となる資料が、オートガイド社が毎月発行している「オートガイド自動車月報」。いわゆる「レッドブック」です。レッドブックには発行日より6年前までに発売された全車種・年式・グレードごとの平均中古車両価格を掲載されています。

レッドブックは裁判所でも立証証拠とされているほど、信ぴょう性の高い資料ですが、中古車両本体金額のみの平均額を掲載しているので、実際の購入価格よりは低くなります。またレッドブックには事故車、無事故車別金額が表示されていません。両車含んだ平均金額と思われ、これも提示金額を低くする一因となっていそうです。

初度登録から6年以上の自動車の場合:当時の新車価格の10%

日産 スカイライン C10

レッドブックに掲載されていない、新車登録から6年以上経過した自動車の補償金額は、さらに低く提示されます。その目安は、新車当時の新車価格の10%。

たとえば2010年4月に発売されたトヨタ カローラアクシオ ラグゼール(FF)の場合、当時の新車価格は2,089,000円だったので、全損(2017年6月現在)になると208,900円の提示になります。

これでは次のクルマが買えません。でも多くの方は、保険会社から提示されたものがすべてと勘違いして、少ない金額でも納得していまいます。しかし落胆するのは、早すぎます。

これはあくまで車両本体価格の補償金額であって、実勢価格を反映したものではありませんよね。また購入にかかる諸費用も計上されていません。

補償金額アップの交渉テクニック

法律 六法全書

法律上、補償金額に対して反証する場合、反証の基礎となる資料を被害者が提示しなくてはいけないとされています。簡単に言えば、被害者が自身の契約保険会社の補償金額に納得がいかない場合、レッドブック以外の客観的資料を作成して、交渉しなくてはいけないということです。

いくら被害者自身が契約している保険会社でも、加入者にいきなり高額な金額を提示することはないのです。

どのような資料を作成するかというと、愛車と同年式・同グレード・ほぼ同じ走行距離の中古車一覧が良いとのこと。ネットで検索すればすぐに情報が集まり、参考URLも記載しておけば保険会社側も検証できる客観性の高い資料となり、交渉材料となります。

先ほど例に挙げた2010年式カローラアクシオ ラグゼールの平均中古車価格を調べてきるとは、約700,000円でした。これだけでも50万円アップになるかもしれません。

さらにこれら金額はあくまで車両本体価格で、登録諸費用などは含んでいません。事故に遭わなければ支出する必要のない金額も、すべて補償対象となるという主旨の判決も出されています。

ただし、それはかならずしも支払われるものではないので、できる限り情報収集を行ってから保険担当者との交渉に臨みましょう。

■参考判決例
東京地裁判決H13-12-26事件番号H13ワ2087
東京地裁判決H13-4-19事件番号H12レ79
東京地方裁判所 平成14年9月9日判決(交通事故民事裁判例集35巻6号1780頁)
東京地裁 平成16年4月22日判決 交民集37巻2号519頁

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