パリ協定によって車作りはどう変わるのか?

衝撃的なアメリカの「パリ協定離脱」

アメリカ車

地球温暖化に繋がる温室効果ガスの排出量を削減する、という取り組みとして、1997年に京都で採択された「京都議定書」は耳にしたことがあろうと思います。

これは、2008年から2012年までの間に、先進国全体で1990年比5%以上の削減(内訳は日本6%、アメリカ7%、ヨーロッパ連合8%)を目標とする、というものでした。アメリカは結果的に支持しませんでしたが、現在の温室効果ガス削減についての基準として機能していました。

そして2016年11月に発行された「パリ協定」は、京都議定書よりもその網掛けを拡げたもの、と解釈するとわかり易いと思います。京都議定書が「先進国のみ責任を負う」というものであったのに対し、パリ協定は「発展途上国を含むすべての国が参加する」というのがポイント。そして今世紀後半には、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロとする、という非常に大きな目標を掲げたものでもあったのです。

しかし2017年6月1日、アメリカがこの「パリ協定」から離脱するという衝撃的な発表をしました。2017年現在、中国に次いで温室効果ガスの排出量の多いアメリカが抜けたことは、協定自体が骨抜きになりかねない重大なことと受け止められています。

テスラ モデルX

アメリカ離脱の理由としては、トランプ大統領の掲げる政策("内需拡大"、"雇用確保")を、この仕組みが阻害するという考えが、まず挙げられます。また、さまざまな言動で支持が低下しているトランプ大統領の本心としては、支持率回復のため、アメリカの保守派支持層へのガス抜き行動とも見られています。

しかし国内外で大きな非難が上がっており、テスラのCEO、イーロン・マスク氏が経済諮問委員を降りるなど、政権にもダメージを与えています。

このように波紋が広がっているパリ協定ですが、排出量トップの中国が今後のイニシアチブを握ろうとしていることでも話題になっています。いずれにせよ、クルマ等、内燃機を使う機関に対しての規制が今後一層厳しくなるのは間違いありません。

パリ協定がクルマ作りに与える影響は…?

日産 リーフ NISMO パフォーマンスパッケージ

今年、50年の歴史を持つ、ホンダ原付バイクの金字塔「モンキー」が、2017年8月に生産中止となるというニュースがありました。その理由は、”排ガス規制強化に対応させることが、50ccでは技術的、コスト的に困難”というもので、衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。

ホンダの50ccエンジンといえば、環境性能が極めて良好なことで知られ、前述のモンキーでも100km/Lというカタログスペックを誇ります。それでも排ガス規制がクリアできない…という事実は、今後の排ガス規制が相当に強化されることを示しており、原付クラスは電動化の流れが来ると予測されています。

これはクルマであっても変わらず、より厳しくなる排ガス規制に対応するため、環境性能に優れるハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてEV、FCV(燃料電池車)といったパワーユニットに収斂されていくと容易に予想できます。

認めたくはないですが、つまるところ純然たるガソリンエンジンが消えていく…という流れになるといえます。事実、近年のモーターショー等の展示を見ても、ハイスペックなEVモデルをメーカーがこぞって展示をするようになっていますし、ニュルブルクリンクでもEVがトップタイムをマークするなど、時代の変革を感じさせる事象も起こりつつあるります。

また内燃機関を積んだクルマが減っていくと、インフラも大きく変化していくと想定されます。ただでさえ、ガソリンスタンドは減り続けており、1989年に58,285件あったものが、2015年には32,333件と、約25年の間で大きく減少しているのです。(経済産業省・資源エネルギー庁データより)。

この傾向は、残念ながら今後も止めることはできないでしょうね。

ではクルマ好きにとって悲観すべき未来なのだろうか?

ホンダ NSX 2015

内燃機関が駆逐されていくというのは、クルマ好きにとっては受け難い事実ですし、技術の継承という意味でも残念なことではあります。しかし持続可能な未来をつくるための努力というのも、現代に生きる私達に課せられた責務です。

スーパースポーツには、ハイブリッドが増え、環境性能だけでなく、モーターの強力なトルクで、高いパフォーマンスを発揮するよう仕上げられています。つまり、そういったスーパースポーツのパワーユニットとして、モーターが積極的に搭載するようになっているのです。こうして考えると、少し先の未来に行っても、クルマのドライビングプレジャーは生き残っているのではないかとも思えます。

今後、姿や質を変えたとしても、クルマは私たちの良き相棒として、傍らにあるような気もしてなりません。

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