VIP(ブイアイピー)カーとVIP(ビップ)カー、何が違うのか?

キャデラック・プレジデンシャル リムジン(2009)

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よく「VIPカー」という呼称で呼ばれるクルマが存在しますよね。カスタマイズした高級セダンをそう呼ぶことが多いかと思いますが、VIP(ブイアイピー)カーとVIP(ビップ)カーは、ほんの少しの呼び方のニュアンスで、大きく内容が違うようです。
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そもそもVIPカーとは
日本独自の風俗、文化といえるVIP(ビップ)カー

そもそもVIPカーとは

VIPの意味は、皆さまご存じのように、要人を意味する「Very Important Person」の略です。そのため本来の意味では”要人の乗るクルマ”ということになりますね。日本でも皇族の方が乗るトヨタ センチュリーや、各界の要人が乗る高級セダンがこれにあたります。

こうしたVIPのクルマに触れるときに避けて通れないのが、アメリカ大統領の乗る世界最強のVIPカー「キャデラック・ワン(The Beast)」でしょう。これはGMCのピックアップトラック トップキックのシャシーにキャデラックのボディを乗せた一点モノの特別仕様リムジンです。

全長5.5m、全高1.8m、車両重量は約8トンという大型車両であり、車体はチタン、セラミック、特殊鉄鋼を素材に使った厚さ5インチ(12.7cm)の複合装甲。防弾ガラスも12cm以上の厚みがある、まさに動く要塞なのです。ロケット砲や爆弾の爆発にも耐えられる仕様となっています。

それだけでなく、現在起こり得るリスク、核、生物および化学兵器から車内を守る気密性を確保しているのだそう。

また、パンクしてもしばらく走り続けることが出来るグッドイヤー製のランフラットタイヤや、暗視カメラ、酸素ボンベ、輸血用血液製剤といった緊急用の装備、大統領を守るための催涙弾やショットガンといった火器も搭載しています。

アメリカ最高の要人ですから、このような過剰ともいえる装備がなされたクルマが配備されているわけです。その背景には、かつてのJFK暗殺事件、また1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件(この際、レーガン大統領は被弾しましたが、専用車に乗り込み難を逃れ一命をとりとめました)といった、大統領の宿命ともいえるリスクがあるためといえますね。

こうしたクルマが真のVIP(ブイアイピー)カーというのは、皆さま異論ないでしょう。

日本独自の風俗、文化といえるVIP(ビップ)カー

ひるがえって、VIP(ビップ)カーについてです。

一般にVIPカーというと、セルシオやシーマなどの旧型セダンを、”車高を落とす”、”インチアップ&キャンバーを過剰につける”、”改造マフラー”などといったカスタムを施したモデルを、真っ先に想起するのではないでしょうか。

VIPカーの語源としては、先に挙げた要人が乗るような高級セダンをカスタムすることが多かったことから、VIPカーという呼称が根付いたと考えます。

属性としてはヤンキー、あるいは暴走族といった方々が乗っていたカスタムが発祥とされています。いずれも高級セダンがベースとなっており、型落ちのモデルを前述のようにカスタムしたものが多くみられます。

いわゆるヤンキー文化を構成する一部であり、現在ではDQN、マイルドヤンキー、といった新たな呼称とカテゴライズがなされています。

そしてこのVIPカー自体も、ヤンキーまたはマイルドヤンキーといった層が、その生活様式や価値観の変化により、セダンタイプから家族や仲間など多く乗れるミニバンへと変遷している傾向にあるようです。

2017年現在でも、まれにVIPカーを見かけることがありますが、ある意味では絶滅の危機に瀕しているのかもしれません。他方で、明らかに違法改造のクルマも多く、公道を走ること自体がはばかられる車両も多いことから、減少するのは必然なのかもしれません。

当然ながら、車検にキッチリ適合したクルマのみ、公道は走れるわけですからね。

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