Vol.13 52歳既婚男性、初心者にBMWはネコに小判じゃなかったというハナシ

初心者にBMWを乗せるという愚?

BMW 5series (E28)

どちらも父親名義の車で、サニトラはおもに仕事、BMWはプライベート(ほぼゴルフ)で使われていた。

このBMWが最初にステアリングを握った車…だったら少しはセレブ臭がして格好イイのだけど、さすがに免許取り立てで、BMWをころがす勇気はなく、ボクにとっての初めての車はサニトラだった。

父親の仕事で酷使されていたサニトラは、海岸の砂浜を走ったり、雪道で無茶してみたりと、ボクにとって色々と気楽な車だったけど、サニトラにも仕事があったから、大学生のボクが日中遊びで使うにはBMWを乗らなければならなかった。

わが家のBMWは、E28型の最終モデルの528e。クルマの免許を取ったばかりのボクが、燃費を考えて設計されたなんてことを知る由もなく「なんかもっさりしたエンジンだなぁ…BMWってこんなもんか?」なんて感じたことを覚えている。

それもそのはずで、528eのイータエンジンは、大排気量エンジンを低回転域をメインに使うことで燃費を改善しようと企画・設計されたものだったから、エンジンの最高回転は5,000rpmほど、回転上昇も穏やかだった。

とはいえ、シルキーシックスと称されたBMW製6気筒の例にもれず、アクセルを踏み込めば、踏み込んだぶんだけ滑らかに回転を上げて行ったし、排気音は結構な低音で、当時の日本車とは明らかに異なっていた。

子供描いたようなスタイルのボディは、四隅がつかみやすく、バスッという音とともに閉まるドアを始め、いかにも堅牢な箱といった印象。ブレーキも良く効くし、ハンドリングは弱アンダー。乗り心地は硬めだったけど、それもいかにもドイツ車(BMW)に乗っている感じは、ちょっとした自慢だった。

クルマを評価する基準をBMWが作ってくれた

BMW 5series (E28)

免許取りたての528eは、速すぎないからこそ、とても扱いやすく、価格を除けば優しい車だったし、価格にビビってより安全運転にはなるし、事故などを起こした際の安全性という点では、サニトラの比ではなかった。

そしてなにより助手席に乗せる友人や女の子の親の身になって考えると、絶対的にBMWのほうが安全。安心して、僕の帰りを待っていることができたのだろう。さらに修理できる適度のキズはもちろん、もしクルマが潰れても乗員が安全なら容認してくれただろう。

あれから30年、この原稿を描いていて父親の大きさに感服してしまった。

それにしても三つ子の魂百までというか、トラウマというか、ボクにとってはこの528eを乗り回していたおかげで、自動車の基本的性能を判断する判断基準が自然に作られたことは、儲けもの。528eのお陰で今でも自動車関係の仕事を生業とできているのだから、初心者に高級車を与えても、決して無駄じゃないのだ。

わが家にあった528eは、父親の思い出とともに大切な宝物になっている。


Vol.4 52歳既婚男性が振り返る、独身男子には大いなる相棒だった車

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