2016年11月販売台数1位!日産 ノートのe-powerはHV?EV?どちらに近い?

何と29年6ヶ月ぶりの首位奪回!日産 ノートの快進撃

日産 ノートe-power

2016年12月6日、車名別新車月間販売台数が日本の自動車界を驚かせました。

何と2016年11月2日にマイナーチェンジを迎えた日産 ノートが同月の月間販売台数15,784台でトップを記録したのです(日本自動車販売協会連合会(以下、自販連)と全国軽自動車協会連合会が発表)。1987年5月の「サニー」以来、約30年ぶりという一大快挙を成し遂げました。

トラッド・サニーという愛称で親しまれ当時のサニー(6代目 B12型)と言えば、エッジが効いているというより、ひたすらカクカクと四角いデザインが特徴的なクルマでした。

確かにあの頃のサニーは日本中どこでも見かけるほどの大人気車でしたが、それ以来日産が販売台数1位を取った事がないとなると、その後の901活動など90年代前半までの日産車黄金時代も、結局マニア向けの一過性ブームだったのではと思えてしまいます。

そう考えると、新車効果とはいえ今回のノートの人気は本物と見るべきでしょう。というのも、ノートは前年同月の販売台数はわずか6,458台と、今年の半分にも至りませんでしたが、それでも軽自動車を除く新車乗用車月販ベスト10の常連でした。軽自動車のデイズと並んで日産の稼ぎ頭だったのは確かです。

しかし、モデルチェンジして4年目のコンパクトカーが、単なるマイナーチェンジでここまで伸びるのは不思議ではないでしょうか?販売台数の内訳までは公表されていませんが、その人気の理由は、新設定された「e-power」そのもの、あるいはそのイメージによるものである事は間違いないでしょう。

e-powerとは…EVなのか?ハイブリッドなのか?

「電気自動車のまったく新しいカタチ」と日産自身が「EV(電気自動車)です!」と言い切るe-power。しかし、そのエンジンルーム内にはしっかりと1.2リッター3気筒エンジンが収まっています。

そう、その実体とはエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車(以下、HV)にほかなりませんが、従来から搭載していたHR12DEエンジンに走行用の駆動は一切行わせず、発電専用としたのが最大の特徴です。

これまでのHVは、パラレル方式とスプリット方式という、エンジンもモーターも走行用として働く方式が採用されてきました。

パラレル方式は発電と駆動を兼ねたモーター1個で構成される事が多いので1モーター式と呼ばれる事も多く、ホンダが初期に採用したIMAなどがその代表格です。基本的にはエンジンで走行し、発進時や加速時にモーターでアシスト、減速時にはモーターを発電機として使い充電しますが、構造が単純な反面、発電と充電を同時に行えないというデメリットがありました。

一方スプリット式は、トヨタがプリウスなどで採用するTHSが代表格で、1つのエンジンと2つのモーターを複雑な動力分配装置を使って組み合わせる事で、エンジン単体でもモーター単体でも、あるいは両方を使って走行しつつ、発電と充電を同時に可能にしたシステムです。

それらに対してe-powerは、シリーズ式に分類される方式を採用しています。これは、エンジンで発電した電力を使いモーターで走行するという一見単純なシステムのため長い歴史を持つ一方、量産型のコンパクトカーに採用したのはノートが世界初です。

ハイブリッドよりEVに近いe-power

日産 ノート

船舶用や鉄道用として歴史があり、自動車用としても長い間研究されてきたシリーズ式HVですが、以前は自動車の走行に使う小型モーターやバッテリーの性能が十分では無かったため、わざわざ発電用エンジンとモーターという2つのパワーユニットを混在させるメリットが薄く、採用されることがなかったのです。

しかし現在では、EVは市販化され、モーターとリチウムイオンバテリーで十分に実用性の高いパワーを発揮できます。

実際に日産と傘下の三菱自動車は量産実用EVのリーフとi-MiEV、その他の販売実績を積み重ねており、「EVを作れるからこそシリーズ式HVを作れた」と言えるでしょう。いわばe-powerとは、HVというよりも「発電用エンジンを搭載し、バッテリーを小型化したEV」なわけです。

このe-powerの採用した方式は、レンジエンクステンダーEV(航続距離延長型電気自動車)とも呼ばれます。

e-powerでの走行方法は大きく分けて4種類

その走行方法もHVというよりEVに近い独特のもので、大きく分ければ4種類に分かれます。

日産 ノート

【バッテリー走行(エンジンOFF)】
まず純粋なEVより容量は小さいとはいえリチウムイオンバッテリーを搭載しているので、十分に充電されていればバッテリーの電気だけでモーターを回し、走行します。しかし、実際試乗してみると停止時以外はエンジンが常時回っている印象で、実用上は純粋にバッテリーのみでの走行時間はあまり無いようです。

日産 ノート

【バッテリー走行(エンジンON)】
実際には、バッテリーの容量を一定に保つためにエンジンで発電し、走行用モーターや電装品が求める電力(つまりクルマに生じる負荷)に応じてエンジンの回転数を上下させながら走る時間の方が多くなります。それでも通常動力車や従来のHVのように、アクセルペダルを踏んだ量と回転数は無関係で、操作感としてはリーフのようなEVに近いです。そのため、エンジンを積んだ乗り物という感覚で乗ると違和感がありますから、それもあって日産は「EVです」と強調する事で、ドライバーの頭を切り替えてもらおうと努力しているのでしょう。

日産 ノート

【エンジンから電力フル供給で走行(エンジンON)】
さらに負荷が上がり、バッテリーだけではモーターへの電力供給が間に合わなくなると、エンジンの発電力を直接モーターに回します。これがEVの場合、みるみるバッテリー残量が減ってドライバーを不安にさせるところですが、そこがe-powerの真骨頂!どこにでもある普通のガソリンスタンドで給油すれば良いので、不安に感じる事はありません。仮にガソリンスタンドにたどり着けなかったとしても、JAFなどロードサービスに最低限のガソリンを運んできてもらえば済むので、利便性は大幅に向上します。。

日産 ノート

【減速充電(状況に応じてエンジンOFF)】
減速時は駆動用モーターをそのまま発電機にして充電します。この時、バッテリー残量が一杯で無ければエンジンでも発電しますが、満充電で駆動用モーターも放電モードになればエンジンも止まります。

EV同様、航続距離を大幅に左右するのは暖房

日産 ノートe-power

e-power搭載車がEVに近いもうひとつの理由が「暖房」です。

ヒートポンプシステムを使ったEV用省電力暖房を使うリーフとは違い、ノートe-power自体は通常のエンジン排熱を利用した暖房を使えます。

そのため、暖房を使ったからと極端に電力消費量が増えるわけではありませんが、結局エンジンを回さなければいけませんから、暖房が必要になると燃費が低下するという意味ではEVと変わりません。

その意味ではノートe-powerを11月にリリースした事で、最初の冬場に「エンジンが止まらない」、「寒いと燃費が悪い」という口コミが出ないか、若干心配になるところです。

寒冷地仕様ではX-TRAILなどにも採用されている、車内を素早く暖めるPTC素子ヒーターがメーカーオプションで準備されており、税込14,040円とそれほど高額でもありませんから、購入時には選択しておいた方が燃費にいいかもしれませんね。

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