軽唯一のハイブリッド車、ダイハツ ハイゼットカーゴ ハイブリッドはなぜ1代限りで終わったのか?

ハイゼットカーゴハイブリッドとツインハイブリッド

軽自動車に初めてハイブリッド車が登場したのは2003年1月、スズキ ツイン ハイブリッドでした。

二輪車用のメンテナンスフリー鉛バッテリーを12個×2列直結して192Vにしたという強引かつ重たいバッテリーシステムを持つ割には、前輪駆動をアシストするモーターはわずか5kwアイドリングストップも無し。

重量増に低出力と非効率ではありましたが、それでもガソリン車の26km/hLに対して34km/Lと好燃費を記録しました(いずれもマニュアル車)。

その2年半後、今度は軽商用車で初のハイブリッド車として登場したのがダイハツ ハイゼットカーゴハイブリッドでしたが、結果的にこれが最後の軽ハイブリッド車となりました。

ハイブリッドやEVに熱心だったダイハツ

そもそもダイハツというメーカーは、ハイブリッド車やEV(電気自動車)の開発に非常に熱心なメーカーでした。

床下に大容量バッテリーを設置可能なハイゼットでは歴代モデルでEVを試作するだけでなく、実験的に路上を実用的な用途で走行させていましたし、その技術は正式販売モデルに生かされてはしなかったものの、電動ゴルフカートなどに活きました。

ハイブリッドも1970年には軽乗用車フェローを改造して軽ハイブリッド車を作り、その後もシャレード・ソシアルのに軽自動車のエンジンを発電用として搭載、モーターで駆動するシリーズ式ハイブリッド、つまり最新の日産e-powerと同じシステムで盛んにテストしていたのです。

そんなダイハツでしたから、2005年8月にハイゼットカーゴハイブリッドを発売した時には、驚きというより「ようやくか」という想いで迎えた人も多かったものでした。

トヨタと異なり、むしろホンダに近かったシステム

現在のように完全にグループ内に取り込まれる前とはいえ、既にトヨタの完全子会社に等しかった当時のダイハツでしたが、ハイゼットカーゴハイブリッドのシステムはトヨタのTHSを使わない完全オリジナルでした。

エンジンとミッションの間に薄型モーターを配置して、アクセルを踏めば約50km/hまではモーターアシストを行い、緩めれば発電機として電力を回収する1モーター式。

つまりホンダのIMAに非常に近いシステムで、発電と充電を同時に行えないため効率は悪く、スペース上も大出力モーターを使えないためモーターのみのEV走行ができないなど、あくまでモーターアシストが可能なだけの簡易ハイブリッドに過ぎません。

ツインハイブリッドより優れていたのは、当時まだ信頼性に難があったリチウムイオンでこそ無かったものの、それについでハイブリッド用として先進的だったニッケル水素バッテリーを使っていた事です。

軽量大容量バッテリーとアイドルストップで、20km/Lという燃費は、通常のハイゼットカーゴが15~16km/L台の燃費だった事を考えると好燃費で、発進加速にも優れていたのでした。

あまりにも限られたユーザー

もともと、ハイゼットカーゴハイブリッドはダイハツの地元、関西の商工会筋から「環境に貢献できる商用車を販売できないか」という提案を受けて、発売に踏み切ったものでした。

最初から環境意識の高い企業や役所、官公庁など限られた用途しか見込めない上に、通常のハイゼットが88~139万円で購入できるところ、222万円もしたのです。

トヨタが初代プリウスを発売した時の215万円は「21世紀へゴー!(215)」に引っ掛けた赤字容認の戦略価格でしたが、ハイゼットカーゴハイブリッドは少々安くしたところで需要のあるクルマではありませんでしたから、ダイハツも赤字を背負ってまで販売する気は無かったようです。

その結果、条件次第では購入時補助金もあったとはいえ「燃費で差額を埋めるのに25年かかる」と言われたほどでしたから、売れないのも当然でした。

2010年5月に生産中止するまでの4年9ヶ月で販売されたのは、約400台。

それ以後、ダイハツは「複雑高価な割に効果の薄いハイブリッドより、内燃機関の性能向上で好燃費を達成する」という方針に転換し、ミライース以降のe:s(イース)テクノロジーを完成させました。

トヨタの完全子会社となった今、トヨタ自体がEVに力を入れる事を決めたので、いずれダイハツ製軽自動車やコンパクトカーにもEVが登場するかもしれませんが、ハイブリッドだけは今後作る事は無いでしょう。

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