昔は頭文字Dのような峠でレースが頻繁だった?!なぜ今は少なくなってしまったのか?

AE86 ドリフト

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80年代から2000年代初頭あたりまでは所謂「走り屋」という人々を見かける事ができました。そこから着想を得たのが「頭文字D」であるのは言うまでもないわけですが、2016年現在、そのような峠でのドリフトや街道レーサーまがいの事を行う人種は減っています。これはなぜでしょうか。
Chapter
日本のクルマ・バイク文化青春の時期…
なぜ走り屋は減っていったのか
景気の悪化とエコカーの台頭
「走り屋」も成熟していく

日本のクルマ・バイク文化青春の時期…

80年代~90年代、つまりはまだ日本経済が活況だったころは日本のクルマ文化でも「青春の時代」といえるのではないでしょうか。コンビニに行けばクルマやバイク関連の雑誌は沢山見かける事ができ、その内容も非常に過激というべきか、現在の感覚では「完璧にアウト」なものが散見されました。それらはバイクでいえば「バリバリマシン」あたりが代表格ですが、現在は廃刊となっていますね。

さて、頭文字Dの連載が開始されたのは1995年。この時代にはまだスポーツカーが多く存在しており、トヨタはスープラ、MR2、日産はご存じスカイラインGT-R、180SX&シルビア、パルサーGTIR、三菱もGTO&FTO、さらにいすゞはジェミニやPAネロなどなど、スポーツモデルも百花繚乱の時期でしたね。
筆者は当時学生で、バイクで峠にいったり、深夜まだ開発の進んでいなかった某多摩エリアで毎週行われるゼロヨンを観に行った記憶があります。峠にいけばクルマも多かったですが、当時WGPも人気があったことから所謂「バイク小僧」が圧倒的に多く、ボロボロのレーサーレプリカで膝をする、なんて行為を楽しむ人々も多かったのです。

また峠はもちろん、夜の某埠頭では「ドリフト族」が出没し、当時というか、現在でも人気のあるFRスポーツモデルたちが爆音を響かせ、集まっているギャラリーにドリフトを見せつける。中には失敗して大破したり、ギャラリーの方に突っ込んでいったりと、非常に危険な行為であったのも事実です。

そうこうしてその「イベント」を楽しんでいると、どこからか「警察がきた!」なんて声があがり、集まっているギャラリー含め、脱兎のごとく逃げ出す…。そんな事が繰り広げられていました。おそらく参加した記憶のある方も多いのではないでしょうか。

なぜ走り屋は減っていったのか

峠をはじめとしたワインディングでドリフトを使ったトリッキーな走行を楽しむ、あるいはその技術で速く走る、そういった行為を楽しんでいたのが峠族です。仮に漫画のシーンのように封鎖して行うならまだしも、対向車線も駆使してバトルをするのですから、非常に危険な行為。人気の峠などは当然事故も多発。コーナー付近等に花が手向けられているのを見たことがあろうと思います。

前述のように、街道での競争行為は非常に危険であり、社会問題にもあがりました。すると警察による取り締まり、また行政による防止策が打たれていきます。

警察による取り締まりの強化、またドリフトや危険な走行を行うような箇所には道路鋲を設置、ひどい場所には監視員を設置するといった事も行われました。これも走り屋が駆逐された原因のひとつでしょう。

しかしそれ以上に挙げるべき理由があります。

景気の悪化とエコカーの台頭

バブル崩壊し、2000年代を迎えるとクルマ社会にパラダイムシフトが訪れます。それまで大排気量、ハイパワーのクルマがもてはやされていた価値観が、長引く不況、環境意識の高まりにより大きく転換していきます。つまりはエコカーの台頭です。

メーカーはこぞってエコカーをリリース、またユーザーサイドも大きなクルマを所有するより、環境に優しいクルマを選ぶ事がスマートである、という認識をもつようになっていきます。

また若年層が多かった走り屋の経済問題。スポーツカーをローンで購入できても、カスタマイズする必要があり、それだけのコストを捻出することができない…。といった事情もあったようです。

そしてかのスクラップインセンティブ、「エコカー補助金」の導入により、多くのスポーツカーがスクラップになっていったのは周知のとおりです。

「走り屋」も成熟していく

90年代あたりの思い出がよみがえる方も多かったのではないでしょうか。当時走りを楽しんでいた世代は40代~50代になっていることでしょう。経済的にも余裕がでてくる時期。もしかしたら、トヨタ86、BRZあたりを所有している方もおられるかもしれませんね。

NSXがハイブリッド仕様となったように、スポーツモデルも環境面や安全性(電子デバイスの進化)が飛躍的に向上しています。あのころの走り屋もきっと成熟した大人になっていることでしょう。そして今後もリリースされるであろうモデルでスポーツ走行を楽しむかもしれません。どうか無茶をせず、安全運転でドライビングプレジャーを感じたいものですね。
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