ロータリーエンジン、なぜマツダのみが作り続けるのか?他社が作らない理由とは

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マツダの新車販売が好調です。「魂動」コンセプトの美しくアグレッシブなデザイン、世界一クリーンなディーゼルエンジンなどが理由として考えられます。そしてロータリーエンジンの存在がマツダのスポーツイメージを強めています。他メーカーはなぜロータリーを生産してイメージ造りに役立てないのでしょうか。
Chapter
マツダだけがロータリーエンジンを採用
【理由その1】マツダがロータリーエンジンの特許を多く保有しているから
【理由その2】燃費が悪いイメージで、利益が出せない?
【理由その3】ロータリーエンジンを採用する特別な理由がない
このままロータリーエンジンは廃れてしまうのか?

マツダだけがロータリーエンジンを採用

ロータリーエンジンを自動車用エンジンとして世界で初めて実用化した会社は東洋工業株式会社(現在のマツダ株式会社)であることはよく知られています。

軽量・小型、低振動、低騒音、高出力であることから、エンジンルームに制約の多いスポーツカーに主に採用されました。現代なら居室空間を大きく取るミニバンにも採用されてもよいほどです。しかし現実として現在も開発を続けている主だった企業はマツダのみです。これは何故なのでしょう。

【理由その1】マツダがロータリーエンジンの特許を多く保有しているから

自社の存続を掛けてロータリーエンジンの実用化に乗り出したマツダは、多くの特許を申請しています。

その数1,300以上です。さらに2016年4月には新たにロータリーエンジンに関する特許を多数申請しています。ロータリーエンジンを生産するにはマツダに多額の特許使用料を支払う必要がありそうです。そのため、他社ではロータリーエンジンの生産に踏み切れないと思われます。

【理由その2】燃費が悪いイメージで、利益が出せない?

ロータリーエンジンには燃費が悪いイメージが付きまといます。RX-7や3ローターのユーノス・コスモでは実燃費が2~3km/Lとのレビューもあります。

ロータリーエンジンは構造上、燃料の混合気の燃焼効率をコントロールすることが難しく悪燃費になりがちです。現在は燃費を重視した自動車選びの時代。悪燃費のイメージが浸透しているロータリーエンジンを搭載しても数多くの生産は難しく、開発費の回収が難しいのです。

しかしマツダは違います。マツダのブランドイメージはロータリーエンジンです。またロータリー専用車として今なお人気の高いRX-7というブランドも保有しています。ロータリーエンジンの販売機会を最大限にまで活かせる自動車メーカーはマツダしかないのです。そのため、マツダのみが現在もロータリーエンジンを開発しています。

【理由その3】ロータリーエンジンを採用する特別な理由がない

マツダはロータリーエンジン抜きには語れません。現在の販売好調ぶりも優れたデザインや品質の向上、世界一クリーンなディーゼルエンジンの他に、スポーツカーを常に作り続けるマツダにスポーティーなイメージがあるからです。

そのイメージの元となっているのはロータリーエンジンです。マツダには何としてもロータリーエンジンを生産し続ける理由があるのです。しかし他社にはそれがありません。

ロータリーエンジンの利点は軽量・小型、低振動、低騒音、高出力ですが、いずれも技術が向上したレシプロエンジンに取って代わるほどのものではありません。

またロータリーエンジンには燃費の問題があります。燃費重視の現在、ガソリンエンジンとしてロータリーを選択する理由がないのです。

このままロータリーエンジンは廃れてしまうのか?

マツダ以外ほとんど他社から引き合いのないロータリーエンジンですが、このまま廃れてしまうのでしょうか。答えは「ノー」です。むしろこれからがロータリーエンジンが本当に必要とされる時代と言えます。というのもロータリーエンジンは次世代エンジンに転用できるからです。

ロータリーエンジンが悪燃費なのは、爆発が比較的緩やかなガソリンを燃料としているからです。

燃料がもし水素なら?水素は爆発力が強く、短時間で燃焼します。そのためレシプロエンジンと異なり弁構造を持たないシンプルで頑強な構造のロータリーエンジンの方が有利です。もちろん水素ですから燃焼させても排出ガスには水が含まれるだけです。カリフォルニア州のZEV規制にも楽々と対応できそうです。

さらにロータリーエンジンは小型である点を生かし、発電機としても有用です。自家発電機として使用もできそうですが、現実的なのは自動車に搭載しモーターの電力を供給することです。シリーズ式ハイブリッドのコアユニットとするのです。

これは決して絵空事ではなく、2010年にアウディがジュネーブモーターショーで発表したコンセプトカー「A1 e-tron」で採用されています。

技術的に早すぎた感のあるロータリーエンジンです。技術が発達しゼロ・エミッションが常識となってきた現代から、ロータリーエンジンの本領が発揮されることでしょう。
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