なぜ車のペダルは右がアクセル、左がブレーキの順番が多いのか?

実は法令では決まっていない?

日本でナンバーを取得し、公道を走らせるためには、国土交通省の定める「道路運送車両の保安基準」に適合した自動車である事が大前提になります。例えば、この保安基準の中に、「アクセルは右、ブレーキは真ん中、クラッチは左」と書いてあれば、それが根拠でこのようなレイアウトになっていると判ります。

しかし、実は保安基準にそのような記載は一切ありません。保安基準第10条操縦装置の項目を見るわけですが、詰まる所「加速装置・制動装置・クラッチ・変速装置」を操作するための「操作装置」は、「ハンドルの中心から500mmの範囲内で、運転者が定位置から容易に操作できる事。」と書いてあるだけなのです。

という事は、この範囲に収まってさえいれば、左足でアクセルとブレーキの操作をする車でも、保安基準はパスできる。という事になります。また、レーシングカートのように、右足がアクセルで左足がブレーキというようなレイアウトにもできてしまいますね。

車両によってはこの限りでもない

法令がこのように書いてあるのは、アクセルやブレーキの操作が必ずしも足で行われるとは限らないからです。例えば、身体障がい者の方が運転できるように改造された自動車の中には、ハンドル操作だけでなくアクセルやブレーキの操作を手で行えるものも存在しています。

また、特殊用途の作業車両なども同様です。機能や役割に応じて操作方法が同じとは限りません。もちろん、私有地内だけで使うような作業用機械であればよいのですが、耕運機やホイールローダーなど公道を走れるものも。これらの車両ではペダル配置が必ずしも同じではなく、ペダルが多いものなどもあります。

法令でペダルの位置などを決めてしまうと、これらの装置は法令違反となってしまいますので、あえて「細かく定めていない」と言えます。

いわゆるデファクトスタンダードが現状

ほとんどの国では、アクセルやブレーキのペダル位置を定めていることは無く、メーカーが自由に決めても問題がない状態であることは判りました。実は、20世紀初め、自動車のその後に影響を与えた5台の車がポイントになっています。

まずは、T型フォード。このT型フォードには、前進と後進を選別するためのペダル(現在だとシフトレバー)が存在していたため、4つのペダルでした。ただ、配置としては、左から、[ギヤ・ブレーキ・アクセル]でした。

その後発売された、モーリス・ミニ、シトロエン・DS、VW・ビートル、ポルシェ・911と続いていきますが、どの車も同じ配置に。ギヤの変速を今と同じクラッチペダル+シフトレバーにしたビートルや911も、[クラッチ・ブレーキ・アクセル]という配置は変えませんでした。

このとき、特段決まりごとが有ったわけではないようですが、この操作方式が世の中に浸透したため、この配置がデファクトスタンダードとなり、現在に至っているものと考えられます。

ウインカーレバーの配置が輸入車と国産車で異なるのは?

左ハンドルがベースとなる輸入車の多くは、ウインカーが左側についています。日本車から乗り換えた輸入車乗りあるあるの定番ともいうべき操作ミスと言いましょうか、もう定番です。
逆に輸入車に乗り慣れた方が代車やレンタカーなどで日本車に乗った場合も、同じミスを一度はするものでしょう。

さて、このウインカーレバーの位置ですが、これも法令では定まっていません。その為、左右どちらにあってもよいのです。容易に操作ができれば、ステアリングコラムではなく、ステアリングにウインカーのスイッチが有っても問題はありません。

最近はオートマチック車が多いため気にならないという方も多いと思いますが、マニュアル車の場合大きな問題があります。車線変更のウインカー操作をしながらギヤ操作をしたい。というタイミングは首都高などを走っていると、わりとあるもの。そのため、シフトレバーとウインカー、両方の操作を左手でしないといけない右ハンドルの輸入車には実は難儀するものです。

そのため、正規輸入については右ハンドルの設定が多いドイツ車でも、マニュアル車だと左ハンドルも設定している。というケースが散見されますね。因みに、VWは右ハンドル仕様はウインカーが右になるよう、レイアウトを変更しているそうです。

まさかとは思いましたが、これらはすべてデファクトスタンダードで成り立っていました。当然各自動車メーカーも、運転方が異なる車を出したところで売り上げは見込めませんので、アクセルやブレーキ、ハンドルの配置などは変更しませんね。しかし、自動運転という時代が来たら、少し違うかもしれません。

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