1年以上動かしていない車を動かすときに注意すべきこととは?

エンジン始動(長期放置車)

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何かの事情があって、車を長時間動かさずに放置してしまう事があります。最近の日本車はそれくらいでは問題なく走り、それこそ信頼性という人もいますが、本当に久々にエンジン始動して走る事ができるのか、どんな事に注意すればいいのか解説します。
Chapter
本来なら毎日動かすのがベストコンディション
数十年ほったらかしで動くような車もある
眠り姫を起こしましょう
いよいよエンジン始動
走り出すのも慎重に

本来なら毎日動かすのがベストコンディション

自動車というのは本来、毎日動かし、金属製やゴム製の部品をしっかり馴染ませることで、最もベストなコンディションを保てます。もちろん、そうすれば各部の摩耗や、消耗品の劣化は避けられませんが、そこは日常的に当たり前のメンテナンスを行えば良いだけの話です。

中には「毎日エンジンをかけて、そのたびにオイル交換をする」という気合の入った人もいますが、現実的には週に一度、近所での買物でも無いちょっとしたドライブをするだけでも良いのです。それが無理なようであれば、それに応じたメンテナンスをしてあげましょう。

一番車に良くないのが、「毎日暖気もせずに数分乗って終わり」というパターンで、車のあちこちに残った水分がサビの原因になったりします。

数十年ほったらかしで動くような車もある

特殊な例として、数十年「展示物」として放置していたにも関わらず、特別なメンテナンスをしなくても動くようなケースもあります。旧ソ連が第二次世界大戦で多用した「T34」という戦車で、1930年代に開発されながら、現在でも現役の国があるという名車です。

祖国防衛に貢献したという重要性から、旧ソ連のあちこちに記念品として引退したT34が展示されていたのですが、旧ソ連崩壊後、とある国営工場が解体され、再開発される事になりました。

そこで困ったのが数十tの置物と化していたT34で、引っ張るのもクレーンで釣り上げるのも難事な事から、どうやって撤去しようと悩む事になります。

結局、ダメ元で動くかどうか試してみようという事で、新しいオイルと燃料を入れて、新品のバッテリーを繋いだら難なくエンジン始動、自力でスクラップ場まで走ったそうです。当時世界一の水準と言われたオールアルミのディーゼルエンジンと、信頼性を追求しきった優れた設計が何十年もの眠りをものともしなかったという特異なケースでした。

ただ、普通の自動車はそこまでヘビーな耐久性を求められておらず、むしろ適度に壊れて買い換えてくれないとメーカーが困るような消耗品ですから、同じように考えない方がいいでしょう。

眠り姫を起こしましょう

さて、久々に眠りから覚ます自動車ですが、欲を言えば動かす前に一度オイル類は全て交換できればベストです。

その上で、エンジンのヘッドを開けてサビで固着していないか確認したり、プラグホールからオイルを注入して手動でクランクシャフトを回してオイルを馴染ませてやったりといった事までできれば、問題が無い事を確認できます。

ただ、そもそも普通の人はそのような作業ができるスキルも環境もありません。そのためには一度動かすか積載車に載せて整備工場に運ぶ必要がありますので、ちょっとばかり手間です。

本当に貴重で部品も手に入らないから、万が一があると困る!という車はその手間をかけた方がいいのですが、最近の車ならある程度はメンテナンスフリーでオイルも劣化しきるまで時間がかかるので、そのままエンジン始動を試みてもいいと思います。

それで問題が起きても、最悪エンジンを壊して交換する事になるだけですし、勉強したと思いましょう。ただ、最低限、ファンベルトなどゴムベルト類が切れたりヒビが入っていないかを目視点検して、指で押して緩みが無いか、テンション(張り)で確認できますので、簡単な点検くらいはするべきです。

いよいよエンジン始動

さて、久々にスターターを回してみるわけですが、もちろんその時点でウンともスンとも言わない場合もあります。バッテリーが完全に放電してしまっているか、スターターが固着しているかという状況なので、慌ててバッテリーを買いに行く前に、キーをONやACCにして車内の電装品が起動するか確認してみましょう。

電装品が全く沈黙しているか、弱々しくランプがつく程度ならバッテリーを充電するか交換です。逆に、電装品が生きていればスターターがアウトなので、整備工場行きですね。

そこを乗り越えてうまくエンジンがかかれば、十分に暖気しましょう。日頃使う車であればともかく、長時間放置していたとなると、本腰を入れてエンジンが滑らかに動く事を確認しなければいけません。

「ハイブリッド車などアイドリングストップする車はそもそもエンジンが止まったままなのでは?」という指摘があると思いますが、そんな時のためにエンジンを強制的に連続運転する「メンテナンスモード」というのが準備されていますので、取扱説明書で確認してみましょう。

走り出すのも慎重に

エンジンがかかり、暖気までいけばしめたものです。通常は水温計の針が動くか、水温が低い事を示すランプが消えるまでですが、ここはもっとじっくり暖気しましょう。

なぜかといえば、ラジエターなど冷却水が漏れている場合もあるからで、その場合は水温計の針が上がりすぎたり、オーバーヒートを警告するランプが点灯します。この場合もそれ以上の運転は断念して整備工場行きですね。また、暖気運転中にアイドリングが安定しない場合も、吸排気の配管やセンサーの不良なので、無理して動かさない方がいいです。

それも乗り越えればいよいよ発進なのですが、注意すべきはブレーキと、MT車の場合はクラッチです。ブレーキは長時間放置していればまずサビていますので、最悪の場合は摩擦材とブレーキローターやドラムと固着、そうでなくともサビが落ちるまではブレーキの効きが弱いです。

動かせたら何度か強めのブレーキを踏んで、サビを落としましょう。それとクラッチに関しては、主に湿式クラッチに多いのですが、水分で「張り付き」が発生する場合があります。

要するにクラッチディスクが張り付いて切れない状態なのですが、その場合は高めのギアに入れたままエンジンをかければ張り付きが取れる場合もあります。自信が無い場合は無理せず自走しない方がいいでしょう。

ここまでいろいろと注意点を書きましたが、本当にエンジンを中心に基本中の基本だけの部分です。他に点検しないといけない部分はたくさんありますから、まず最初のドライブで最寄りのディーラーか整備工場で、オイル交換がてら、一度念入りに点検整備してもらうと良いと思います。
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