古い車では当たり前!昔はどのようにアイドリングを調整していたのか?

昔は何でもしてくれるコンピューターなど無かった

「自動運転」の話題がニュースを騒がせる事も増えた世の中ですが、「何もしていないのにコンピューターが勝手にスロットルを操作したり、最適な変速比を連続的に無断変速させて走る」という時点で、既にロボットカーのようにも思われます。

かつては手技、足技、腰技を駆使し、それこそ足の小指一本の微妙な力加減まで使ってコントロールしてこそ、その車を我が物にしたような感覚がありました。今は「ドライバーの心、車知らず」で、勝手に最適と思う操作をしてくれるようになっています。

それはそれで安全で良いですし、物足りない人は筆者のように古い車に乗れば済む話です。

アイドリングもそのひとつで、コンピューターが無い車ではエアコンON時などにアイドリングを上げてくれる「ステッピングモーター」や、暖気が終わると勝手にアイドル回転数を下げてくれる「オートチョーク」があれば、電子制御ではなく機械式でも立派な運転補助装置でした。ちなみにそんな大昔ではなく1990年頃の車ですが、21世紀になる頃まではそういう車も新車で売っていたんです。

アイドリング不調でまず見ていたプラグコード

アイドリングストップ

そんな時代の車だと、今のようにボンネットを開けたらまずはエンジンカバーがあるので中がどうなっているのか…という事もありません。アイドリングでの回転数が妙に低かったり、回転数が上下して安定しない時は普通に自分で見に行きます。

そんな時にまず手軽で最初に見るのはプラグコードの断線や破損によるリーク(漏電)で、プラグコードに触っただけでビリッと来る時もあれば、コードを外してアイドリングが変わらなければそのコードは断線、などとやっていました。

そもそも今の車はプラグにイグニッションコイルが直結された「ダイレクトイグニッション」がほとんどなので、プラグコードそのものを見かける事も少なくなりましたが、ちょっと古い車に乗る機会のために、覚えておいても良い話です。

プラグコードではなく、プラグの電極が磨耗しきっていたり、あるいは緩み止めが効かなくなってコードをつけたままプラグがスッポ抜けたり。

果てはプラグではなくデスビ(ディストリビューター。各シリンダーへの配電器)のポイントが劣化したのが原因だったから、これを機会にポイント式をやめてフルトラにしよう、などという話をしていると、1990年代以前のクルマ好きなら懐かしすぎて涙が出る方もいるかもしれません。そもそもダイレクトイグニッションですとデスビそのものが無かったりします。

アジャストスクリューでアイドリング調整

ハンチング(アイドル回転数が一定しない不整脈)などの不具合には他に吸気漏れやスロットルの不具合などがあり、電子制御キャブレターや電子制御インジェクションのエンジンだと、コンピューターの判断材料となるセンサー類の不調がよくあります。そのため各部の清掃やセンサーを交換後、コンピューターをリセットする事で不調が解決する事が多いのです。

ただし、最近の車はディーラーなど正規販売店や、同等のメンテナンス設備を持つショップにしか置いていない、故障診断機を使わないとコンピューターリセットもままならない車が増えていますので、ユーザーどころか一般整備工場すら手に負えないパターンが増えてしまっています。

「コンピューターなど後付のカーナビくらい」という昔の車では、機械式キャブレターや機械式インジェクションでしたから、ユーザーなり整備士なりが「アジャストスクリュー」と呼ばれるネジでアイドル回転数の調整をしていましたから、方法さえわかっていれば楽なものでした。

他にも燃料を調整して排ガス補正をしたり、デスビの角度を変える進角補正で点火タイミングを変えてみたりと、いろいろな方法があったものです。

もっとも、アレコレ触れるという事は目に見える部分のトラブルばかり考えすぎて、いろいろとイジった末に原因は燃料ポンプの故障でした、という事もありますので、今のように診断機で一発解決というのも楽で良いとは思います。

ちょっと昔の電子制御エンジンでの調整も面白かった

そうした機械的な調整をする仕組みは、今のようにエンジンからミッションからブレーキ、デフまで統合制御するようになる前、単純にエンジンだけを制御していたような過渡期のエンジンにはまだ残っていました。

基本設計が古いエンジンゆえ名残として残っていたようなものでしたが、ホンダの「EACV(エレクトリック・エアコントロールバルブ)」や、トヨタの「ISCV(アイドル・スピード・コントロール・バルブ)」など、さまざまな名前で今でもアイドリング調整機構が残っていたりします。

ただ、最近の車ですと手動で調整した結果をコンピューターが異常と判断してフェイルセーフモード(安全のため最低限の動作しかしない)に入ったりするので、診断装置が無い場合は安易に手をつけない方がいい車も増えています。

先に書いたような過渡期のエンジン(2000年頃まで)では、「サブコン」などチューニング用の補助コンピューターを容易に介入させられました。停車中にサブコンをモニターしているパソコンからアイドリングを調整したり、走行中に燃料噴射や点火タイミングを変えたりと面白い事もできたのです。

個人や小さなショップでもDIY感覚でちょっとしたエンジンのアイドリング調整やチューニングができたのはそのあたりの時代が最後でしたから、これからの車ではほぼ無縁な話です。

それどころか、HVやFCV、EVなど、モーターで走る車が多い上に、エンジンで走る車もアイドリングストップが当たり前ですから、無縁どころか「アイドリング調整」など死語になるかもしれませんね。

古い車は整備解説書一式揃えるのがオススメです

話題が話題なのでノスタルジックな昔語りのような話になってしまいましたが、なにぶん機械式制御など昔の話なので、現在は正規ディーラーの整備士でもよほどのベテランか特殊な経験、スキルの持ち主でないと対応できないケースが多いです。

古い車の整備書が廃棄処分されて何もわからない、というのもよくある話なので、昔の車が好きな人、これから手に入れようと言う人は、自分の車の整備解説書一式程度は何とか入手しておく事をオススメします。

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