オーバーフェンダーとブリスターフェンダーの違いとは?

S30

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自動車の前後フェンダーには様々な種類があります。例えば、オーバーフェンダーとブリスターフェンダー。どちらも通常のボディよりも横に広がっているという意味では同じですが、細かく見ていくと、違っています。その違いの中身とこれらのフェンダーの用途とは?
Chapter
オーバーフェンダーとは?
旧車に多いオーバーフェンダー
保安基準の微妙な違いによって取り付けられるケースも?
ブリスターとは膨れ上がったと言うもの。
純正だけではない
オーバーフェンダーとブリスターフェンダーのハイブリッド?

オーバーフェンダーとは?

オーバーフェンダーは、既設のフェンダーに対して三日月形状のフェンダーを上から被せることで、ボディサイズを拡幅する部品のことです。日本の保安基準では、ホイールおよびタイヤは、ボディより外側に出ることが禁止されています。

また、ホイールやタイヤがむやみにボディより外に出ることは、走行上の危険を伴うため、決して良いとは言えません。しかし、より太いタイヤや、トレッドの拡大などを考える場合、現在のフェンダーよりも外側にタイヤを持っていきたい、というケースも多々あります。

そのような場合、タイヤやホイールのキャンパー角を調整してタイヤの上側をボディの中に収まるようにもしますが、ホイールの中心線から、前方30度、後方50度の範囲内はフェンダー内に収まっていないといけません。

その範囲内が収まるようにキャンパー角を付けると、非常に寝かせるようなケースもあります。そこで、必要最低限のキャンパー角を付けつつも、タイヤおよびホイールをはみ出せない手段として、オーバーフェンダーを用います。主には、より横幅の広いタイヤをはかせる場合などに用いる手段です。

旧車に多いオーバーフェンダー

オーバーフェンダーの付いている車は古い車に多い…と言うイメージ。ハコスカもGT-Rにはオーバーフェンダーが付いていました。現代の形成技術や生産ラインの改善であれば、スカイラインとスカイラインGT-Rのボディを別物にする、ということはそれほど難しい話ではありません。

しかし、生産ラインをより共用化し、簡素化するには、純正でもオーバーフェンダーは便利なアイテムです。やはり多いのはスポーツカーへの装着ですが、ハイラックスサーフやパジェロなども、より太いタイヤを履いたワイドボディモデルには、オーバーフェンダーが純正で設定されていました。

オーバーフェンダーは、足回りはそのままに、より太いタイヤを履く手段とも言えるアイテムです。

保安基準の微妙な違いによって取り付けられるケースも?

F30型BMW3シリーズの場合、本国の保安基準は満たせるものの、日本の保安基準に照らし合わせるとフェンダーからタイヤがはみ出すことから、フェンダーアーチに簡単なモールを付けています。

ほんの数ミリの問題ですが、このような小さなものも、ある意味オーバーフェンダーと言えるでしょう。

ブリスターとは膨れ上がったと言うもの。

ブリスターフェンダーとは「膨れ上がったフェンダー」を意味します。わかりやすいところは、R33やR34のGT-Rでしょうか。GTSのボティと見比べると一目瞭然ですが、より膨れ上がったフェンダーになっており、当然タイヤも太く、トレッドも拡大しています。

そのため、ノーマルボディの車両とは足回りを構成するアーム類も別物、というケースが多く、より本格的なスポーツカーに関しては、ブリスターフェンダーを採用しているケースが多いです。

また、ブリスターフェンダーは、膨れ上がったフェンダー自体を指す言葉であって、ノーマルボディあってのブリスターフェンダー、という意味ではありません。例えば、ポルシェ911や、ランボルギーニなどは、初めからブリスターフェンダーありきのデザインになっており、膨れ上がった前後のフェンダーが魅せるポイントにもなっていますね。

筆者が最もすごいと思ったのは、R33型GT-Rの4ドアモデル。オーテックジャパンの特装車ですが、リアのドアも含めてブリスター化してある、本格的に”金のかかった”特装車であることは間違いありません。

純正だけではない

オーバーフェンダーは、既設フェンダーの上にかぶせて取り付けるタイプのものですので、防錆対策などができれば、比較的簡単に個人でも施工できる類のフェンダーです。もちろん、車幅が変わるので、場合によっては改造公認などを取る必要もありますが、施工自体は簡単なものです。

一方、ブリスターフェンダーは、フェンダーだけでなくその前後も含めて膨れ上がらせるため、そう簡単に加工できるものでもありません。しかし、社外品が無いわけでもなく、D1グランプリで有名なCarMakeT&Eをはじめ、多くのメーカーがブリスターフェンダーのエアロキットを販売しています。

加工と取り付けには、専門的な知識や工具が必要となりますのでDIYでやるようなものでもありませんが、既存車両のボディメイクも可能です。

オーバーフェンダーとブリスターフェンダーのハイブリッド?

実は過去には、両方を取り入れた車がありました。ランサーエボリューション5/6です。ランサーエボリューション5と6は、フロントはフェンダー事交換するタイプのブリスターフェンダー。リアは既設ボディの上から被せるオーバーフェンダーと使い分けをしていました。

これはmフロントフェンダーは、フェンダーという一つの部品であるため、同じラインで製造する際にも個体によってモノが違う場合に対応しやすい部品。対して、リアフェンダーは、ボディそのものからフェンダーを造形する必要があるため、この混合ラインは少し面倒なのと、そのための金型作成やデザイン作成などが必要であり、開発等に時間を要するものであるためです。

WRCのホモロゲモデルとして、より早く市場投入するためにも、必要最低限の性能UPと必要最低限の工期でこれを賄うための手段だったのでしょう。
オーバーフェンダーとブリスターフェンダー。どちらも車幅を広げ、より太いタイヤを履かせるための手段でもありますが、その用途に応じて選び方も異なります。また、車幅が変わるので、改造公認を受ける必要がある車両でもあります。

そして、一度施工したら戻しにくい加工でもありますので、フェンダー加工は慎重に。
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