10,000回転を超えるエンジンを持った車はどの程度存在したのか?

二輪ではわりとポピュラーですが…

SUZUKI GSX-R1000(camera:kyn_chung)

「10000回転回るエンジン!」と言えば自動車の世界では驚かれますが、二輪の世界ではそれほど珍しい話ではなかったりします。最近のホンダのように低中回転志向のエンジンも増えてきましたが、4気筒250ccで18000回転以上、4気筒1000ccでも12000回転以上回るエンジンというのは特に珍しくは無いのです。

二輪の場合は車両重量が自動車の半分以下ですから、考慮しなければいけない低速トルクというのが大幅に変わってきまして、スポーツバイクではむしろ自動車のような低回転で走る事が少なかったりします。

ピストンスピードの限界とストローク

HONDA F1(camera:Stuart Seeger)

そもそもレシプロエンジンというものはピストンスピードの限界というものがありますので、その限界の中で1分間の回転数を稼ぐとなると、ストロークが短ければ短いほど回転数を稼げます。

しかしショートストロークでは回転数は稼げてもトルクが出ませんので、バイクのように軽い車ならともかく、それなりの車重がある車では低速でとにかくモタついたり、それを避けるため高回転で常時走ると、途端に燃費が悪化します。

特に時代が進むにつれてスポーツカーでも環境性能が求められるようになりました。トルクと燃費を稼げるロングストロークエンジンで、F1並のピストンスピードという限界値が見えてきて、現在ではおおむね9000回転程度です。市販車でそれを超えるようなエンジンは、現在では存在しないと言っても良いでしょう。

そして、過去にはこのようなエンジンがあったという話になりますが、タコメーターの精度の問題もあって、確実に1万回転オーバーと呼べるかどうか、今となっては定かでは無いものも含まれます。

回転数と言えばロータリー

MAZDA(V 4 and Rotary Nationals 2014 - Drag Day)

高回転と言えば何といってもロータリー。実際にはロータリーエンジンは思ったほど高回転を稼げるものではなかったものの、最初の実用マツダロータリーである10Aからチューニング次第で10000回転まで回せるものは存在しました。市販車用としても13Bで10000~10500回転程度がチューンド・ロータリーの上限になります。

市販車ではありませんが、ル・マンで優勝した787Bなどもエンジン単体では10000回転以上回せるポテンシャルはありました。しかし、それで24時間耐えられるギアボックスが無く、9000回転までチューンしていたなどの事情もありました。闇雲にエンジンが回れば良いとも限らないのですね。

昔の軽自動車のエンジンはバイクそのもの

360cc時代の軽自動車のエンジンにも、少なくともタコメーター上は10000回転以上、回るものがありました。

ホンダのNやZなどが有名なところですが、当時の軽自動車のタコメーターには低回転に二輪同様イエローゾーンがある「低回転は使ってはいけない(プラグがカブる)」という世界だったので、むしろ超高回転までガンガン回ってくれないと困る車だったのです。

550cc時代になってその流れはいくらか落ち着きますが、それでもスズキはアルトワークス以前にアルトツインカムが10000回転まで軽快に吹け上がると言われていましたし、続く初代アルトワークスではターボ化により必然性こそ薄れたものの、やはり10000回転回せたと言われています。

その他のメーカーは比較的トルク志向でそれほど回さない傾向にあり、スズキも660cc時代に入って現在まで続く名機「K6A」エンジンとなってからは超高回転志向ではなくなりました。

それでもK6AやダイハツのJB-JL、JB-DET、三菱の4A30などの軽自動車用エンジンや、それをベースとしたダイハツのJC-DETのような競技用エンジンは、高回転エンジンとして軽いチューニングで10000回転に達するポテンシャルを持っています。

小排気量であればレース用で10000回転

軽自動車に限らず、OHVエンジンながら10000回転で175馬力を発揮するA12エンジンを搭載した日産のB110サニー、AE86やAE101などグループAレース用エンジンで10000回転回す事も可能だった4A-G(「頭文字D」のように軽く10000回転オーバーとはいかなかったようですが)、それにホンダもシビック用のB16系で10000回転以上回しておりましたね。

これらはあくまで、一発勝負どころでの限界値として10000回転オーバーという数字があるだけで、常時それを発揮できるというものではありませんでしたが、ホンダのB18Cなども含め、約1600~2000cc程度まではチューニングにより10000回転に達するものがありました。

そして10,000回転市販車は実在した?

前述の軽自動車を除くと、「10000回転回せる市販車」は非常に限られます。

グループCレースカーの「ポルシェ962C」をベースに市販車へカスタマイズして、実際に販売された「シュパン962CR」が、もしかすると唯一のケースかもしれません。「アート引越センター」でもおなじみのアートコーポレーションが1990年代半ば約2億円で販売したそうですが、バブル崩壊でスーパーカー需要も無く、わずか数台が販売されたのみと伝えられています。

原型からデザインが大幅にカスタマイズされ、デチューンされてはいるものの、元のグループCカーとしてのポテンシャルは健在で、600馬力を発揮する3.5リッター水平対向6気筒ツインターボは、10000回転まで回せたとも言われていますが、超高価な幻のスーパーカーのような車なので、実際にどうなのかは定かではありません。

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