多くの国産車に設定されてきたAWD…輸入車は今でもAWDが少ないのか?

日本の乗用AWDの先駆け

subaru Leone(camera:PROJOHN LLOYD)

確かに日本はクロカンやSUVだけでなく、セダンやステーションワゴン、コンパクトカーや軽自動車まで、ありとあらゆる車にAWDが設定されている印象です。その起源と言えば、東北電力が宮城スバルに依頼して冬季の業務用に作った「スバルff-1 1300Gバン4WD」にあるのは有名なところですが、その後もスバルは後継車の「レオーネ」でバンのみならずセダンにもAWDを設定します。

そのレオーネAWDでオーストラリアのラリーに出場した時は、「こんなセダンがAWDのわけがない」と言われてAWDクラスへの出場を断られかけ、大会委員の目の前でジャッキアップして四輪を回して見せ証明する必要がありました。

1970年代の「AWD乗用車」はそれほど珍しく世界的には非常識とも言える存在だったのですが(先に書いたオーストラリアでのラリーは、クロカンAWDを相手に当たり前のようにブッチギリで勝ったそうです)、1980年代に入ると日本では各メーカーが追随し、軽乗用車ですらAWDが当たり前のように設定されました。

日本でAWDが当たり前になった理由

雪道(photoACより)

そこまで日本でAWDが普及した理由は、「峻厳な山地と都市が狭い国土に混在しているから」これに尽きます。まず雪が降る地域では、冬になれば平地では雪が降らなくても、少し遠出をすれば雪に出くわすのが当たり前でしたから、AWDであれば安心できることこの上ありませんし、メーカーもそれを盛んに宣伝しました(実際には、最近までのAWDは走破性が高いだけで、言うほど安全ではありませんでしたが)。

そして、狭い国土でそれほど収入があるわけでもない一般庶民は、一台の車で全てをこなす必要に迫られていました。結果としてAWDの車を1台持っておけば大抵の事態には対応できるので、普段必要かどうかに関わらず普及したのです。

そして、行き着いた先として一時期のクロカンAWDブームがありましたが、さすがにそこまでヘビーデューティーな車の必要性はそうそうありませんでした。そのため、乗用車ベースのクロスオーバーSUVが日本で誕生するキッカケとなりました。

そもそも日本ではAWDが多いのか?

prius in snow(camera:Chad Kainz)

輸入車にAWDが少ないかどうかの前に、現在の日本ではAWDが多いのでしょうか。クロスオーバーSUVやクロカン車にAWDが多いのは当たり前ですが、セダンやステーションワゴンとなると、ミドルサイズまでの日常で使う車には多いですが、高級モデルでは設定がある、という程度の場合が多くなります。特にFR車がベースになっていると、AWDモデルは一般的とまで言えません。

北海道に行けば、街を走る車が高級車に至るまでAWDばかり見かけ、雪国に来た事を実感させられますが、本州以南ではそうそうある光景ではありません。高級車以外でもセダンやコンパクトカー、軽自動車ではむしろFFが多く、最近はトラクションコントロール技術やABS、スタッドレスタイヤの発達でAWDではなくても十分に走れる事が多いのです。

AWDの必要性がある人はクロスオーバーSUVなどに乗り換えているケースも多いでしょう。ハイブリッドカーの先駆者にしてベストセラーのプリウスが、2015年12月に4代目となるまでAWDの設定が無かった事を考えても、AWDが必須では無い事がわかります。

輸入車にAWDは少ないのか?

ここまでの日本車の状況を踏まえた上で、日本に導入されている輸入車のセダンやステーションワゴンを見てみます。

まずアウディは日本車に先駆けてフルタイムAWDのクワトロシステムを実現したメーカーですから、AWDの設定があるのは当たり前です。BMWは3シリーズや5シリーズにAWDの「x-Drive」、メルセデス・ベンツはCクラスからSクラスまで同じく「4MATIC」が設定されています。

ボルボ車もかつては雪国スウェーデンのメーカーなのにAWDがありませんでしたが、今ではV40など設定済みです。どのメーカーも全グレードにAWDがあるわけではありませんが、日本車でも同クラスの車なら同じ話ですね。

その他にも輸入車のセダンやステーションワゴンが無いわけでもありませんが、販売台数が極端に少ないのと、例えばロールスロイス・ゴーストにAWDである事を求める人がそれほどいるとも思えません。日本車で言えばセンチュリーにAWDを求めるようなものですので、除外します。

そのようなわけで、ひどくアッサリした答えになりますが、「輸入車のセダンやステーションワゴンにもAWDはあるし、その割合は日本車と変わらない」というのが結論です。豪雪地帯の方も、安心して輸入車を選択してください。

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