高級車では復活しつつある4WS…なぜ量販車には4WSが採用されなくなったのか?

「パッシブ4WS」ニシボリック・サスペンション

4WSの話題で忘れてはならないのがいすゞの「ニシボリック・サスペンション」です。

簡単に言えば、リアサスペンション前後で横に通されたラテラルリンクの位置やブッシュの硬さを工夫する事で、コーナリング時に路面からの入力に対してサスペンションの動きから「同位相」「逆位相」を実現してしまうものでした。

他社の4WDは能動的に操作する「アクティブ4WS」が多かったのに対し、いすゞの「ニシボリック・サス」は受動的に動く「パッシブ4WS」で、特に制御や可動させるための機構を持たないシンプルなもので、似たような仕組みは日産やマツダでも採用されていましたが、大々的に宣伝したのはいすゞくらいのものでした。

3代目(いすゞ製としては最終型)のJT760ジェミニのFFモデルに採用されましたが、熟成不足のまま投入されたので市場での評価は「違和感」の一言であり、ラリーなどで活躍していたにも関わらず、走りを求めるユーザーほどニシボリック・サスをキャンセルする必要に駆られてしまうという、乗用車メーカーとしては末期のいすゞを象徴するようなメカニズムになってしまったのです。

もっとも、似たようなパッシブ4WSであるマツダの「ナチュラル4WS」などにも同じような話はありましたが、「ニシボリック・サス」の場合は大々的な宣伝が、かえって仇となってしまったのでした。

実は高級車では復権の傾向

現在も生産されている乗用車の4WSは、ほとんどが高級車やスーパーカーのものとなっています。

現行モデルでは国産車では日産の「4輪アクティブステア」がY51型フーガ/シーマ、同型OEMの三菱プラウディア/ディグニティと、CV36スカイライン・クーペに、レクサスが「LDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング・システム)」を現行GSやISに採用中。

海外の車でもBMWの「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」が7シリーズに採用されており、最近ではポルシェが991型からGT3とターボ車に「アクティブリアホイールステアリング」を採用するなど、むしろ高級車やスーパーカーでは4WSが復活傾向です。

しかし、日産はそれまで4輪アクティブステアを採用していたスカイライン・セダン2014年にV37へモデルチェンジした際に、ハイブリッド車に「DAS(ダイレクトアダプティブステアリング)」を採用しました。

これは安全装置として従来のステアリングシャフトも残しつつ、ステアリング操作を電気信号で伝達するステア・バイ・ワイヤ機構で、この採用と同時にスカイライン・セダン全車から4輪アクティブステアを廃止しています。

理由としては「DAS」と4輪アクティブステアのマッチングに難があったためとも言われますが、今後スカイライン・クーペやフーガ系のモデルチェンジなどで「DAS」の採用があった時に、同じ事が起きるのか、あるいは「DAS」とのマッチングを克服して復活するのかはわかりません。

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