なぜACC(アクセサリー電源)でパワーウィンドウを動かせない車が多いのか?

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スイッチ一つで窓を開け閉めできるパワーウィンドウ。エンジンがかかっていなくても使いたい!という需要はあるものの、ACC(アクセサリー)電源では動きません。
Chapter
エンジン停止時でも使えるけれど
運転席からならば、エンジン停止直後は動かせる車種も
定番化した改造のひとつ「パワーウィンドウ電源遅延化」
ACC電源が供給されているのを活かすケースも
モーターによるバッテリーへの負担
かつてのパワーウィンドウの危険性…

エンジン停止時でも使えるけれど

エンジンを止めてから、窓の閉め忘れに気づき、またエンジンをかける…という方は多いと思います。

実際には「ACC」ではなく「ON」までキーをひねればパワーウィンドウも作動するのですが、あくまでエンジンがかかっている状態と同じ位置…つまりエンストしているのと同じ状態なので、エアコン等の機器が全て起動してしまいます。

それではバッテリーに負担がかかるので、あくまで「ACC」でシガーソケット電源などと同じようにアクセサリーとして動いて欲しいという場合もあるでしょう。

運転席からならば、エンジン停止直後は動かせる車種も

エンジンを切ってから30秒程度は、運転席にある集中スイッチでパワーウィンドウを動かせる車種や、キーを差し込んだ状態で左に回せば運転席のパワーウィンドウが開き、右に回せば閉まる、というギミックを仕込んでいる車種も存在します。

これらの対応はメーカーや車種によって全く異なるので、実際に自分で乗っている車で試すか、取扱説明書で確認するしかありません。

定番化した改造のひとつ「パワーウィンドウ電源遅延化」

エンジンを切るとキー位置「ON」以外ではパワーウィンドウが完全沈黙してしまう車種では、不便さの解消のために「パワーウィンドウ電源遅延化」という改造が行われている事があります。

ターボタイマーなどを流用し、エンジンを切ってもパワーウィンドウのモーターに電源を供給できるようになっており、ターボタイマーを流用しますから電源供給時間を設定できる仕組みです。

つまり、純正で「エンジンを切ってからも30秒間はパワーウィンドウが生きている」車種と同じ事ができる上に、その時間もコントロールできるわけですね。

ACC電源が供給されているのを活かすケースも

キー位置「ACC」ではパワーウィンドウに電源が供給されていない…という前提でいると、実は供給されている事があります。

ヒューズボックスの中にあるパワーウィンドウのヒューズを外し、テスター(測定器)で電源が来ているかを確認すると、ACCででも来ているケースがあるのですね。

実際にはその先で別にリレー(簡単に言えば電気のスイッチです)を作動させて、ACCの時はパワーウィンドウの電源を落としているのです。エンジンを切ってからも動作する車種の場合は、このリレーが指定時間になると切れる仕組みのようです。

そのため、車中泊用途でACCで常時パワーウィンドウを使いたい人などは、リレーの加工でACC時の電源供給を実現しているケースもあります。単に車のエンジンを切った時の閉め忘れとは違い、車中泊の場合は寝袋や毛布の中で寝ている間に、換気したい、などの需要がありますので、しょっちゅう車中泊している人はこのように快適性を高める工夫をしているようです。

モーターによるバッテリーへの負担

他の電子機器と違い、パワーウィンドウはスイッチを入れない限り電気を消費しないのですから、常に待機状態にだけさせておけば良いのでは無いでしょうか。それをしない理由の一つが、「パワーウィンドウのモーターは電力消費が意外と多い」という事です。

頻繁に開け閉めできるようになると、バッテリーが突然弱ってエンジンもかけられなくなる…では困ってしまうので、電力消費量の大きい機械は極力動かしたくないというのがメーカーの本音。

しかし、最近ではスズキの「エネチャージ」のように、エンジン関係のバッテリーとは別に、バッテリーを搭載する事でアイドリングストップ時にも走行と直接関係無い機器を、エンジン用バッテリーに負担をかける事無く動かす技術があります。

そのバッテリーを使えば、ACCでパワーウィンドウを動かしても、エンジンがかからなくなる事は無いはず…。

パワーウィンドウの動きを制約する、もっと大きな理由があります。

かつてのパワーウィンドウの危険性…

今のパワーウィンドウには、異物を挟み込むと停止する安全装置がついていますが、かつてはそのようなものはついていませんでした。

そこで起きてしまったのが、「半開きの窓から顔を出していた幼児が、足で誤ってパワーウィンドウのスイッチを動かして窓を締めてしまい、逃げる事もできずに挟まれて窒息、あるいは指などを切断した」という事故の多発です。

消費者庁など関係機関が問題視した事により行われた実験では、パワーウィンドウのモーターには「大根を切断する」ほどの力がある事がわかりました。

重たいガラスをスムーズに上下させるために必要な力なので、モーターの出力は落とせません。それで安全装置や、運転席から操作できるパワーウィンドウロック(チャイルドロック)が実用化されましたが、それ以前から停止時(キー位置ACC)でのパワーウィンドウ操作は制限されており、いわば安全装置の一種だったのです。

それだけでは結局エンジンがかかっていれば安全装置としての役目を果たさないので、他の安全装置が追加されました。

このようにACCでパワーウィンドウを動かせない事には安全上の重要な意味があります。その制限を緩和する改造を行う場合は、無制限にACCで動かせないように、時間を制限したりON/OFFスイッチをとりつけるなど、安全上の配慮は心がけましょう。
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