なぜ車のエンジンオイル交換後に「走り」が変わることがあるのか?

オイル交換は、基本はメーカーの指定通り

エンジンオイル

よくある「車のエンジンオイルはどのくらいで交換した方がいいの?」という質問ですが、答えは「まずは車の取扱説明書を読んでください」となります。その車ごとにメーカーの定める条件は全く違うので、「何km」と明確に決めることはできないためです。

自分でレベルゲージなどで点検して、明らかに減りすぎている、などがわかれば話は別ですが、取扱説明書に「何km、あるいは何ヶ月ごと」「交換するオイルは○○」などのように記載されているので、それにまずはそれに従うのが無難。

ディーラーで点検に出し、「次の点検前に交換時期が来そうなら」純正エンジンオイルを交換していれば、そのまま次の車に乗り換えるまで、特に不具合も無く走ってくれる事でしょう。
短いサイクルで交換して悪いものではないので、ディーラーでオイル交換無料キャンペーンでもやっていれば、その時交換しても良いのです。

「早め交換」は正しいのか?

インターネットの掲示板などでは「自分の場合は~kmごと」などと短期間、あるいは短距離で交換する…と様々な意見が飛び交っていますが、乗り方や車種によっても変わってくるので、参考にする程度にとどめておくのが良いかと思います。

また、最近はセルフ方式が増えたので点検を勧められる事は減りましたが、ガソリンスタンドでの無料点検では「エンジンオイルが汚れているから交換しましょう」と言われる事も多々あります。

早めに交換して悪いものでも無いですから、その時の気分に合わせて交換しても構わないでしょう。

ただし、エンジンオイルというのはエンジン内部の汚れを取るのもその役目ですから、汚れているのは普通の状況ですし、正しいサイクルで交換しているならそう神経質になる事もありません。

プラシーボ効果にも意味はあります

エンジンオイルを交換すると、古いエンジンオイルと共にエンジン内部の汚れも一緒に落ちていくので、抵抗が減ります。そのため、少し振動が出ていたエンジンでは振動が減りますし、高速道路などでは多少エンジンの回りが良いような気もします。

その「気のせい」で性能が蘇ったり変化したように体感する事を「プラシーボ効果」と言いますが、ドライバーのメンタルを癒して気持ちよく乗れるのではあれば、現実にとても効果があると考えてもいいでしょう。逆に「何となく調子が悪かった気がする」というのは、本当に性能が劣化する前のサインである場合もあります。

また、それとは別にエンジンオイル交換で「走りが変わる」というケースは実際にありますので、いくつかご紹介します。

シビアコンディション

「シビアコンディション」とは、メーカーが標準的と想定したものを超えて日常的に走行する事ですが、その「標準的な使用環境」の範囲は意外と狭いものです。

たとえば、交換時期が「12000kmまたは12ヶ月」とメーカーから指定されている車で、12ヶ月に20000kmも走るようであれば、メーカー標準を超えた過走行に入ると思っていいでしょう。

あるいは悪路、急坂のある山道を走る事が多い場合や、高速道路で高回転を多用する場合(ギアの関係で、一昔前までの軽自動車に多いです)など、高負荷な走行が多いケースも、エンジンが高熱になりやすく冷めにくいので、エンジンオイルの劣化が早まります。

そして一番多いのが「チョイ乗り(短距離走行)の繰り返し」です。近所に買い物に行く用途ばかりだと、少し走っては止まりの繰り返しになりますからエンジンオイルが十分に循環されず、劣化しやすくなります。

こうしたケースだと、メーカー指定の距離や時間が来る頃にはかなりエンジンオイルの劣化が進んでいると思ってよいです。

車によっては取扱説明書に「シビアコンディションの場合」という欄がありますので、そちらに従うか、記載が無い場合には通常のコンディションの半分から3分の2程度を目安にしてください。

スペックの異なるエンジンオイルへの変更

ディーラーではそれほど種類がありませんが、カー用品店やショップに行くとさまざまな種類のエンジンオイルが販売されています。普通の人なら取扱説明書に記載の純正オイル、またはその同等品を入れておけば問題ありません。

しかし、ちょっと気分転換にいつもと違うオイルを入れてみたいと思い、「10W-40」が指定の車に「0W-30」と、粘度が緩いオイルを入れたとします。

その場合はエンジンオイルの抵抗が減るので、高回転まで回した時の吹け上がりが良いと体感できる事もあります。ただ、最近の車では電子制御でエンジンの調子からミッションまで制御するので、単に燃費が良くなるだけかもしれませんし、そもそもエンジンの組立精度が上がり、大排気量・ハイパワー車でも0W-30など低粘度オイル指定が増えていますから、古い車に限った話かもしれません。

その逆に、真夏に高回転を多用するなどシビアコンディションが予想されるので、高熱になっても粘度を保つよう、「10W-30」指定の車に「15W-50」など高粘度オイルを入れる事もあります。

その場合は、燃費は若干落ちるものの、長時間高回転走行をしてもトルク感が落ちにくいなどの変化が出ますので、過酷な環境で耐久性を持たせたい時に向いています。

スポーツ走行による変質

シビアコンディションは前述しましたが、サーキット走行や競技会などモータースポーツでの走行は、それを上回るハイパーシビアコンディションです。

筆者も普段100%化学合成のスポーツ用オイルを入れていたところ、安いオイル(半化学合成油)を入れて競技会に出場した事があります。その時は1分半程度の全開走行を2本走っただけで、エンジンフィーリングがザラザラしたものに変わってしまったのです。

急発進、急加速、限界いっぱいまでの高回転走行を短時間で繰り返した事でエンジンが急過熱し、エンジンオイルが限界を超えて変質してしまったことが原因でしたが、その後元のスポーツ用オイルに交換すると、ザラザラした感触は消えて元のエンジンフィーリングに戻りました。

このようなハイパーシビアな環境でオイルが変質する状況だと、確かにオイル交換で全く走りは変わります。

本当に危険なのは「何も変わらない状況」

「オイル交換で走りが変わるシチュエーション」をいくつか紹介しましたが、実は本当に危険なのは「交換時期まで何も変化が無く、交換しても変わらない」状況です。

交換サイクルが近づくか、明らかにオイルが劣化した状態で、「何かエンジンの振動が大きくなったかな?」と思うくらいがちょうど良くて、そう思ったタイミングで交換していれば問題はありません。

しかし、高性能なエンジンオイルの中には、劣化しきってもエンジンフィーリングになかなか影響を与えず、さらに過走行するとエンジン内部のパーツ摩耗による抵抗減少で、エンジンの調子が良くなったと錯覚してしまうケースがあります。

そこでエンジンオイルの交換時期を思い出せば良いのですが、忘れたままシビアコンディションの走行を続けて、ある日前兆も無くエンジンブローした経験があります。

そのため「何となく調子が悪かったけど、エンジンオイルを交換したら戻った」と感じる気持ちはとても大事ですし、その気持ちが麻痺してしまうような環境であれば、エンジンオイルを以前はいつ交換したか、しっかり記録をつけてください。

エンジンオイルはエンジンの健康を保つための大事な血液です。自覚症状があればもちろん、無くても主治医(ディーラーやショップなど)で治療を受けるのは、当たり前だと思いましょう!

Source: www.j-hide.biz |

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