世界に3台の黒のポルシェ959は2億円以上?発売当時世界最速のその実力とは?

世界最速の市販スポーツカーを目指して

959

1970年代のブームで知られるようになった、フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーが、メーカーの宣伝とは裏腹に、実際にはテストコースなどで好条件を得ない限り「最高速度300km/h以上」は難しかった事は、現在ではよく知られています。

その状況は1980年代前半まで続きますが、アウトバーンなどの公道も含めた本当の意味での「300km/h」の壁を、市販車として初めて突破したと話題になったのが、1986年デビューのポルシェ「959」でした。

GT-Rも参考にしたと言われる4WDシステム

「959」は元々、「911」用の4WDシステムの開発成果を用いて、「グループB」カテゴリーでのラリーやレースに参戦するために製作されました。特筆すべきは前後の駆動配分をコンピューターで分析し、自動的に制御する「電子制御可変トルクスプリット式」という画期的な4WDシステムで、市販車で初採用だったのです。

これは後にさまざまなメーカーで採用されますが、日産が「アテーサE-TS」の名で真っ先に追従してBNR32型スカイライン・GT-Rに搭載して以降、現代のR35型GT-Rに至るまで一貫して、ポルシェをライバルとする元となりました。

グループBマシンとして生まれ、世界最速のスーパーカーとなる

当時のFIA(国際自動車連盟)の競技車両カテゴリーの一つ、「グループB」として認められるためには200台の生産が必要でした。「959」もそのつもりで生産を開始しましたが、予想を超える注文に、実際は283台が生産されます。

「959」は最高速度300km/h以上を達成のため、当時のグループCレースマシン、ポルシェ「962C」に搭載していたものをベースとして、公道向けにファインチューニングを行ったDOHC2848cc半空冷(ヘッドのみ水冷)ツインターボエンジンを搭載し、前述の4WDシステムによる強烈なトラクションと、ポルシェ930型「911」をベースに空力面でリファインを加えたボディを組み合わせた事で、「世界最速」の座を手に入れました。

当時はスーパーカーが革新的な成長を遂げていた時期で、「世界最速」の座は翌1987年にデビューしたフェラーリ「F40」に奪われ、さらにはマクラーレン「F1」などの登場で300km/h以上が当たり前のようになっていきましたが、その世界への扉を開いたのが、この「959」だったのです。

グループBの終焉と、パリダカでの活躍

1980年代のWRC(世界ラリー選手権)は特殊なラリーマシン「グループB」の登場で高速化・過激化が進み、さらに過激な「グループS構想」までありました(当時の「グループB」の過激さを表す逸話として、F1モナコGPに余興のエキシビジョン走行を行ったランチア・デルタS4が、予選6番手相当のタイムを出したエピソードがあるほどです)。

しかし相次ぐ重大事故から「959」がデビューした1986年を最後に「グループB」自体が終了してしまいます。

そのために活躍の場を失った、もしくは活躍する前に終わってしまったマシンもフォード「RS200」や三菱「スタリオン4WD」など数多く、デビューしたばかりのポルシェ「959」も早々に活躍の場を一つ失ってしまったのです。

一方でデビュー前から参戦していた「パリダカ」ことパリ ダカールラリーでは、初めて「959」の名でデビューした1985年こそリタイアに終わったものの、それ以外の年は結果を出しました。「953」の名前で実験車が参戦した1984年と、「959」の名で2回目の参戦となった1986年には総合優勝を勝ち取っており、自慢の4WDシステムの優秀性を証明する事ができたのです。

さらに同年にはボディを拡大しフルチューンされた959ベースの「961」がル・マン24時間レースに出場してクラス優勝、総合でもポルシェ「962C」などのグループCカーに混ざって7位に飛び込みました。

その後は新世代のポルシェ「911」である「964型」に4WDの「カレラ4」が設定された事もあり、「959」はポルシェ4WDシステムの広告塔としての短い役割を終えたのです。

959のボディカラー

959

300台も作られなかった「959」はほとんどオーダーメイドで製作されたため、ボディカラーもいわゆる「純正色」というものは存在しません。ただ、今に伝わる写真などからはシルバーのものが最も多くて印象深い代表的なボディカラーとなっており、ついでホワイト、レッド、マルーン、グレーなどがありました。

その中でもブラックの959は3台しか存在しないと言われており、その中の1台が2015年8月のベブルビーチ・オークションに出品されました。


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