なぜスポーツカーのハンドルは小さいのか?

ステアリング径の意義

レーシングカー、あるいはスポーツカーに取り付けるハンドルの多くは小径です。他方で、トラックやバス、大型SUV等のハンドルは大型のものが多いイメージがありますよね。

ハンドルはクルマを操作する重要なパーツ。そのクルマの特性に合ったものが装着されています。たとえば、大型車両の前輪は当然重たいわけです。ホイールも大きければタイヤも大きい。ですから極力小さな力で操作するようなセッティングにしたい。そう考えると、外周の大きなハンドルにすれば「てこの原理」で、小さな力で操作しやすくなります。

もちろん現代のクルマには電動・油圧のパワーステアリングが装備されていますから、そこまで「力」という部分は問われなくなっています。しかし、マイルドな旋回特性になるという側面もあるため、安定した走行を重んじなければいけない大型車のハンドルは大きい方が都合が良いのです。

その代わり、旋回する際には相応の「運動量」が必要になってしまうことは大型ハンドルのデメリットといえます。

スポーツカーにとって小径ハンドルのメリットは?

前述のように大型車輛には大径ハンドルが装備される事が多く、その方がメリットが大きいと言えます。一方で、レーシングカーやスポーツカーには「小径ハンドル」の方が好まれます。これは大径ハンドルと真逆の話で、「少ない運動量」で旋回させる事ができるからでしょう。それだけクイックな特性になるとも言えますね。

ただ、大径ハンドルよりも操舵が「重くなる」というデメリットはあります。パワステがあるクルマであれば些末な事ですが、軽量化の為に(あるいはクイックな操舵を求めて)パワステを外したクルマや、そもそもパワステの存在しないヒストリックスポーツカーなどは、ハンドルを小径にすると「かなり重い」のも事実です。

アクリルやFRPを使用しかなり軽量化を施したS30型フェアレディZであっても、走り出せばステアリングは軽いものの、低速時や車庫入れでは本当に、歯を食いしばるほどステアリングが重いのです。こうしたスポーツカーを、さらに小径ハンドルとするのであれば、そうした覚悟が必要になります。

しかし操舵時の手の移動・運動量は減りますから、人車一体感は増すといえますよね。

ハンドル操作性で重要な「ロックトゥロック」

ご存じの方が多いと思いますが、ステアリングの操作で重要なのがロックトゥロック(lock to lock)です。これは文字通り、ステアリングを片側いっぱいから反対側いっぱいまで切ることを指し、このステアリングの最大切角を回転数で記すものです。この回転数の数値が少ないほど、反応がクイックであるわけです。通常のクルマは3回転以上のものが多く、3回転未満であればスポーティな特性となります。

例えば、ホンダ・S2000のロックトゥロックは2.4回転となっており、非常にクイックになっています(可変ギアレシオステアリングを与えられたモデルはなんと1.4回転…)。また軽スポーツカー、AZ-1は2.2回転だったそうですから、あのショートホイールベースも相まって、凄まじくクイックな特性が与えられていたと言えます。

合理的な可変ギアレシオステアリング

このロックトゥロックの回転数でステアリング特性が変わってしまうわけなのですが、これを速度域で可変できれば合理的ですよね。実際それはすでに実用化されており、前述のS2000やレクサス、また最近ではスイフトにも搭載されています。

低中速時はクイックレシオ、高速時はスローレシオと、走行場面で理想的なギアレシオになれば、よりユーザーフレンドリーになると言えますよね。

とはいえ、小径ハンドルを取り付けるスポーツカー好きな方にとっては、こうした現代のデバイスも「邪魔」となる可能性も。そのため重要となるのは、自分のニーズに合ったものを選ぶこと。

ハンドル・ステアリングひとつとっても非常に奥深いものがありますね。


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