V10からV8へ!なぜ、BMW M5はV8へ舵を切ったのか?

そもそもV10はE60だけだった?

BMW M5 V10エンジン

そもそもV10エンジンを搭載したM5の方が珍しく、これはE60型だけなんです。

M5というスペシャルモデルが設定されたのは、1982年のE28型に遡ります。このモデルは初代M5ですが、BMWお得意のシルキー6エンジンでした。また、M5としては2代目(5シリーズでは三代目)となるE34型も同じくシルキー6搭載であり、どちらかといえば「ジェントルな」スポーツサルーンに仕上げられています。

ただ、それは今見ればであり、当時のスペックとしては目を見張るものがあり、非常にハイパワーであったといえるでしょう。続く、E39モデルでシルキー6からV8になります。このV8は5000ccで約400馬力を発揮。アウトバーンのある本国ドイツでは、リミッターを外すだけで290km/hでの走行が可能だったそう…。この辺りから、暴力的なパワーを秘めた野獣感が溢れますね。

E60ではV10へとさらに拡大。5000ccで500馬力となり、進化したSMGと組み合わされ、まさに獰猛な肉食獣のような強さを持つハイパワーサルーンへと進化していきます。

なぜ、V10搭載はE60だけなのか?

BMW M5(E60)

E60が発表されたのは2003年のことで、このころのBMWのトピックはF1に参戦していたことです。ちょうど、ラルフ•シューマッハ選手と、ファン•P•モントーヤ選手がコンビで走っていたころ。

日本からもトヨタ自動車が参戦していた時期ですので記憶にある方も多いかもしれません。この当時のF1はダウンサイジングターボではなく、V10高回転型エンジンが主流。市販車では20000回転も回すわけにはいきませんが、当然ながら市販車にもF1のテクノロジーがフィードバックされいた時期でもあります。

当時E46だったM3には、F1のカーボンファイバーテクノロジーを活用した、CSLと言うモデルが設定されましたが、当然M3にV10は重すぎる…。そこで、M5にV10が設定されることになるわけです。車重はわずかに1900kgを切る程度の、割と重量級FRですが、V10エンジンのおかげでパワフルを通り越して「暴力的」な加速をしてくれます。

一度サーキットでの試乗の機会があり、いわゆる「全開加速」をしたことがありますが、サーキットでも怖いくらいでした…。もうこれは「アウトバーン専用」と思ったくらいの一台です。

最新のM5はエコにも気を使う?ダウンサイジングターボ時代

BMW M5 2011

車好きのみなさんなら、似た感覚を覚えることはあるかもしれませんが、エンジンの気筒数が多いければ多いほどパワーがある。と思ってしまいがちです。

実際、NAエンジンではこれは間違いではなく、より排気量が大きいエンジンを高回転まで回す方がパワーが出ます。排気量を稼ぐには、ボアとストロークを上げていくわけですが、それでは高回転まで回らなくなるので、気筒数を増やしてボアとストロークを小さくします。そのため、NAの場合は多気筒ほどパワーが出るというのはあながち間違いではありません。

現行モデルであるF10型M5。このモデルは4400ccとE39と比べて排気量が下がりました。しかし、その代わりに着いたのがツインスクロールターボ。結果的に最高出力は560馬力と、さらにパワーアップを遂げています。車重1980kgと、ドライバーまで含めれば実質2tを超えるボディも、560馬力と言う、文字通り溢れるパワーで軽々と前に進んでいきます。

0−100km/h加速では、E60が4.7秒だったのに対し、F10では4.3秒と、0.4秒も縮めています。その割に車重が増えているのだから驚かされます。また、車重は増えているものの、重量の前後バランスを非常に気にするのがBMWでもありますよね。

フロントに長いシルキー6を搭載できるメーカーですので、V10を積んでもバランスを取れるとは思いますが、それでもエンジンは短い方が、車体中央に重量物を集められます。よって、あえてV8と言うコンパクトなエンジンを使うことにより、重量バランスの改善により「駆け抜ける喜び」の深化を進めているんですね!

F10脅威の「環境」性能

BMW M5 2011

日本では、エコ=燃費=ランニングコスト、と考えてしまいがちです。日本のドライバーは傾向的にみれば近距離走行タイプで、1回の給油で往復できる程度の利用が多く、さらに長距離を走るケースは年に数回というのが平均的なところです。

反して、欧州は大陸間移動も多く、国をまたいで走ることもよくある話。そうなると、長距離走行時にどの程度燃料を消費するかは大事なポイントとなります。長距離を走る上で、燃費は非常に大事ですし、給油の回数が増えれば、それだけ所要時間が増えてしまいます。

燃費性能においても改善が見られ、その改善率は約30%となっています。E60型では約6.9km/Lだったのが、F10型では10.1km/Lまで向上。この3kmは大きいですよね。タンク容量50Lとすれば、150kmも航続距離が伸びた計算です。


今回ご紹介したM5は、その時々の最新の技術を用いた「スポーツサルーン」であると言うことでは間違いないでしょう。M3はモータースポーツのためのホモロゲモデルも兼ねていますので、より確実なアプローチで性能アップを図っているようにも感じます。F10型5シリーズとしてはモデル末期を迎え新型が噂される時期ですが、まだまだ獰猛なM5から目が離せません。

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