"SKYACTIV-G"の1.5倍?マツダ、燃費50km/Lエンジン開発に着手!

マツダ SKYACTIV-Gエンジン

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去る9月24日、マツダの金井会長がインタビューの中で、燃費45~50km/Lのエンジン開発に着手した事を明らかにしました。これが実現すれば、既存の内燃機関単体での燃費性能を大幅に超えるエンジンとなります。マツダが目指すエンジンとはどんなものなのでしょうか。
Chapter
燃費50km/Lのエンジン開発へ
マツダのSKYACTIVエンジン
エンジンに対するマツダの考え方
次世代のスカイアクティブテクノロジー

燃費50km/Lのエンジン開発へ

マツダの金井会長のインタビューにて、マツダが50km/Lという燃費のエンジン開発に着手する方針だという事がわかりました。

現在、マツダでは、デミオに搭載されている「SKYACTIV-G」という、30km/Lの燃費のエンジンが既にありますが、それよりも1.5倍ほどの燃費という事になります。現在のSKYACTIVテクノロジーなどをさらに発展させ、CO2の総排出量なども減らし、2020年以降の完成を目指すとのことです。

今までもガソリンやディーゼル車に搭載する従来型エンジンの性能をブレークスルーしてきたマツダですが、更にその性能を引き上げることで、EVやFCVをはじめとする次世代エコカーにも負けない燃費性能の実現を目指すようです。また、金井会長は簡易な「ハイブリッドシステム」を採用する可能性にも言及しました。

マツダのSKYACTIVエンジン

CX-5をはじめとする、マツダの2012年以降発売のモデルには「SKYACTIV TECHNOLOGY」により生み出されたエンジンが搭載されており、大きく2種類のエンジンが存在します。通常のガソリンを燃料としたエンジン「SKYACTIV-G」と軽油を燃料としたエンジン「SKYACTIV-D」です。

「SKYACTIV-G」「SKYACTIV-D」の両エンジン共に既存のエンジン技術の常識を打ち破り、ハイブリッドのような内燃機関+モーターのような複合技術ではなく、内燃機関単体でハイブリッドなどの燃費に迫る高効率エンジンを作り上げました。

特にディーゼルエンジンは、東京都をはじめ2003年より施行されたディーゼル車規制条例によって世間一般的に非常にダークな印象を持たれ、国内メーカーにおいて搭載車のラインアップが減少していました。

しかし、マツダの新世代クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の登場により、世間のディーゼルエンジンへのイメージが大きく変わり、現在の国内市場ではクリーンディーゼル車=マツダ車と言っても過言ではないくらい、マツダのディーゼル車は高い人気となっています。

では、「SKYACTIV-G」と「SKYACTIV-D」のエンジンの特徴はどんなところにあるのでしょうか?
まず、両者に共通しているのが、従来の常識からは考えられない圧縮比で、ともに圧縮比14という数字を実現しています。現在の市販車のガソリンエンジンの場合、圧縮比は10~12程度のものが多いので、「SKYACTIV-G」では高圧縮化がなされていることになります。反対に、ディーゼルエンジンでは一般的に圧縮比18~20のものが多いので、「SKYACTIV-D」では低圧縮化がなされているのです。

では、それぞれに圧縮比を14にした理由についてですが、ガソリンエンジンの場合、一般的に圧縮比は高いほうが熱効率に優れるとされています。しかし、圧縮比を高くするとノッキング現象が起こり、逆に大幅に効率を下げてしまいます。ノッキングとは燃料と空気の混合気が高温高圧にさらされた際、正常な燃焼が終了する前に自己着火を起こす異常燃焼のことで、不快な音や騒音も発生させます。圧縮比を14まで高めてもこのノッキングを抑えることができるようにしたのが、「SKYACTIV-G」エンジンなのです。

一方、ディーゼルエンジンである「SKYACTIV-D」の場合、低圧縮にすることによる始動性の低下や温度低下による半失火というデメリットを克服し、圧縮比14を実現しました。これにより、環境に悪いNOxやススの発生量軽減、エンジン自体の軽量化などを実現しています。また、ディーゼルエンジンでほとんど搭載されている後処理装置を不要としているのも他社と大きく違う点です。

エンジンに対するマツダの考え方

2000年初頭くらいから各社が次世代エンジンの開発を1000人規模のチームで行う中、マツダのチームは数十人だったそうです。そして、ハイブリッドなどの新しい技術開発をするのに必要な膨大な資金も人員もマツダには無い中、選択した結果が内燃機関の性能をとことん磨き上げることだったのです。

選択の理由として、ハイブリッドなど既存の技術で同じ土俵で戦ってもマツダは勝てない、まだ10年や20年先では内燃機関が動力としては主であるなどの理由もあったとのこと。

当時から、もう内燃機関には性能改善の余地があまりないというのが一般的な見方でしたが、マツダはまだ数十%もの改善の余地があるという逆転の発想でSKYACTIVエンジンを見事完成させました。動力の基本となる内燃機関の基本性能を大幅に上げる事ができていれば、そこにハイブリッドシステム等を組み合わせた時にも遥かに効率のよいハイブリッドシステムも作れるはずでしょう。

次世代のスカイアクティブテクノロジー

では、現在のエンジンの性能を更に向上するためにマツダはどのような手法を取るつもりなのでしょうか?まず基本としては、今のスカイアクティブエンジン同様、7つの制御因子に関して更に制御技術の向上を図る事です。

マツダが考える究極の内燃機関を実現するための7つの制御因子とは、「圧縮比」「比熱比」「燃焼期間」「燃焼時期」「壁面熱伝達」「吸排気行程圧力差」「機会抵抗」で、これらを全て改善する事によってガソリンエンジンもディーゼルエンジンも理想の状態が同じになると考えているのです。

そして、この理想の形の1つとして研究されているのがHCCI(予混合圧縮自己着火/Homogeneous Charge Compression Ignition)です。HCCIはガソリンエンジンでもディーゼルエンジンのように空気とガソリン燃料を混ぜたもの(予混合)を燃焼室に導入し、ピストンの圧縮によって自己着火させます。ただし、解決困難な課題も多く、その実用化は相当な難易度だと言われています。

しかし、マツダの目標は、この技術を確立し従来のSKYACTIVエンジンに利用すれば約30%もの燃費改善を達成すること。
SKYACTIVテクノロジーでエンジン開発に関する今までの常識を打ち破り、グローバルに「モノ造り革新」を展開するマツダ。次世代スカイアクティブテクノロジーでも、きっと世界が驚くような技術開発を成功させてくれるでしょう。

それを期待しながら、燃費50km/Lの究極のエンジンの登場を楽しみに待つ事にしましょう。また、マツダなら極限まで燃費性能を高めつつも燃費だけでない車をきっと作り上げてくれると信じています。
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