FFは高級車に向かないというのは本当なのか?

課題だったのはハンドルの手応えとエンジンの前後動揺

FFレイアウトというのは合理的なスペース効率をもつ代わりに、ドライブフィールにおいて課題があったのは確かです。

・ステアリングフィール
ハンドルを切ると前輪が向きを変えます。同時に動力を路面に伝えるのがFF。しかもクルマは加速の際に前を持ち上げますから前輪の接地状態というのは必ずしも安定しているわけではない。ましてや左右のタイヤが同じ状態の路面に接しているとは限らず、片側が空転する、あるいはその気配がハンドルに伝わってくる、これが高級車において嫌われる要素の第一でしょう。

FRなら前輪と後輪の役割が分割され、前輪は舵取りに専念できるため、ハンドルへのキックバックが少なく、素直なステアリングフィールを得やすいわけですね。

・エンジンのマウントと振動、動揺の処理
縦置きFFもありますがまずは横置きFFのお話を。横置きの場合、出力軸と同一方向にエンジンを搭載することになります。クランクシャフトからトランスミッション、ドライブシャフトからタイヤへと動力、というよりトルクは伝達されますが、この際にエンジンは出力軸の回転方向とは逆方向に動こうとします。

このために当然ながらエンジンはきちんと固定しなくてはならないわけですが、騒音や振動を考慮するとエンジンマウントもけっして強固なだけでは役不足で、騒音、振動処理のためにある程度の柔軟性や遊びを設けます。するとその遊びの範囲でエンジンは車両前後方向に動揺を反復し、それがクルマ全体の挙動に影響を及ぼします。俗にスナッチと呼んだりしますが、このスムーズネスのなさも課題となりました。

ちなみに縦置きFF車はこのあたり、比較的容易に対処ができているようです。またFR車はドライブトレーンそのものが前から後ろまで「長大」であり、その間に十全なマウンティングができるため、こうした問題は起こりにくいと考えられます。

また仮にエンジンが動揺しても横方向のため乗員が不快に感じにくいという面も。故に本来的、あるいは構造的に高級車に向いているというわけです。

しかし時とともにFF車における課題は改善され、合理的な横置きFFレイアウトでも高級車と呼ばれるクルマは続々と登場します。

近代FF高級車はこのあたりから

イタリアのランチアはかなり昔から前輪駆動の高級車に関するチャレンジは続けていて、それは1950年代から。

近代の成功例でいうと、やはり世界的なFF高級車の潮流をつくった「テーマ」を挙げておくべきでしょう。1984年デビューのこのクルマはフィアット、ランチア、アルファロメオ、サーブの共同開発プロジェクトで生まれたクルマで各ブランドに姉妹車があります。

このランチア・テーマにおいてFFのネガはほとんど言っていいほど感じられず、ステアリングもスムーズでエンジンのマウントも十全、もちろん操縦性はFF車特有の前を軸に曲がっていくという性質を地で行くタイプではあったものの、要の前輪はあくまでも路面を捉えて離さず、常に安定したトラクションを得ることで殆ど破綻のない、高級車としてふさわしい操縦フィーリングを得ていました。

画像はそのFF横置きレイアウトにフェラーリ308クワトロバルボーレのV8エンジンをデチューンして詰め込んだ、8.32というモデル。当時門外不出だったフェラーリエンジンも、親会社のフィアットからの強い要請にエンツォが渋々承諾。

それでもフェラーリのエンブレムやバッジは一切取り付けることを認めず、唯一エンジンフードを開けるとエンジンヘッドにだけ「LANCIA by Ferrari」の文字があるというもの。地味な外観に熱いエンジン、まさに羊の皮を被った狼。さすがにフロントヘビーでこそありましたが、それでもFF特有のネガをほとんど感じさせなかったあたりはさすがでした。

ちなみに現行、二代目テーマはクライスラーからのOEMでFRです。

日本におけるFF高級車の先駆け

日本では1980年代後半まで高級乗用車はFRが定説でしたが、1985年、その均衡を破って登場したのがレジェンドでした。

ホンダは当時最上級でアコード、という会社でしたからこのクルマの開発にあたって当時のブリティッシュ・レイランド(BL)、のちのローバーとの提携を結び高級乗用車のノウハウを学びながら作られました。

当時BLからとくに指摘を受けたのが、サスペンションストロークに対する考え方だったのだとか。ホンダ車はMM思想(マンマキシマム・メカミニマム)があって、客室や荷室確保のために敢えてFFを採っており、さらにはエンジンルームを縮小化、またホイールハウスもできるだけ削減するためにサスペンションストロークを短く、という考え方でクルマ作りをしていました。

しかし、短いサスペンションストロークでは十全に前輪が路面を捉え続けることができない、しかも高級車らしいゆとりある乗り味を演出できないなどの理由から、この点においてホンダはBLから「ご指導」を受けることになります。その結果としてまだまだ十分とは言えないものの、初代レジェンドは高級車として遜色のない走り、乗り味を実現。またのちのホンダ車全般のサスペンションストロークに対する考え方を変えるきっかけとなった一台でした。

趣味の良い本革内装に国内、天童木工製の本木目パネル(現行型ではやめてしまった!)など、高級車としてのアイテム、または雰囲気作りも初挑戦ながら十分に堂に入ったもので、国内のみならず、アキュラブランドで発売された北米でも高い人気を誇るホンダの代表作となりました。

けっこう多い、アメ車のFF

最近はまたFRに戻りつつありますが、1990年代~2000年代初頭にかけてのアメリカの高級乗用車にFFはかなり存在しました。

理由は諸々あって、FFのほうが室内を広く採れる、生産効率が良い、なにより合理的であるなどなど・・・、でも一番大きかったのは、なかなか従来の価値観から変われなかった自らを大きく変えたかった、というところだったような気がします。

セビルで言えば、ノーススターと呼ぶ新エンジン(これがのちにメンテナンスで色々問題が出ました)、以前と比べるとまるで欧州車のようなシェイプされたデザインに洗練された現代的なインテリアなど、いうなれば国際市場で通用する、非ドメスティックな高級車になろうとしていたように見受けられます。

乗ってみても従来のアメ車のあの良い意味での鷹揚としたおおらかさと、欧州車の正確さ、ややタイトな感じが上手くミックスされていて、なにより高級乗用車として落ち着いた気持ちで運転できるというある種の「才能」が感じられて、やはりFFになってもキャデラックはキャデラックなんだなあと納得させられました。

また、これだけ大きいと、マウントも十全に行えますし、振動騒音対策も、ここはそれ、アメ車の十八番といったところですからじつに良くできているわけです。FFのネガはほとんど、というより、FFであることを忘れていられるクルマでした。

この時代のアメリカ製FF高級車は、新世代の高級車として十分な魅力を発揮していたことは間違いありません。

次ページ何を「高級」の根拠とするのか?

FF
フェラーリ | FF
3000.0万円
年式:2015年
走行距離:700km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2323.0万円
年式:2011年
走行距離:1.1万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
3680.0万円
年式:2016年
走行距離:0.5万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
応談
年式:2012年
走行距離:5.6万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2190.0万円
年式:2013年
走行距離:0.2万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
応談
年式:2013年
走行距離:1.7万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2188.0万円
年式:2012年
走行距離:1.3万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2200.0万円
年式:2011年
走行距離:1.2万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2550.0万円
年式:2012年
走行距離:1.2万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
3400.0万円
年式:2014年
走行距離:0.4万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2048.0万円
年式:2011年
走行距離:2.9万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2980.0万円
年式:2015年
走行距離:0.4万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
応談
年式:2012年
走行距離:1.9万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2998.0万円
年式:2014年
走行距離:1.1万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2665.9万円
年式:2013年
走行距離:0.5万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2690.0万円
年式:2013年
走行距離:0.9万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2880.0万円
年式:2014年
走行距離:0.7万km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
3280.0万円
年式:2015年
走行距離:950km
詳細を見る
FF
フェラーリ | FF
2550.0万円
年式:2012年
走行距離:1.0万km
詳細を見る

関連キーワード

この記事をシェアする

関連する記事

最新記事