バブル時代の富裕層の象徴!? かつて存在した"自動車電話"とは何だったのか?

富裕層のマストアイテムは自動車電話?

電話

センタコーンソール上や助手席側のセンターコーンソールに自動車電話を設置するのが、当時の「お約束」でした。

現代の携帯電話やスマートフォンのように小型ではなかったため、他に置き場がなかったと言うのが真相なのですが、必然的に目立つ場所に「置かざるを得なかった」ことが、ステータスアイテムとして契約者の所有欲を満たしたことは確かです。

当時の高級車には、ディーラーオプションとして、自動車電話や周辺機器アイテムがカタログに掲載されていました。

また、自動車電話が装備されたクルマには専用のアンテナが用意され、中でもトランクに設置するタイプは人気を博し、外観は同形ながら、通信機能を持たない類似品が発売されたほどでした。

当時の高級車の必需品。テレビ・自動車電話・最高級グレード(フルオプション)

女性

より大きく、より豪華に。1,000万を優に越える「メルセデス・ベンツ560SEL」が売れたのも、当時の日本を象徴していたと言えるでしょう。

内外装を黒系統でまとめたSクラスに、ウッドパネルと後付けで大型モニター、自動車電話をビルトイン。いかに純正のようにすっきり収めるか、カスタマイズするショップとオーナーのセンスが試されました。贅を尽くしたSクラスは、豪華さの象徴として夜の繁華街を闊歩していました。

自動車電話の進化と、驚愕の契約料と維持費

1979年に誕生した、初代の自動車電話とされるTZ-801型を皮切りに、1982年にはTZ-802型へと進化。さらには1987年TZ-803A(車載/ショルダー兼用)型へと進化を遂げます。

当時は、800MHz帯を用いたアナログ大都市(セルラー)方式だったため、相手の電話番号が通知されないだけでなく、盗聴されるリスクもあったようです。

料金体系が多様化・低価格化され、しかも買取り制。通話料もあまり気にする必要がなくなった現代とは異なり、自動車電話はあくまで「レンタル品」。保証金20万円を用意する必要がありました。

さらに、月額基本料3万円、通話料に至っては6秒で10円で設定され、必然的に「一部の限られた人でなければ維持できない」アイテムだったのです。

携帯電話の普及、そして…

1994年04月、ついに携帯電話端末の売り切りがスタートします。端末本体および通話料金の低価格化が急激な勢いで進んでいきます。さらには端末本体の小型化・進化に伴い、バッテリーの寿命が伸びることで、もはや完全に死語となった「Lバッテリー」の予備を持ち歩く必要もなくなっていきました。

その後も、継続して利用されてきた自動車電話でしたが、2008年11月末に新規申込みを終了。2012年3月31日をもって、30数年におよびその歴史に幕を閉じました。

今や、電話としての役目を終えた自動車電話ですが、コレクションとして集める人もいるようです。当時を懐かしむマニアによって、インターネットオークション上などで取り引きが続いています。

通話料金が高い、端末が重い、バッテリーの容量が少ないなど、現代の基準からすれば不便なことばかりな印象の自動車電話。しかし、この端末たちの存在があったからこそ、現代の便利さを享受できていることは、疑いようのない事実と言えそうですね。

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