トヨタ 30系アルファード/アルファードハイブリッドのグレード・性能からヴェルファイアとの比較まで紹介【プロ徹底解説】

トヨタ アルファード 萩原文博

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トヨタのミニバンの最高峰としてはもちろん、VIPの送迎車輌としてセダンのようにも使われる「アルファード」。特にハイブリッド仕様は価格も高いことから、シリーズの中でも高級仕様の位置づけとなってきた感がある。

事実、アルファードのハイブリッド比率は、全体シェアの30%未満だという。しかし、アルファードハイブリッドは元来、高級ミニバンという位置づけではなかった。その誕生の背景から最新モデルのグレード展開や価格、走りまで、アルファードハイブリッドを解説してみたい。

文・木谷 宗義/写真・萩原 文博

木谷 宗義|きたに むねよし

車メディアとSNSの編集者。編集者として企業メディアやSNSのコンテンツ制作を手がける、自身もライターとして年間約100本の記事を執筆する。自動車の歴史から機能解説、ドライブデートまでその幅は広いが、その主軸はひとりの自動車ユーザーとして「役に立つこと」。1981年、神奈川県生まれ。

木谷 宗義

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
トヨタ アルファード/アルファードハイブリッドの歴史を解説
3代目 アルファード/2代目 アルファードハイブリッドのグレードを解説
現行型 アルファードと現行型 ヴェルファイアの違いを解説
3代目 アルファード/2代目 アルファードハイブリッドのエンジン・走行性能を解説

トヨタ アルファード/アルファードハイブリッドの歴史を解説

初代 アルファードハイブリッド

アルファードハイブリッドは、初代アルファードの追加モデルとして、2002年05月のアルファードデビューから1年後の2003年07月に登場した。当初のアルファードハイブリッドは、高級仕様の位置づけではなく、エコカーモデルとしての側面が強いものだった。それはスタイリングを見ればわかるだろう。

現在のアルファードハイブリッドが、ガソリン車と同様のエクステリアを持つのに対し、初代アルファードハイブリッドは、空力を重視した形状の専用フロントグリルが採用され、アルミホイールも専用デザインの15インチを装着。タイヤは185という細身のものが採用されていた。もちろん、燃費を重視しての選択である。

メカニズムは、2001年に先行して登場していた「エスティマハイブリッド」の「THS-C」を踏襲。2.4リッターガソリンエンジンにフロント/リヤ、2基のモーターを搭載。リヤをモーター駆動する4WDとしていた。「E-Four」と呼ばれたこのシステムは、世界初の電気式四輪駆動システムとされている。

燃費は、17.2km/L(10・15モード)だった。最大1,500Wの大出力発電により、電子レンジなどの家電が使えることも特徴のひとつだ。

2代目 アルファード

ガソリン車のアルファードは2008年に先にフルモデルチェンジされ2代目となるが(兄弟車のヴェルファイアも登場)、アルファードハイブリッドは一度、終売に。2011年のアルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジ時に復活する。

2代目アルファードハイブリッドは、初代モデルと異なりエクステリアの差別化の方向性を変え、引き続き専用アルミホイールを装着するものの、グリルのデザインは共通に。トヨタのハイブリッド車に共通するブルーのエンブレムを採用するに留まった。エコカーとしてよりも、高級ミニバンとしてのキャラクターが強められた形だ。

パワートレインは先代と同じ2.4リッターガソリンエンジン+電気モーター2基の「E-Four」だが、ハイブリッドシステムはリダクション機構付「THS-II」に進化した。10・15モード燃費は19.0km/Lだ。

3代目アルファード/2代目アルファードハイブリッド

現行モデルとなる3代目の登場は、2015年。今度はガソリン車と同じタイミングで登場し、グレード展開もガソリン車と同様となった。ハイブリッド車が普及し、「特別なエコカー」から一般的な選択肢のひとつとなったのである。燃費は、JC08モード走行燃費19.4km/Lを達成。

2020年4月現在販売されるモデルは、2017年12月のマイナーチェンジを経て、2019年12月に一部改良が施されたもの。この一部改良では、スマートフォンとの連携を可能にした9インチのディスプレイオーディオ(DA)と車載通信機DCMを標準装備としている。

3代目 アルファード/2代目 アルファードハイブリッドのグレードを解説

エグゼクティブラウンジ
エグゼクティブラウンジ
現行アルファードハイブリッドは「X」(4,547,000円)から「Executive Lounge S」(7,752,000円)まで、サイドリフトアップチルトシート装着車を含めて11タイプを設定する。

「X」:16インチホイールを履くベースモデル。7人乗りと8人乗りが選べる。サイドリフトアップチルトシート装着車も設定。

「S」:エアロパーツ仕様のベースモデル。リラックスキャプテンシート仕様の7人乗り。

「SR」:エアロパーツ仕様の上級モデル。リラックスキャプテンシートを装備。シートがパワーシートとなり、表皮が合成皮革となるなど装備は充実。サイドリフトアップチルトシート装着車も設定。

「SR Cパッケージ」:「SR」のセカンドシートをより豪華なエグゼクティブパワーシートとした仕様。

「G」:非エアロの上級モデルで、リラックスキャプテンシート仕様。

「G Fパッケージ」:「G」のセカンドシートがエグゼクティブパワーシートとなる仕様。

「Executive Lounge」:パワーリクライニング、快適温熱シート、ベンチレーションシート、集中コントロールスイッチなどが備わる「エグゼクティブラウンジシート」と装備する最上級グレード。高遮音性ガラスや専用ブラウンオリーブ・アッシュパール木目調パネル、リヤ読書灯なども装備する。

「Executive Lounge S」:「Executive Lounge」にエアロパーツを装備した仕様。装備は「Executive Lounge」と同等。

ひとくちにアルファードハイブリッドといっても、8人乗りの多人数乗車ワゴン仕様から、VIPの送迎に照準を合わせたハイグレード仕様まで、バリエーションは多い。ベースモデルと最上級グレードでは、300万円もの価格差があるのだから、同じアルファードハイブリッドという車種でも、選べるキャラクターはさまざまなのだ。

現行型 アルファードと現行型 ヴェルファイアの違いを解説

新車/中古車を問わず、アルファードハイブリッドの購入を検討している人は、ヴェルファイアハイブリッドとの違いが気になるかもしれない。結論から言えば、フロント/リヤのデザインの他に違いはまったくない。

グレード構成も、名称こそ異なるが設定されるバリエーションは同じで、装備の上での違いもない。純粋に、デザインの好みで選んで問題ないと言える。

3代目 アルファード/2代目 アルファードハイブリッドのエンジン・走行性能を解説

最後に、走りについてもお伝えしておこう。

現行アルファードハイブリッドは、最高出力112kW(152PS)、最大トルク206N・m(21.0kgf・m)の2.5リッターガソリンエンジンに、105kW(143PS)/270N・m(27.5kgf・m)のフロントモーター、50kW(68PS)/139N・m(14.2kgf・m)のリヤモーターを搭載する。バッテリーはリチウムイオンではなく、ニッケル水素だ。
走行感覚はプリウスやクラウンハイブリッドを始めとした「THS-II」搭載モデルと同じで、低速域や低負荷走行には電気モーターのみ、必要なときにガソリンエンジンを始動し、パワーを“上乗せする”というもの。
モーター走行が基本だから静粛性は高く、発進は力強い。当然、2.5Lのガソリン車よりもパワフルだ。ただし、速さでは220kW(301PS)の最高出力を誇るV6 3.5リッターモデルに及ばない。

0-100km/h加速タイムはハイブリッドモデルが10.7秒なのに対し、3.5リッターモデルは8.2秒だという。加速の鋭さや瞬発力を求めるなら3.5リッターモデルをおすすめするが、高級ミニバン・アルファードのキャラクターを考えれば、ハイブリッドの方が合っているだろう。粛々と走るアルファードハイブリッドは、高級感で勝る。

とはいえ2.5リッター、3.5リッター、ハイブリッドでは価格が大きく異なる。

たとえば、エアロパーツ仕様のエクステリアにエグゼクティブパワーシートがつくグレード同士で比べると、2.5リッター「S Cパッケージ」:4,664,000円、3.5リッター「SC」:5,260,000円、ハイブリッド「SR Cパッケージ」:5,654,000円と、2.5リッター車とハイブリッド車では100万円もの価格差があるのだ。
リセールバリューの面ではハイブリッド車が有利となるが、この大きな価格差は購入検討時に悩むこととなるだろう。

2.5リッターガソリン車でも、決して不足のない走りや静粛性を持つだけに、予算に応じて選択をすれば後悔はないはずだ。
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