【プロ解説】マツダロードスターの歴代シリーズを歴史や違いとともに徹底解説!!

マツダ ロードスター RS 萩原文博

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マツダのロードスターは、初代が誕生したのが1989年のこと。その誕生から30年の間に、ロードスターは4世代が続いており、今も非常に高い人気を誇っています。ロードスターのような2座のオープンカーは実用性に乏しいため、もともと、それほど数多く売れる車種ではありません。そのため、少しでも人気が陰ると、すぐに生産が終了になってしまうもの。実際に、初代のロードスターの誕生する前の1980年代の2座オープンカーは絶滅危惧種と言える存在でした。ところが、初代ロードスターのヒットの後、世界中から数多くの2シーターオープンのライバルが登場しました。ホンダのビートにS2000、BMW・Z3、ローバーMGF、フィアット・バルケッタ、アルファスパイダー、メルセデスベンツCLK、ポルシェ・ボクスターなど。しかし、その中で、今も継続されているモデルは、ほんのわずか。ほとんどのライバルは売れ行きが悪くなり、いつのまにかフェイドアウトしてしまったのです。逆に言えば、そうした厳しい状況の中でも、ロードスターは世代を重ねてきた。これこそが、歴代ロードスターの出来の良さの証明と言えるでしょう。

文・鈴木ケンイチ/写真・萩原文博

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
原点である初代マツダロードスター(ユーノス・NA)を解説
2代目へと進化したマツダロードスター(NB)を解説
3代目へと進化したマツダロードスター(NC)を解説
4代目へと進化したマツダロードスター(ND)を解説
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【試乗編】【マツダ ロードスター RS (ND)】4代目へと進化したロードスターの走りとは?! 試乗レビュー! PART 2
【解説編】【マツダ NDロードスターRS 】300万円台で買えるオープンカーの楽しさを解説!PART1

原点である初代マツダロードスター(ユーノス・NA)を解説

初代のロードスター(当時の名称はユーノス・ロードスターでした)が誕生したのは1989年のこと。当時、2人乗りのオープンカーは、「安全性が低い」という認識もあり、人気のないジャンルでした。しかも、当時の日本はバブルと呼ばれる好景気のまっただ中。スポーツカーは注目の存在でしたが、どちらかといえば高性能で“速さ”を追求するモデルの人気が高いというのが世情。
ロードスター誕生の1989年には、当時の自主規制であった最高出力280馬力に届いたフェアレディZやスカイラインGT-Rが発売されており、翌1990年にはホンダからNSXも登場しています。そうしたスーパースポーツが話題となる中、わずか120馬力の1.6リッター・エンジンを搭載する非力な初代ロードスターも同時に世に送りだされたのです。
しかし、初代ロードスターは発売前から話題となり、世界各国で行われた予約会に人が殺到することになります。パワーこそ、それほどありませんが、優れたハンドリングと可愛らしいルックス。縦置きしたエンジンからトランスミッションを経てリヤのデフまでをアルミのパワープラントフレーム(PPF)でつなげるという新たな手法を採用。車重は1トン以下で前後重量配分を50:50とし、前後ダブルウィッシュボーン、前後ディスクブレーキというスポーツカーとしての素性の良さも備えていました。
なによりも標準モデルは170万円という、手ごろな価格も人気を後押ししました。そして、PPF、軽量ボディ、前後重量50:50などの基本は、最新モデルにまで続くロードスターの伝統になったのです。

大人気の初代ロードスターは、1993年の大幅商品改良において、1.8リッター・エンジンのモデルを追加。また、当時存在していたM2というマツダの子会社から、M2 1001(1991年)、M2 1028(1994年)というカスタムモデルも発売されていました。

ちなみに、初代ロードスターは「NA6CE(1.6リッターモデル)」「NA8C(1.8リッターモデル)」という型式名であったため、2代目モデルが登場してからは「NAロードスター」と呼ばれることになります。

2代目へと進化したマツダロードスター(NB)を解説

ロードスターが第2世代にフルモデルチェンジするのは1998年のこと。こちらのモデルはやはり型式から「NBロードスター」と呼ばれることになります。ヘッドライトは固定式になり、よりグラマラスなルックスになりましたが、シャシー系やエンジンは初代のNA時代の改良したものを採用。
そのためNAロードスターに使われた部品の多くを流用することが可能でした。これには街のカスタムショップは大喜びすることになります。NAロードスターで培ったチューニング技術がそのままNBロードスターに使うことができたからです。そのためNA時代も盛んであったロードスターのカスタムにさらなる拍車がかかります。
ロードスタークーペは2003年10月に登場した
また、何度かの商品改良により、ノーマルモデルも1.8リッター・エンジンは出力がアップされ、最終的には最高出力は160馬力に。また、ターボを装着して172馬力を達成したモデルも登場します。

初代のNAモデルに引き続き、NBロードスターの販売も順調に伸びて、2000年には「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一(53万1890台)としてギネスブックにも認定されます。2002年にはNR-Aグレードが用意され、「ロードスター・パーティレース」というワンメイクレースがスタートしています。

3代目へと進化したマツダロードスター(NC)を解説

2005年にロードスターは第3世代にフルモデルチェンジを実施します。3代目のNCロードスターは、先代とは異なる別のプラットフォームを採用します。それは、当時、マツダが発売していた4ドアスポーツカーのRX-8のものでした。そのころのマツダはフォードの傘下であり、業績はいまひとつ。ロードスター専用のプラットフォームを新設する余裕はなかったのです。
しかし、開発陣は既存のプラットフォームを使いつつも、PPF、軽量ボディ、そして前後重量配分50:50という初代から続くロードスターの文法をしっかりと守ったクルマに仕上げます。エンジンは2リッターになりましたが、車両重量は1トンそこそこ。走り味も伝統の「人馬一体」を感じさせる素晴らしいものとなっています。
NCロードスターは2006年に、パワーリトラクタブルハードトップ(RHT)を追加。樹脂製のルーフは高い居住性を実現し、人気モデルに成長します。このモデルの成功が、第4世代のロードスターRF誕生のきっかけと言えるでしょう。

4代目へと進化したマツダロードスター(ND)を解説

2014年に発表された現行の第4世代のNDロードスター。開発のリーダーが「守るために変えてゆく」というキーワードを掲げて作られた新型は、過去のモデルとは一切合切が異なるものとなりました。デザインもまったく新しいコンセプトとなり、エンジンもプラットフォームも一新。
NCロードスターと同じ部品は、ほぼ使われていません。しかし、PPF、軽量ボディ、前後重量配分50:50という文法は、しっかりと継承。姿かたちこそ違えども、人馬一体の走りを実現しています。
NDロードスターは世界各地でヒットを記録。2016年には、ロードスターは累計生産台数100万台を達成。また、同2016年にはロードスターRFも登場しました。30年を超えるロードスターの歴史を振り返りましたが、その歴史は現在進行形となっています。

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