ギネスにも認定された国産スポーツカー!マツダ ロードスターに迫る!

ロードスターイベント

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2000年5月に「2人乗り小型オープンスポーツカー」として生産累計世界一(53万1890台)としてギネスブックに認定されたマツダ ロードスター。その後も2011年2月に生産累計90万台をクリア、2017年4月には生産累計100万台を達している。

ギネスに掲載されるほど、世界中で愛されてきたロードスターは、ライトウェイトオープンカーというジャンルの歴史、将来も背負う特別な1台なのだ。

文・塚田 勝弘

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの記事を展開している。

塚田 勝弘
Chapter
英国で発祥したライトウェイトスポーツ
ほかに「ロードスター」が付くモデルは?
1989年のビンテージイヤーに生まれたユーノス ロードスター
2代目ロードスターが登場
3ナンバー化された3代目ロードスター
より原点回帰が鮮明になった現行ロードスター
歴代マツダロードスターを土屋圭市と大井貴之が語り尽くす42分!

英国で発祥したライトウェイトスポーツ

クルマ好きならマツダ ロードスターには、英国に古くからお手本があったのはご存じだろう。ライトウェイトスポーツカーは、戦前からMG ミジェットなどの多くの名車が送り出されるなど、一定の存在感を発揮していた。

しかし、戦後になって英国だけでなく、米国など他の国や地域に広がりをみせ、軽量ボディを活かした「ファン・トゥ・ドライブ」を満喫する層が少しずつ増えていった。

多くのライトウェイトオープンを生み出した英国では、戦後間もない1945年に早くもMGがTCミジェットをリリースし、1950年にはTDミジェットを発売している。ライトウェイトの定義は「小さくて軽いボディ」を1.0L程度の小排気量エンジンで走らせるクルマであり、オープンであることは必須ではない。

こうした小さくて軽いというテーマを掲げて開発されたのは、1958年に登場した1.0L「オースチン・ヒーレー・スプライト」だ。ヒーリー社と、BMCグループによる同モデルは、その愛らしい顔つきから「カニ目」の愛称で知られている。排気量は948ccで、車両重量は602kgしかない驚異的な軽さを誇った。
しかし、ライトウェイトに加えて、スポーツを謳うには、小さくて軽くても排気量が1.0L前後では非力という判断や手持ちのエンジンがなかったなどの理由で、1.6Lくらいまでの排気量のエンジンを搭載したモデルもライトウェイトスポーツと呼ばれてきた。

また、衝突安全性という要素が年々重要になってきた中、現実には2.0Lくらいまでならライトウェイトスポーツを名乗っても、あるいは認めてもいいという考え方もあるだろう。

ただし、ブランドやその出身地が与えるイメージも意外と左右するもので、BMW Z3は、当初1.9Lエンジンを積んでいたからライトウェイトスポーツと呼んでも良さそうだが、その後サイズが拡大され、さらに2.8Lの直列6気筒エンジン仕様を設定するなど、ライトウェイトではなくオープンスポーツカーという立ち位置になり、現在のZ4へと受け継がれている。
また、オースチン・ヒーレー スプライトが2シーターのオープンスポーツであったことから、ライトウェイトスポーツには「乗車定員2名までで、屋根を開け放つことができる」という条件も加わったといえるだろう。

さらに、オースチン・ヒーレー スプライトは、小型セダンを流用して作るという台所事情もあった。安くないと買ってもらえないという読みもあったはずだ。

ライトウェイトスポーツに限らず、スポーツカー専用で仕立てられるというのはかなり贅沢なことで、パワートレーン・シャーシ・ボディの組み合わせに四苦八苦してなんとか世に送り出すというのが実情だったのだ。オースチン・ヒーレー スプライト以降、MGAやロータス・エランなどの名車が世に送り出されてきた。

ほかに「ロードスター」が付くモデルは?

余談になるが、屋根を開けられる英国由来の「オープンカー」のほかにも、「ロードスター」やフランス語に由来する「カブリオレ」、ドイツ語が由来の「コンバーチブル」、イタリア由来とされる「スパイダー」などがある。また、マツダ ロードスターと同様に、ロードスターを名乗ってきた(名乗っている)モデルもある。

日産 フェアレディZロードスター・スマート ロードスター・BMW i8ロードスター・BMW Z3ロードスター・アウディ TTロードスター・メルセデス AMG ロードスターなど数多い。オートバイでもホンダ VRXロードスター・ヤマハ XV1600ロードスターなど、ロードスターを冠するモデルもある。

さて、クルマのライトウェイトスポーツに話を戻そう。その後は、1970年に制定された米国のマスキー法で知られるようにスポーツカー受難の時代に突入する。

とくにライトウェイトスポーツは、小さくて軽いボディに、小排気量エンジンを搭載することで、軽快な操作性を実現している面があるから、出力を絞る必要のある排ガス規制は致命的な足かせになってしまった。さらに、先述した衝突安全性という時代の要請も加わり、ライトウェイトスポーツというジャンル自体が消えていってしまう。

1989年のビンテージイヤーに生まれたユーノス ロードスター

1989年という日本の名車のビンテージイヤーに送り出された初代ロードスターは、ご存じのとおりFFのコンポーネントをFR化して誕生している。これは、どれほど手間がかかってもFFではなく、FRにこだわることで、マツダらしい「人馬一体感」を具現化するという想いの結実だったのだろう。

マツダ ロードスターのフォロワーとして1995年に登場したフィアット バルケッタは、スタイルこそライトウェイトオープンではあるが、FFということもあってロードスターのようなヒット作にはならなかった。

その後、日本ではフィアットではなく、「アバルト」ブランドで日本でも発売されている「124スパイダー」がマツダの工場でラインオフされているのもロードスターの成功を裏付けているといえるかもしれない。 

マツダ ロードスターは、現行の4代目まで、ライトウェイトオープンとして、軽くて・小さくて・比較的手が届きやすい価格で提供されてきた。衝突安全性など、時代の背景によりボディサイズや重量が増してしまうことがあっても、意のままに操れる、人馬一体感がテーマであり、マツダというブランドそのものを示すクルマといえるだろう。

43万台超を販売した初代ロードスターは、5チャンネル時代の「ユーノス」からデビュー。1.6Lと1.8Lエンジンを積み、重量は仕様により異なるが、980kg程度。やはり1tを切るという目標があったはずだ。足まわりは前後共にダブルウィッシュボーンが配置されている。

2代目ロードスターが登場

1998年1月に登場した2代目NBのマツダ ロードスターは、990kg〜1,100kg程度で衝突安全性・排ガス規制に対応しながらも29万台を超える販売台数を達成している。エンジンは1.6L・1.8L。なお、歴代のロードスターで唯一となるターボ搭載仕様やクーペモデルも限定・受注生産でリリースされている。

3ナンバー化された3代目ロードスター

衝突安全性などの要件から3ナンバー化された3代目NCロードスターは、2005年8月に登場した。1,090-1,140kgという車両重量で、リアサスペンションはダブルウィッシュボーンからマルチリンクにアップデートされている。

エンジンは、2.0Lの直列4気筒。なお、ソフトトップのほかに、2006年8月にパワーリトラクタブルハードトップ(RHT)モデルも追加されている。

より原点回帰が鮮明になった現行ロードスター

そして、歴代の中でも初代をかなり意識して送り出されたと推測されるのが、現行の4代目NDだ。仕様により1tを切る990kgという軽量ボディに1.5Lエンジンを積み、衝突安全性のみならず現代のクルマに欠かせない快適装備を備えながら軽量化が図られている。

また、先代のリトラクタブルハードトップ(RHT)の後継モデルとして、ファストバックが与えられたRF(リトラクタブル・ファストバック)を設定し、より上質で大人っぽい雰囲気を与えることで、より幅広い層に訴求している。
ソフトトップとRFの差は、乗り比べると前者は軽快感に富み、フットワークの高さが美点といえるだろう。後者は、ルーフを閉じてしまえばノイズの遮断もしっかりしていて、より快適なドライブを楽しめる。

好みに応じて選べるだけでなく、RFの存在は屋根付き駐車場ではない、いわゆる青空駐車でもロードスターがより買いやすくなった利点があるし、RFならではのリアビューのセクシーさも魅力といえるだろう。車両重量は1,100〜1,130kgと、ソフトトップの990〜1,060kgよりも重くなっているが、十分にライトウェイトスポーツの醍醐味を体感できる。

なお、ロードスターとRFには、手動運転装置付車も設定している。より幅広い人に手軽にオープンスポーツカーを乗ってもらいたいというマツダの心意気といえるのではないだろうか。

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日本には、マツダ ロードスターという世界中で愛されてきたクルマが手軽な価格で買えるという、恵まれた環境にある。もちろん、軽自動車のオープンモデルという選択肢もある。

中でも夫婦2人旅もこなしてくれるマツダ ロードスターは、クルマを運転する楽しみを再確認してくれる存在であり、もちろん、ビギナーが乗っても運転しやすい人馬一体感が得られる。自動運転など、自らの運転で移動する喜びが語られにくい時代の中、貴重な存在といえるだろう。

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