世界に1台だけ!ビスポークの世界を堪能する【ロールス・ロイス ベイサイド・ドーン エアロ・カウリング】

ロールス・ロイス・モーター・カーズ横浜  ビスポークモデル ベイサイド・ドーン エアロ・カウリング 武田公実

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世界最高級の自動車ブランドであるロールス・ロイスの正規代理店“ロールス・ロイス・モーターカーズ横浜”にて、一台の特別なロールス・ロイス“ベイサイド・ドーン(DAWN)エアロ・カウリング”がお披露目された。

この美しきドロップヘッド・クーペは、さる日本人カスタマーとロールス・ロイス社が手を携えて一品製作した“ビスポーク”。世界で一台だけのロールス・ロイス ドーンという。

文・写真/武田 公実


※ 2019年8月時点

武田 公実|たけだ ひろみ

かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。

武田 公実
Chapter
ビスポークとは?
海とヨットをイメージしたビスポーク・ドーン
夢の一台は限られた人にしか与えられない

ビスポークとは?

ロールス・ロイス史上初の自社製ボディを持つ量産モデル“シルヴァードーン”が登場する1949年まで、すべてのロールス・ロイス生産車は独立したコーチビルダーによる特装車両。ワンオフ製作を含む“ビスポーク”モデルが数多く作られてきた。

ビスポーク(Bespoke)の語源は、英語の“Be-Spoken”。つまり、注文主が職人と対話しつつ、自身の好みの服や靴、バッグ、ジュエリーなどを制作するという、極めて工芸的なシステムで、19世紀から20世紀に隆盛を極めたとされている。
ビスポークは、20世紀以降は自動車業界にも導入されてゆく。第二次大戦前、ロールス・ロイスをはじめとする高級車はすべて顧客のオーダーによってボディを架装され、数多くのコーチビルダーが持てる能力を競いあっていたのだ。
ところが、1965年に登場した“シルヴァーシャドウ”以降、シャシーとボディを一体化したモノコック構造を採るようになったロールス・ロイス社では、往年のごときコーチビルダーが完全なオリジナルボディを架装するビスポークは、スタンダードを生かしつつボディカラーや内装の設えで個性を打ち出すものへと変容せざるを得なくなった。
そして現在、2003年からスタートを切ることになった新生ロールス・ロイスでは、現代版のビスポークが、極めて重要な要素として活況を呈している。特別中の特別である“ファントム”系はもちろん、“レイス”や“ドーン”、“カリナン”などのパーソナル志向の高いモデル。
そして一応はスタンダードモデルである“ゴースト”でも、通常の在庫車を持つのではなく、顧客のオーダーによって作られるのがデフォルトとなっているそうなのだが、現在ではさらなる特別な一台を求める贅沢なカスタマーのために、よりスペシャルなビスポークが用意されているとのことなのである。

海とヨットをイメージしたビスポーク・ドーン

英国グッドウッドのロールス・ロイス本社、あるいは全世界の正規ディーラーに設けられたアトリエにて、専属デザイナーとBe—Spoken(相談)しながら仕様を決めるビスポークでは、内外装のカラーや素材を注文主がフリーハンドで選択できるほか、細かい艤装や仕立ても思うがまま。

さらにオプションリストに無いパーツやアクセサリーも、新たにデザインを起こして作ってくれる。
今回、ロールス・ロイス・モーターカーズ横浜で初公開された“ベイサイド・ドーン エアロ・カウリング“は、同社が初のビスポークとして2017年に製作させた“ベイサイド・ドーン”のテーマをさらに深めたワンオフ車。

歴史ある港町である横浜が持つ海のイメージ、そして現代的な高級ヨットのイメージを世界最高級のドロップヘッド・クーペ、ロールス・ロイス ドーンに投影したものとされる。
2年前のベイサイド・ドーンから最大の進化となったのは、その名のとおり“エアロ・カウリング”と呼ばれる、取り外し可能なトノカバーが取り付けられること。

もとよりドーンでは、モーターヨットの船尾をモチーフとしたウッド仕立てのリアデッキが特徴となっているが、このビスポークモデルではさらに水を切って進むような流線型にすべく、リアデッキからスムーズなラインでつながるエアロ・カウリングによって後席をカバー。

本来なら大人4名がゆったり乗ることのできるドーンが、あたかも2シーター・ロードスターであるかのようなスタイリングを演出する。
現在のロールス・ロイスが本拠を置いているウェストサセックス州グッドウッドは、ポーツマスやブライトンなどの南海岸に近い場所。それゆえか、ビスポーク部門でも高級ヨットやボートの分野から転身したデザイナーや職人たちが多くを占めるとされる。

カーボンファイバーやアルミを使用したエアロ・カウリングにも、現代のヨットテクノロジーが導入されているとのことである。

加えて、高級ヨットや“海”を想起させる魅力的なセンスも、イングランド南海岸仕込みと認めざるを得ない。ボディカラーはネイビーブルーとホワイトの2トーン。

オフホワイトのレザーに包まれたシートには、ヨットのブロードロープを思わせる白と青の組みひも状のビーズがあしらわれるなどの小技が効いているのも見逃せないところだが、中でもコーチドアを開いた時だけ見ることのできるスカッフプレートに設けられた、小さな車名プラークは秀逸であろう。
ここに刻まれるのは、海上の船舶間通信に使用される世界共通の国際信号旗で、左から“D(デルタ)”、“A(アルファ)”、“W(ウィスキー)”、“N(ノベンバー)”と読むことができる。つまりは“DAWN”を示すという実にウィットの利いた洒脱さは、“横浜発”のビスポークにもピッタリと思われるのだ。

夢の一台は限られた人にしか与えられない

ロールス・ロイス ベイサイド・ドーン エアロ・カウリングは、ロールス・ロイス・モーターカーズ横浜サイドで架装のアウトラインを決め、かねてから来日時などにコミュニケーションを構築していた英国グッドウッド本社のビスポーク部門デザイナーたちによってデザインが決定。

そしてビスポーク部門のアルチザン(職人)たちが、みごとに仕立て上げた傑作と言えよう。
ロールス・ロイス・モーターカーズ横浜が、自社の顧客に“ロールス・ロイスのビスポーク”という世界観を提唱するために製作したこの個体だが、少なくとも現状では販売にも応じるそうで、その場合の価格は5297万8000円(税込)になるとの由。

しかし、世界に一台のロールス・ロイスを手に入れるという栄誉のために支払うべき対価と思えば、ある意味当然の価格とも感じられてしまうのである。
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