ラストワンマイルって何?どんな乗り物が対象?

MaaS 駅 2019

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ラストワンマイルと聞いて何を思い浮かべるだろうか。それはきっとあなたが所属する業界によって違うだろう。もともとは通信業界の用語であり「通信を受信するユーザーに接続を提供する最終工程、つまり最寄りの基地局からユーザーが受信するまでのネットワーク接続」を指すものだった。

なので、ここでいう1マイルは物理的距離を表すものではなく、最後の1マイル…あと今一歩足らない、みたいなそんなニュアンスである。

文・R(アール)
Chapter
歩けばよいのでは?
解決する必要はある?
どんな乗り物が注目されている?
将来的にはあなたの街にも?
これが昨今では主に物流業界で使われるようになってきており、倉庫から自宅まで配送するその最後の1マイル、つまり最寄りの集荷場から自宅までの配送を示すようになってきた。

これは、ECサイト(Amazonなどの通販)が発達し、個人宅に配送する需要が爆増したが、単身者世帯および共働き世帯の増加により、「届けに行っても自宅に誰もいない」現象が増加、再配達が積み重なりこのロスが社会問題になったためである。

通信業界が言っていたラストワンマイルより、物流業界でいうラストワンマイルの方が実質的なラストワンマイル(1マイル=1.60934㎞)に近づいてきた…ともいえる。

そして今MaaS大流行の最近では、より実質的なラストワンマイルが出てきた。それがMaaS系(交通業界)ラストワンマイルである。

ここまでくるとおおよそわかると思うが、MaaS系(交通業界)ラストワンマイルは最寄りの駅(電車など)から自宅など最終的な目的地までの道のりを示す。

以前「いまさら聞けないMaaSサービス!定義から展開中のサービス、最新動向まで」という記事でMaaSはA地点からB地点までの移動を統合的に受けられるものであるといった趣旨の説明をした。

つまりMaaSは自宅から出て目的地にたどりつくまで、すべての移動をサポートしてこそなのだが、ここで頭を悩ませるのがこの「MaaS系ラストワンマイル」である。

歩けばよいのでは?

なぜに最後の一歩であるラストワンマイルが大変なのか、これは一言で言うと現状ないインフラだからだ。電車は今Suicaで連携されているバスもだいたい利用できる。だから最寄りの駅(バス停も含む)までの移動統合は案内も含めて比較的たやすいだろう。

だが、駅から最終目的地の移動に関しては、現状歩く、タクシーに乗る、自転車・バイク・車を置いておくなど個人資産に頼るしかないのが現状だ。

大都市圏に住んでる方々、最寄駅から家が近い方々は「歩けばいいじゃん」といったご意見だろうが、そうとも言えない地域の人たちもいる。

そうとも言えない地域といって、とんでもない田舎を想像したかもしれないが、23区…練馬区などにでもどこから歩いても30分はかかるみたいな場所があるのだ。

そういうところにはバスがあるでしょうという声も聞こえてきそうだが、バスは「終バス」が早い。終電で最寄りまで来てもバスがない…といったこともある。

じゃあ、最寄りにバイクか車を置いておこうという話になるが、これだとお酒を飲んで帰ることができないし、駐車場代も駐輪場代もばかにならない。

自転車で帰れる距離ならよいが、これも雨の日がつらい。そんなこんなで最終的な移動手段に困るという機会は少なくない、これを解決するのがMaaS系ラストワンマイルに対するソリューションである。

解決する必要はある?

前述のことはどこでも発生しうるし、みんなそれぞれ対応している。というかやっぱり、最悪は歩けばいいじゃん、と思う方もいると思う。
MaaS系ラストワンマイル、どうでもいいのでは説である。だがMaaS系ラストワンマイルが注目されるのはこのような点ではない。

注目すべきは個人が便利か便利じゃないか、それを受け入れてそこに住むのか、ではないのだ。CASEが叫ばれ、自動運転とシェアリングが出てきたことにより、言われ始めたなんてこともあるかもしれないが、ここで一番大事になってくるのが「地価」である。

今までは電車という交通網中心に、地価がコントロールされていたが、最寄り駅から自宅まで「安価」に「楽」に移動できるとなると話は別である。都内に近いけど最寄り駅が遠すぎて残念な地価に…なんてところが今後はこのMaaS系ラストワンマイルによって救われる可能性があるのだ。

どんな乗り物が注目されている?

MaaS系ラストワンマイルに秘めたる価値があるのは理解いただけたと思うが、やはり現状ないものであるが故、現状ある事例は実証実験レベルのものもある。ここではいくつか、MaaS系ラストワンマイルとして注目されている乗り物を紹介したい。

1.低速レベル4付き自動運転シャトル

きっと「NAVYA ARMA」のGPS+センサー式の自動運転が一般的かと思われる。中にはヤマハ発動機のように、地面に磁気レールを引き、そのレール上を電動カートがトレースして走るものもある。

簡単に言えば、遅め(時速30㎞/h程度)の少人数用バス…みたいなものである。自動運転なのでずっと回遊させられる…といっても自動運行のゆりかもめも24時間走ってるわけではない。

運用方法によっては本当にただの遅めの少人数用バスである。ただ全国の約8割は赤字路線といわれるバス業界にとっては、この人件費のかからない自動運転シャトルへの置換は有効な処置かもしれない。

2.慣れ浸しんだ乗り物、自転車。

誰もが知ってる乗り物、自転車である。自転車シェアリングで自宅まで帰って乗り捨て、といった形式である。ただ日本では、特定の場所でしか返却できないステーション型が一般的なため、あまり自由度がない。

あと結局屋根がないので雨の日はつらい。カナダでは、三輪屋根付きも開発中らしい。これはとっても有能かもしれない、でも幅をとるから余計特定ステーション型から脱却できない…。

3.自転車よりも楽!電動キックスクーター

最近ではAmazonでも買える、電動キックスクーターである。最高時速24㎞/h前後で、割と軽快で快適な乗り物である。自転車に近いが、こちらはこぐ必要なし!移動はもっと楽ちんだ。海外ではLIMEやBIRDなど、乗り捨て型の実績も多い。

だが日本では原動機(人力の電動によるアシストではなく、それだけで動くもの)付きの乗り物は公道で走らせる場合、ナンバーが必要である。(つまり免許も)

またヘルメットもかぶらなくてはならない。便利だけど、日本だとハードルが高い。

4.家までひとっ飛び、人搭乗可能ドローン

人が乗れるドローンなんてあるのか…あるんです。ドイツのVolocopterがドバイで実証実験済み。家に帰るのに空を飛んでいく…そんなSFな世界観も実現するかもしれない。ただかなり大きいので、大きさ的にラストワンマイルというよりはステーション間を移動するものにとどまるかもしれない…

5.低速じゃ話にならない!そんなあなたに自動運転タクシー

GoogleのWAYMOがすでにカルフォルニアでテストを開始している自動運転タクシーである。もちろん完全自動運転で、自動運転シャトルと違ってスピードも出せる。「あれ、自動運転シャトルいらないのでは」と思われそうだがやはり住み分けである。

1台で一人もしくは1団体しか移動できない自動運転タクシーと、多くの人間を載せられる乗り合い方式の自動運転シャトルでは1人頭にかかるコストが違う。

今でいうバスとタクシーの関係と変わらない。しかもスピードが出せる分、技術もハイテクなものが必要になる。これもまた、導入に対するハードルとコストを引き上げる原因。一長一短である。

将来的にはあなたの街にも?

MaaS系ラストワンマイルの表面をざっと説明してきたが、いかがだろうか。日本のMaaSには海外と違い地方を救うというミッションも帯びている。少子高齢化、過疎、そこから来る廃業、人材不足..日本の地方が抱える問題は枚挙にいとまがない。

そんな地域ではバス、タクシーなども儲からず、次々と廃業に追い込まれていく。そこで自動回転する自動運転シャトルや、シェアサービスは地方を支える有効な移動手段になりえるのだ。将来のことはだれにもわからないが、日本のやり方は比較的「優しい」。

つまりどこに住んでいても平等にサービスを受けられるようできるだけ整備しようとする状況である。海外のように都市特化型サービスにとどまらず、日本のMaaS系ラストワンマイルサービスはどこでも見られるサービスになるかもしれない。
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