運転が上手い人と下手な人の違いは何?

ドライバーの疲労

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このテーマで書いて欲しいとの依頼を受けたとき、どうしたらいいんだとかなり悩みました。範囲が広すぎて漠然としているし、どんな切り口なのかによって書くことが異なりますから。サーキットで速く走る、一般道で安全に走る、車庫入れがうまいなどの車輌感覚に優れている、等々です。また、すべてを網羅しようとすると相当な長文になってしまいます。

文・大田中 秀一
Chapter
悩んだ結果、まず各界の代表に訊いてみることにしました
① 運転にもクルマにも興味はないけど毎日の通勤にクルマを使う女性Kさん
② 運転にもクルマにも少しだけ興味があり、割と意識的に運転していて、毎日の通勤にクルマを使う女性Kさん
③ クルマも運転も好きで当然運転に対する意識も高いレーシングスクールインストラクター男性Kさん
④ 現役路線バス運転士男性Mさん
⑤ 海外で運転手付きのクルマにいつも乗っていた男性Oさん
⑥ 日系航空会社パイロット男性Hさん
⑦ 外資系航空会社パイロット男性Sさん
運転が下手な人
運転が上手な人
レーシングスクールにて
省燃費運転講習にて

悩んだ結果、まず各界の代表に訊いてみることにしました

選んだのは次の7人です。

① クルマにも運転にも興味がないけれども毎日の通勤にクルマを使う女性

② クルマにも運転にも少々興味があり、比較的意識して運転をしていて、毎日の通勤にクルマを使う女性

③ クルマも運転も好きだし運転に対する意識も高いレーシングスクールインストラクターの男性

④ 現役路線バスの運転士の男性

⑤ 海外で運転手付きのクルマにいつも乗っていた男性Oさん

⑥ 現役日本の航空会社パイロットの男性

⑦ 現役外国航空会社パイロットの男性

パイロットは、もしかして空の上でも同じようなことがあるのかなとの興味からおまけで訊いてみました。

サンプル数はたったこれだけなので全く参考にならんと思われるかも知れませんが、筆者は意外と普遍的じゃないかと思いました。なぜそう思ったのか?まず生の声をあえて表現を改めずにそのままご紹介してから自身の考察結果をご説明したいと思います。何かの参考になれば幸いです。

① 運転にもクルマにも興味はないけど毎日の通勤にクルマを使う女性Kさん

「発進と停止が急な人。ガンと発進してガツンガツンブレーキする人は下手だと思う」

「カーブで身体がぐいんぐいん揺れるような人はだめ、酔っちゃうから」

「駐車枠にぴったり寄せられたり、縁石にこすらずにぴったり寄せられたりする人は上手いと思う」

② 運転にもクルマにも少しだけ興味があり、割と意識的に運転していて、毎日の通勤にクルマを使う女性Kさん

「アクセルとブレーキが急な人はだめね。身体がゆさぶられちゃうから不愉快」

「下りのカーブでブレーキ踏む人。そんなことしたらどっかへ飛んでっちゃうから危ないよ。わたし、免許取った翌日に新車で田んぼにジャンプしたことがあるからよくわかるの」

「マニュアルシフトのつなぎかたとか、すーって走る人は上手いよね」

「安心して乗っていられる人がいいね」

「自分もカーブがきれいに曲がれるように意識してる」

③ クルマも運転も好きで当然運転に対する意識も高いレーシングスクールインストラクター男性Kさん

「ハンドルをぎゅっと握る人は下手。理由は、肩に力が入って正確な操作ができないから」

「ハンドルを回すとき押す人(引いて回さない人)も下手。これも繊細な操作ができないから。ハンドルを9時15分の位置に両手を添えている前提で、左に曲がる時に左手を回転方向に引いて回すのか、右手を押して回すのかで正確さがぜんぜん違う」

「体傾けて片手でハンドルを回してる人を見かけるけど、あれも繊細な操作ができないし、何かあったときの対処が間に合わないのでだめ」

「近くを見てる人、視野が狭い人も下手。先がどうなってるか見てないので対応が後手に回るし、急ブレーキやちょこまかとした車線変更にもつながるから」

「先読みをしない人もだめ。理由は上と同じ」

「燃費が悪い人。前が詰まってる、あるいは赤信号で止まってるのにぎりぎりまでアクセル踏んで加速していき、直前で強めのブレーキで止まる。乗客として不愉快だし、何よりこういう運転をし続けていると燃費は確実に悪くなる」

「そんなこんなで、路上で観察していると上手だと思う人は100人に8人もいない」

④ 現役路線バス運転士男性Mさん

「バスの運転を教えてくれた先生は、上手い運転手は事故をしない、そしてお客様が怖くない、安心して乗っていられる運転が上手な運転だと言っていました。 僕も同感ですし、今でもお客様が寝られるような運転を心掛けています」

「運転にプライドと自信を持っている方は上手いと思います」

「少しの衝動(発進時、クラッチを繋ぐ時、停車時)を意識している運転手はやはり上手いです。それプラス、できる限りバス停に寄せる、流れに乗せながらも、急な事に対応できる予見運転でしょうか」

「一般の方で上手いと思う方は技術うんぬんよりもセーフーティドライバー。急がない、譲り合い、周りへの気遣いができている方です。これは僕らも見習わなくてはならない事も多い」

「こんな運転は困るというのは…運転で難しいのは互いの意思表示だと思います。意思表示はきちんとしてもらいたい。免許を取る時に習ったように、何メートル手前で方向指示器を出すことは基本でしょう」

⑤ 海外で運転手付きのクルマにいつも乗っていた男性Oさん

「乗客を不安にさせる運転手は下手」

「アクセルも急だし、なんでそこまで行ってからブレーキ踏むの?と思うくらいブレーキもぎりぎりで急な運転手は下手」

「ブレーキをぐっ、ぐっ、ぐっと踏んだり、アクセルをぶん、ぶん、ぶんと踏んだりする運転手も下手」

「ライン取りが下手な運転手。右折車にひっかかるなどどんくさいのもだめ」

「安心して寝ていられる運転手は上手」

⑥ 日系航空会社パイロット男性Hさん

「上空では舵が急な人はだめです。ただこれは、操縦が下手なのか気象条件のせいなのかが乗客の方に判断ができないかもしれません」

「地上でのタキシング(スポットから滑走路の往復)中にステアリング操作が急な人やブレーキをガツンとかけたり”ぐっ、ぐっ、ぐっ”と踏んだりする人もだめです。航空機のブレーキは非常によく効くので繊細に操作しなければならないんです。これは乗客の方も確実に体感できるでしょう」

⑦ 外資系航空会社パイロット男性Sさん

「飛行計画をきっちり立ててから飛ばす人は上手いパイロットです。パイロットの仕事の7割は飛ぶ前に終わっていると言えるくらい重要なことなんです」

「飛行中であれば、先の天候や気流情報をきちんと把握し先回りして避けられる人は上手いです」

「着陸時に操作が遅い人は下手と言えるでしょう。気流の関係で機体が揺さぶられることが多いですが、機体の状態が計器に現われてからでは遅く、機体が振られてしまうんです。横風や乱気流など機体の状態をお尻で感じて先回りして修正舵をあてられる人は上手です。コックピットが忙しいほど機体は安定するんですよ」

「イケイケの人は乗り心地が悪いですね。このくらいの積乱雲なら突っ込んじゃえ!というようなパイロットは」

「地上でも上空でもプロのドライバーならいろんなことに気を遣って走っているので、降りたらぐったり疲れているはず。疲れてない人はおかしい」
以上です。インタビュー結果から、以下のような共通点を見つけることができるのではないでしょうか。

運転が下手な人

急な操作をする

操作がラフ

先のこと、路上他者や同乗者のことを考えない

運転が上手な人

急な操作をしない

操作がスムーズ

先のこと、路上他者や同乗者のことを考えている

お聞きした話を反芻しているうちに、頭の中でふと色々なことがつながり始めました。それは何か?例えば次のような、過去に聞いたり体験したりしたことです。

レーシングスクールにて

サーキットで速い人は運転操作がスムーズ

急な操作はクルマが安定しないし、タイム遅いし、タイヤもガソリンも減るしと、いいことは何もない

視野は広く遠くを見ること。直近を凝視しない

失ったタイムは返ってこない(=失速すると回復に時間と余分なエネルギーが必要)

アクセルを踏んでいる時間が長いほどエラくて速い、ではない

省燃費運転講習にて

ふんわりアクセルeスタート

話を総合してなんとなく結論を導き出すと、一般道での運転の上手い下手、サーキットでの速い遅い、燃費が良い悪い運転というのは、恐らく根っこは同じなんだと思いました。そしてそれはきっと路上での安全や平和にもつながることだと。

過去に、路上の平和についてとペダルの踏み間違いに関する考察コラムは書いたので、次は省燃費運転と、ペダルの踏み間違い防止にもつながるドライビングポジションについて書いてみようと思います。

その一方で、運転をされる方は一度家族や友人の声を聞いてみてはいかがでしょうか。専ら同乗者として乗っている方は気になることがあればドライバーにそのことを言ってみてはどうかとも思います。

運転に関してあれこれ言われることを快く思わないドライバーも多いでしょうし、それを気にして言いにくいと思って言わない人も多いでしょう。

しかしここは一度、正直なところを話合ってみるのもいいかもしれません。
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