歴史を"守るために変えた"4代目。ロードスター乗りだかこそわかる、マツダ (ND)ロードスター レビュー。

マツダ 4代目 ロードスター ND

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2019年は、マツダのロードスターにとっては特別な年だ。それは初代(NA)ロードスターの1989年の誕生から30年という節目の年となるからだ。それを祝うことができるのも、30年にわたってロードスターが人気を維持していたからこそ。そして、現行モデルとなる第4世代のNDロードスターも根強い人気を誇っている。今回は、そんな4代目(ND)ロードスターの特徴をロードスター乗りとしてジャーナリストとして解説していきたいと思う。

文/写真・鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
ロードスターファンの前で世界初披露を飾り、翌2016年に発売を開始
メカニズムはすべてを新しくするものの、コンセプトは踏襲
走りのレベルは進化したが、テイストは旧来のまま
細かな改良があるのでカスタム指向の強い人は注意が必要だ
歴代マツダロードスターを土屋圭市と大井貴之が語り尽くす42分!

ロードスターファンの前で世界初披露を飾り、翌2016年に発売を開始

第4世代となるロードスター(ND)の世界初披露は、2014年9月に日本/アメリカ/スペインで同時開催されたファン参加型イベントであった。クローズなメディア向けイベントではなく、あくまでもファンが主役。会場で取材するメディア席もファンの後ろに設定されるというほど、マツダの姿勢ははっきりとしたものであったのだ。
ちなみに筆者も、そのイベントに参加したが、「ロードスターはファンあってこその存在。ファンを優先して当然」という雰囲気で、文句を言うメディアの人間を目にすることはなかった。
そして正式な発売は翌2015年5月。セールスも順調で、さっそく、その年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得している。そして2016年4月には、初代からの累計生産100万台を達成。2000年に獲得した、「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録の更新を現在も続けている。

2016年の末にはリトラクタブルハードトップモデル「ロードスターRF」を発売。2018年6月の商品改良では、いわゆる自動ブレーキとなる「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」をはじめとする先進運転支援システムを採用。スポーツカーであっても自動ブレーキの採用は、嬉しいニュースと言えるだろう。

メカニズムはすべてを新しくするものの、コンセプトは踏襲

第4世代目となった4代目(ND)ロードスターの開発陣からは「守るために変えていく」というメッセージが発せられていた。確かに2014年の世界初披露で目にした4代目(ND)ロードスターのデザインは衝撃的だった。過去のロードスターと、まったく異なるデザインだったからだ。他のマツダ車に採用されていた魂動デザインとも違う、独自のデザインだ。しかし、「誰もが一瞬で心ときめく」という大事なところは初代NAロードスターと同じ。まさに「守るために変えていく」ことで生まれたデザインだろう。
メカニズムは、プラットフォームからエンジンまで、すべてが一新されていた。しかし、エンジンのフロントミドシップ配置やパワートレインと後輪のデフまでを一体化させるパワープラントフレーム(PPF)構造、前後重量配分50:50といった基本は、初代(NA)ロードスターから続く伝統を踏襲。さらに驚いたのは、エンジンの排気量を1.5リッターにダウンサイジングし、ベースの「S」グレードならば車両重量で1トンを切ることに成功していたこと。つまり、使っているものはすべて新しいのに、基本コンセプトは初代(NA)ロードスターそのまま。「守るために変えていく」を地で行くメカニズムであったのだ。

走りのレベルは進化したが、テイストは旧来のまま

NDロードスターに乗ってすぐに気づくのは、運転しやすいドライビング・ポジションと広い視界だ。オルガン式のアクセル・ペダルが、自然に右足を伸ばした先にあり、最新モデルではテレスコピックステアリングも採用となっている。Aピラーの付け根は、これまでのどの世代のロードスターよりもドライバー側に近寄っており、コーナーの先がよく見通せるようになっている。
最初期に登場した仕様では、1.5リッター・エンジンの最高出力は96kW(131ps)、最大トルク150Nmと、さほどの数字ではないが、しなやかに路面を捉えるサスペンションのおかげもあって、加速の鋭さは、旧型ロードスターよりも勝る。また、ブレーキング時の姿勢も素晴らしく、安心感がある。走る、曲がる、停まるという点では、確かな進化のほどを感じることができる。

走りのレベルは確実に向上している。しかし、そのフィーリングは、意外に変わっていない。ドライバーの気持ちを上回る加減速もないし、コーナリングもない。あくまでも人馬一体で、ドライバーの意思に忠実な動きを軽快に見せてくれるのだ。誰もが「楽しい」と思える走りのフィーリング。これでこそ、ロードスターというもの。道具は新しくなっているが、大事なフィーリングは継承される。これも「守るために変えていく」というコンセプトどおりだ。

細かな改良があるのでカスタム指向の強い人は注意が必要だ

カスタムを楽しめるというのも歴代ロードスターに備わった魅力だ。この点でNDロードスターは注意が必要だ。なぜなら、最近のマツダの方針に則って、NDロードスターは毎年のように改良が施されている。年々、内容がブラッシュアップされているという意味では嬉しいのだが、2018年の自動ブレーキ搭載には注意が必要だ。

実は自動ブレーキなどの先進運転支援システムは、車高が変化するカスタムとは非常に相性が悪いからだ。自動ブレーキ付きの車両のカスタムはドレスアップ中心になるだろう。もしも、ハードなカスタムを希望するなら、自動ブレーキの装備されていない初期モデルを選ぶのがおすすめだ。もちろんハードなカスタムを考えていないのであれば、最新のモデルが最良のモデルとなる。なるべく新しいクルマを手に入れることをおすすめしたい。
ちなみに、歴代ロードスターの魅力は、走りの良さだけではない。ミーティングやファンクラブ、ショップといったコミュニティの存在も大きい。もちろんNDロードスターは、そうしたコミュニティにも、すっかり溶け込んでいる。年に一度のロードスターのオーナーが集まるビッグイベント「軽井沢ミーティング」でも、いまやNDロードスターの参加数は2代目(NB)や3代目(NC)を抜き、初代(NA)に匹敵する大きな存在となっているのだ。

「だれもが、しあわせになる。」というのが初代(NA)ロードスターのカタログの最初に掲載されていたキャッチコピーだ。その言葉は、ロードスターの神髄を継承している、最新の4代目(ND)ロードスターにも当てはまると言っていいだろう。

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