まさに成功の証。アメリカのプレミアムSUV"キャデラック エスカレード"をテストドライブ

キャデラック エスカレード 萩原文博

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まだ、ダイムラーなど、わずかな自動車メーカーしか存在していなかった20世紀初頭。キャデラックは1号車を完成させる。1903年のことだ。それから110年を超える歴史を築いてきたのが、世界屈指のプレミアム・ブランドがキャデラックだ。キャデラックの名声は、ただ豪華や華美というだけでなく、革新的な技術を積極的に採用することで育まれてきた。最初期のキャデラックは、電気式灯火や電気式エンジン始動装置、量産V8エンジンなど、当時の最新技術を採用することで頭角を表していったのだ。その後、キャデラックはアメリカ大統領をはじめとする世界中のVIPが愛用する高級車に認められる。1960年代から70年代には、ハリウッドの映画スターなどにも愛用され、アメリカの富と夢を象徴する存在にまでになる。

文・鈴木ケンイチ/写真・萩原文博
Chapter
成功を象徴する世界屈指のプレミアム・ブランド "キャデラック"
悠々と大海を進むクルーザーのごとき走り
ファミリーユースにもオススメできる。キャデラック エスカレード

成功を象徴する世界屈指のプレミアム・ブランド "キャデラック"


そんなキャデラックによる新しい挑戦が1999年に初代が誕生したエスカレードであった。エスカレードはキャデラック初のSUV。今では珍しくなくなったプレミアムSUVという存在ではあるが、その当時は“高級車=セダン”という考えが根強かったのだ。デビューからほどなく、エスカレードは若きミュージシャンなどにも人気を集め、旧来のエスタブリッシュメントだけでなく幅広い層に受け入れられる。

現在では、キャデラックのラインナップでエスカレードは、トップクラスの高額なモデル。いわばアメリカ車の最上級のひとつなのだ。アメリカン・ドリームを達成した成功者に愛されるクルマと言えるだろう。


現行のエスカレードは、2017年から日本での発売も開始されている第4世代だ。全長5,195×全幅2,065×全高1,910mmという堂々たる体躯の総重量は2,670㎏にもなる。室内には3レシートが収まる。グレードによって、2列目がベンチシートの8人乗りと、キャプテンシートの7人乗りがある。2列目と3列目シートは電動で折りたため、ボタンひとつで広々としたフラットな荷室空間を作ることができる。


パワートレインは最高出力313kW(426馬力)/最大トルク623N・mの6.2リッターV8エンジンと8速AT。4WDモードは、オフロード走行向けのLOWレンジを追加。けん引モードが用意されているのがアメリカ車ならでは。衝突被害軽減自動ブレーキをはじめ、アダプティブクルーズコントロール、ステアリングのアシスト付きレーンキープ機能、リヤカメラミラーやオートマチックパーキングアシストなどの運転支援システムも充実している。また、インフォテイメント系の充実度も特徴のひとつだ。カーナビだけでなくアップルカープレイやアンドロイドオートにも対応。2列目シート用のモニターなど、後席ユーザー向けのエンタテイメント系も揃っている。

悠々と大海を進むクルーザーのごとき走り


エスカレードを前にすれば、誰もが、その迫力に圧倒されることだろう。全長は5m、幅も2mを超える。厚みも尋常ではない。しかし、このサイズ感がもたらす強い押し出し、そして他にはない大きな存在感こそがエスカレードの魅力のひとつだ。乗り込むだけでも、ひと苦労する。ドアの開閉にあわせて自動でせり出すステップがありがたい。


車内空間はたっぷりあるが、居住感は独特だ。前後左右は十分にあるけれど、着座姿勢がセダン風ということもあり、上下方向はほどほど。日本の姿勢を起こして座るミニバンや軽自動車ほどに頭上の空間は余っていない。ちなみに試乗車は2列目がキャプテンシートであり、3列目のアクセスは、シートの間を通るウォークスルーで行えた。レザーとウッドで構成されたインテリアはゴージャスだが、厳めしくなくリラックスできるのが欧州プレミアムとの違いだろう。また、フロントシート裏に2列用のモニターがあり、車内天井にも大きなモニターが備わっている。2列目や3列目に、子供が乗ったときに楽しめるような装備だ。つまり、このクルマは家族や仲間とワイワイ楽しく乗ることも、大きな目的のひとつなのだ。

ファミリーユースにもオススメできる。キャデラック エスカレード


最初は、幅2mを超えるサイズ感にとまどうが、少し慣れてしまえば、それほど扱いが難しいわけではない。ボディがスクエアで、車体感覚が分かりやすい。さらにセンサーが危険を察知するとシートを振動させて警告する「セーフティアラートドライバーシート」などの運転支援も用意されているからだ。

そうして巨体に慣れてくると、エスカレードの走り味も見えてくる。6.2リッターのV8エンジンのたっぷりとしたパワーがあれば、2.6トンの巨体であっても意外に軽快に走る。とはいえ急かされる感はなく、どこかにゆったりとしたフィーリングが残る。フラットな姿勢をキープする乗り心地は、基本的に同乗者に優しいものであった。大海を進むクルーザーのような走りが似つかわしいだろう。


3列シートを備えるエスカレードを、もっとも強くお勧めしたいのがファミリー層だ。日本でファミリー・ユースとなればミニバンを思い浮かべるだろうが、3列シートのSUVという選択肢もある。スライドドアを備えるミニバンは車内へのエントリーに優れるが、それ以外の面ではSUVに分がある。走る、曲がる、止まるという走りは確実にSUVが勝るし、雪道やオフロードといった足場が悪いときもSUVの方が安心だ。そして何もより見た目は、どう考えてもミニバンよりもSUVの方がいい。

「ファミリー・ユースで、しかもプレミアムが欲しい」というのであれば、エスカレードを候補のひとつに考えてみることをお勧めしたい。

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