オーナーになって一年。電気自動車「リーフ」は中古で買ってこそおいしいを実感した!購入レビュー

日産 リーフ 2016

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日産リーフ、言わずもがな100%電気自動車のトップランナーといえるモデルだ。初代のデビューは2009年、そこから幾度かのマイナーチェンジにより性能をアップしつつ、2017年にはフルモデルチェンジを果たした。

じつはドアは初代と二代目で共通だが、そんなことを感じさせない大変身したルックスやバッテリーのグレードアップによる実用性アップの効果もあって、その人気は加速している。2019年にはバッテリー総電力量62kWhの「リーフe+」が登場、航続距離だけでなくパワーアップも果たした。

2019年3月時点での世界累計販売台数は40万台オーバー。名実ともに世界一の電気自動車といえる。

文/写・山本 晋也
Chapter
世界でもっとも売れている電気自動車「日産リーフ」
あえて初代モデルの日産 リーフを購入することにした理由
衝突被害軽減ブレーキがついていたから後期型を選んだ
電費は季節によって変わる、秋がリーフのベストシーズン
航続距離は満充電でも200km足らず、でも不満はない
静かでスムース、クルマへの要求レベルが上がってしまった

世界でもっとも売れている電気自動車「日産リーフ」

そのリーフがフルモデルチェンジした際、いま自動車メディアに寄稿をしている立場として、このリーフを味わっておくべきだと思った。レンタカーやシェアリングで味わうこともできるが、自宅に充電設備を整え(といっても普通充電器対応のコンセントを用意するくらいだが)、電気自動車のある生活を体感することで見えてくるものがあるのではないかと考えたのだ。

個人的には、初めてハイブリッドカーを購入したのも20世紀で電動車両へ期待しているという面もあるが、ようは単純な好奇心として電気自動車のあるカーライフを送ってみたかった。

あえて初代モデルの日産 リーフを購入することにした理由

リーフの購入を具体的に検討しはじめたのは2018年2月頃。その段階で選択肢は新車で2代目リーフを買うか、中古で初代リーフを買うかの二つがあった。この時期、初代リーフの初期型が非常に安価で中古車市場に流通していたのが話題になっていたのだ。40万円以下で売られていることも珍しくなかった。

そうした安価な初期型リーフは「セグ欠け」といってバッテリーの充電能力があからさまに落ちている個体がほとんどだった。満充電で100kmを走れるかどうかというコンディションも少なくなかったが、それはそれで体験としてはおもしろそうだ、とも思った。この頃は実用性よりも好奇心が優っていた時期だ。

リーフの中古車から抜き出したバッテリーを組み直したリビルト品も出てくるという情報も出始め、「人柱として初期型リーフを味わってみるか!」という気分にもなっていた。

その一方、2代目リーフのセールスポイントである運転支援システム「プロパイロット」や「プロパイロットパーキング」については仕事柄、味わう機会もあり、最新のリーフへの物欲も高まっていった。

中古で40万円にするか、新車で400万円にするかという選択肢は通常のクルマ選びでは考えづらいものだが、電気自動車のある生活ありきのクルマ選びでは、この両極端な条件であっても真剣に悩むことになった。

そうして様々な条件を考えていった結論は、第一に予算的な問題から初代リーフの中古車をターゲットとすることだった。つまりプロパイロットは諦めることにした。

衝突被害軽減ブレーキがついていたから後期型を選んだ

ただ、運転支援システムはつかないまでも、2018年のクルマ選びとしては、せめてAEB(衝突被害軽減ブレーキ)は装備したい。そう考えると初代リーフの後期型から探すことになる。

ターゲットは2015年末に実施されたマイナーチェンジで「エマージェンシーブレーキ」と「車線逸脱警報」機能を備えた以降のモデルだ。このとき、同時にバッテリー総電力量を30kWhに増やし、カタログ値の航続可能距離を280kmまで伸ばしたグレードも追加されている。こうなると30kWh仕様が欲しくなってくる。

該当モデルの2018年3月頃の中古車相場は、走行距離やグレードにもよるが150万円以上200万円以下といった価格帯だった。これなら何とか予算内に収まりそうだ。そうして見つけたのが、2016年6月に登録されたリーフXグレードだった。

バッテリー総電力量は30kWhで足元は16インチのスチールホイールだったが、ヘッドライトはオプションのLEDタイプとなっていた。購入時のオドメーターは8500km程度、内外装のコンディションもよかったのも決め手だった。

事前に調べていた個体ではなかったが中古車センターの店頭で見つけて即決、その場で手付金を払ったほど、すべての面で自分の条件を満たしていた。中古車探しは一期一会というが、この出会いは逃してはならないと感じるほどビビッと来た。

ボディカラーについては優先度が低かったのだが、この個体はダークメタルグレーだったのもズボラな性分の自分としては汚れが目立ちづらいという意味でピッタリだったのだ。

諸費用を含めた支払いは170万円弱。新車価格がおよそ364万円のクルマが、1年半程度でここまで市場価格が落ちてしまうのは、このリーフの新車販売当時の補助金が最大51万円もあったことが影響しているというが、それにしても国産車としては値段の落ち幅が大きい。

リセールバリューの維持は、クルマのブランディングにおいては重要な要素だからして、ここまで価格が落ちてしまうのは日産にとっては課題なのだが、ひとりのユーザーとして見ると2年足らずで半額になってしまうというのは手が届きやすくなっているという点でうれしいポイントだ。

さらに、現代でも実施されているが、中古車のリーフに対して『4年間充電代サポート』といったキャンペーンがある。日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2(ZESP2)の使いホーダイプランが2年間無料なのに加えて、さらに2年分相当の商品券がもらえるのだ。

簡単にいうとZESP2の対象となっている急速充電器の利用が4年間タダというキャンペーンだ。つまりエンジン車でいえば4年間の燃料代がかからないのと同義である。燃料代が年間にいくらくらいかかるかは個人差もあるだろうが、4年間の燃料代込みでの価格と考えると、いかにもリーズナブルだ。

当初は、電気自動車のある生活への好奇心からのクルマ選びだったが、コストの面でも“おいしい”選択になりそうだという予感も生まれてきた。ちなみに、ZESP2に加入するには日産カード(クレジットカード)への入会が必要だが、カードの年会費(1,350円)を考慮してもお得なプログラムだ。

納車前に、自宅駐車場に車両に付属する普通充電器用の専用コンセントを設置したが、これも補助金でカバーできたので自己負担はゼロ円。
電気自動車を始めるには悪くないタイミングだったとニンマリしながら、いざ納車。

そうして日々の足として使い始めると、まず感じたのは近距離ユースでのストレスがなくなっていること。エンジン車を近距離ユースで用いると、エンジンの暖機が十分にできないことで機械に負担をかけているという意識になるが、電気自動車ではそうした感覚はないのは発見だった。

ちょっとした用ならば歩いたほうが健康にはよいという指摘も甘んじて受けるところではあるけれど…(汗)。

電費は季節によって変わる、秋がリーフのベストシーズン

そんなこんな、およそ一年でオドメーターは6000kmほど増えていた。月平均でいうと500kmくらいの走行だが、日産の用意しているスマートフォン用専用アプリ「NissanConnect EV」で確認すると、ほぼ毎日乗っている。

2019年3月でいえばリーフを運転したのは26日。月間の走行距離は476kmとなっていた。さて、このアプリが便利なのは毎度の走行、月間平均の電費(km/kWh)が表示されること。そして毎月の電費を見ていると、予想以上に外気温などの影響で電費に変化が出ることが見て取れる。

季節ごとにピックアップして月平均電費を記すと次の通り。

春(4月)7.4km/kWh

夏(7月)6.9km/kWh

秋(10月)8.2km/kWh

冬(1月)6.8km/kWh

それぞれ月間の走行距離も異なるので、あくまでもパーソナルなデータでしかないが、秋の電費が頭一つ抜け出して優れているのがわかる。春や秋は空調を使わないで済む日が多いというのも好電費に貢献しているのだろうが、それにしても10月の電費の良さは走っていても違いが実感できるものだった。

リーフのバッテリーは空冷式のため、夏場は急速充電や負荷のかかる高速走行などで温度上昇してしまうが、秋から冬にかけてバッテリー温度計は安定している。冬になると、逆にオーバークール気味でバッテリーの性能を引き出せていない印象がある。

こうした性能差は急速充電時に実感できる。いつも利用している充電器でも、季節によって電気の入り方が異なるのだ。具体的には急速充電器に示される電流(アンペア)の数値が季節によって変わってくることから感じられる。

ようはちょうどいいシーズンに比べると、寒くても暑くても同じだけの充電をするのに時間がかかるようになるというわけだ。

航続距離は満充電でも200km足らず、でも不満はない

急速充電器の多用はバッテリーに負担を強いるとは知っていても、前述したようにZESP2がほぼ無料で使える期間ゆえに、やはり急速充電がメインとなるが、意外にも100%まで充電することはない。

リーフの航続可能距離表示がかなり正確なため、必要なだけ充電しておけば事足りるからだ。おおむね50~80%の充電率で使っていれば日常的なカーライフにおいて不満はないのだ。

電気自動車というと急速充電器で30分かけて80%まで充電できるというイメージもあるが、実際にはバッテリーの充電率を見ながら時間的な余裕のあるときに10分程度のちょい足し充電することが多い。生活圏にある急速充電器が空いているときに(これはアプリで確認できる)、ちょっと立ち寄って充電するといった使い方がメインとなる。

たまに片道100km程度の移動をすることもあるが、そうしたときには前日の夜間に普通充電で100%まで充電しておく。だいたい100%まで充電するとリアルワールドで180~200kmが走行できるので、往路か復路で時間のあるときに急速充電で少し足してやれば問題なく往復できる。だから、急速充電器で行列をしたり、奪い合うなんて光景は見たことがない。

休日にしか使えないユーザーの間では起きているのかもしれないが、個人的には実際に急速充電器が混んでいて困ったというケースはない。ギリギリまで使わなければ焦って充電する必要もないからだ。ある程度の理解をしていたというのもあるが、自分の生活においては、電気自動車のネガといわれる航続距離について不満を感じたことはない。

静かでスムース、クルマへの要求レベルが上がってしまった

もちろん、リーフの走りが完璧というわけではない。床下にバッテリーという重量物を積んでいることによる低重心であったり、フロア剛性の高さであったりというパッケージングが生むコーナリングの良さはあるが、車格に対して車重があるためかリアの突き上げ感が強いという欠点もある。

加速についてもモーターの特性を活かして出足は鋭いが、そこからの伸びは期待するほどではなかったりもする。それでも、走行中の排ガスがなく、ノイズや振動が少ないという電気自動車のメリットがどんどんと自分の中に染み込んでくるのを感じる。

排ガスの臭さがないことの爽やかさ、変速ショックや振動がほとんどなく、さらにアクセル操作へのリニアリティが優れていることの気持ち良さを乗るたびに実感する。とくに歩道の段差を乗り越えるときの少しだけ駆動トルクを与えるようなシチュエーションでのリニア感というのはエンジン車ではあり得ないほどで、右足とタイヤの一体感がある。

正直、このレベルのリニアリティを持っているエンジン車というのは乗ったことがない。だから最近では、どのエンジン車を運転してもリニアリティやピックアップの面については「イマイチ」と感じてしまうのも事実だ。
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