およそ2年ぶりに復活を遂げた、新型 BMW Z4。その走りとインターフェースに迫る

Z4の歴史を振り返ってみる

BMW 初代 Z4

およそ2年ぶりの復活と言っていいだろう。BMWのデザインに変革をもたらした1人であるクリス・バングル氏がデザインを担当した初代(E85/E86系)が日本に導入されたのが2003年。

同社のZ3の上位モデルと言うこともあり導入時は3L直6エンジンのみだったが、その後2.5L直4なども追加され、ロードスター/クーペといったバリエーション展開も積極的に行われた。

BMW 2代目 Z4


続いての2代目となるE89型は2009年に日本で発売開始。バングルの後継者とも言われたアドリアン・ファン・ボードイング氏のデザインは同社のデザインの流れを継承しつつ、より伸びやかなラインを特徴とした。

何よりも初代のソフトトップからアルミ製の電動リトラクタブルルーフが採用された点は最大の特徴。約20秒で開閉するルーフ構造により高速走行時などの快適性を向上させた点は時代の要求によるものでもある。

BMW Z4 萩原文博


そして約2年ぶりに市販を開始したのがG29型となる3代目だ。すでに2017年の段階でコンセプトモデルが公開されていたが当時、市販モデルの噂はあまり聞こえてこなかった。中には「3代目はひょっとしたら発売されないのではないか?」という根も葉もない情報も流れたほどだ。

もちろんグローバルで見ればこの市場自体が縮小しているわけではない。各メーカーがオープンモデルを投入することは地域差があっても売れる土壌は十分にあるということの証明。さらにニュースとなったトヨタ・スープラへのエンジニアリングの共有化も含め、今回の登場、いや言い換えれば「復活」という表現の方がしっくりくるのである。

基本コンポーネンツはスープラとシェア

BMW Z4 萩原文博


実車を見てまずボディサイズが拡大していることを強く感じる。全長で85mm、ここまではデザインの考えなどから納得するが、全幅も75mm拡大されている。一方で運動性能向上も狙いホイールベースは25mm短くなっている。

3代目のデザイナーはカルヴァン・ルーク氏だが8シリーズ同様、新時代のBMW車の礎ともなるモデルに仕上げてきたことを公言している。

特にホイールハウスを覆うようにデザインされたエンジンフードやボディ側面を空気の流れをイメージさせるキャラクターラインは従来の軽快さよりも安定感のある佇まいを感じさせる。

BMW Z4 萩原文博


用意された試乗車は3L直6DOHCターボに8速ATを組み合わせる。最高出力:340ps(250kW)/5000rpm、最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-4500rpmのスペックは申し分ないが、軽くアクセルを踏み込んだ際の印象は旧型とはやや異なる。

あくまでも「軽く踏んだ」状態では正直1570kgという車両重量からか、やや緩慢な印象を受けた。ただ誤解のないように言っておくとあくまでもZ4の旧型やライバル車として想定されるであろうポルシェ718ボクスターとの比較である。

もちろんそこからアクセルを踏み込めば振動が少なく滑らかかつ自分の気持ちに忠実によどみなくパワーが出てくることは間違いない。

走り味は、安定志向。さらにはオープンとは思えない剛性。そしてソフトトップの採用。

BMW Z4 萩原文博


ハンドリングの印象としては良い意味での「安定志向」であると感じた。旧型が路面状態によってはやや流れやすい傾向(ボディの揺れに起因するもの)を示していたのに対し、新型はホイールベースが短くなったのに常にしっかりと路面を掴んでいる感じ。ボディ剛性の高さも含めてだがこれがオープンカーなのか?と思わせるほど接地感プラス安定感が高い。


BMW Z4 萩原文博


さらに言えばルーフのクローズ時の静粛性が高い点も大きな魅力である。個人的には旧型のようなハードルーフを採用することで「1台で2台分のクルマ(クーペ的に使える)を所有できる感覚」が好きだった。理由はハードルーフの方が高速走行時における頭上を含めた外部からのノイズの侵入の点で有利だからだ。

BMW Z4 萩原文博


しかし新型の電動ソフトトップの仕上がりもなかなかのレベル。後述するオーディオシステムとの相性も良く耐候性も高い。これならば高速走行時に会話を楽しんだり音楽を聴く環境としても十分である。

幌に戻ったのは軽量化による運動性能の確保であることは容易に予想できるが、それにプラスして耐候性や静粛性、さらに約10秒で開閉、約50km/h以下であれば走行中の操作も可能とする利便性も含め、大きな進化とも言えるだろう。

Z4にもAI技術。BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントを導入

BMW Z4 萩原文博


現在、世界の自動車メーカーやサプライヤーが「CASE(日本語に略すと、コネクテッド、自動運転、シェアリング、電気自動車)時代に舵を切る中、BMWも独自の路線で戦略を打ち立て実装を始めている。そのひとつが「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」である。

簡単に言えば、昨今流行り?のAIを活用(個人的にはAIの定義からすれば、まだまだ子供レベル)することで情報取得や車両の操作などを音声認識で行う機能だが、意外と反応や認識が良い。

もちろん発話する側のクセなどもあるのだが、オープン状態でも認識率は高い部類で、さらに言えば「OK、BMW」だけでなく、任意に呼びかける単語を設定できる点は愛着感も沸いてくる。

BMW Z4 萩原文博


AIの専門家に聞いたことがあるが、実は日本語の認識はそれほど難しくなく、逆に簡単と思われがちな英語は米国で言えば州によって異なるイントネーションなどが認識に影響するケースがあるとのこと。

ただ細かいことはさておき、UI(ユーザーインターフェース)の敷居を下げてくれることは運転中の操作を簡略化し安全運転にも寄与できる点は評価したい。

BMW Z4 萩原文博


今回の試乗車は最上位グレードのM40iだったが、直6ならではのスムーズな加速フィーリングはゾクゾクするほど気持ちが良い。ただ、その分、価格も車両本体価格で835万円はおいそれと手が出る価格でもない。

だからと言ってグレードを下げるのではなく、直4エンジンを搭載する20i系であれば566万円からのスターティングプライスで手に入れることができる。

またメーカーオプションの「harman/kardonサラウンドサウンドシステム」は5万4000円高になるがこれは是非装着をオススメする。専用設計であることはもちろんだが、オープン時でも音の定位がしっかりしており、それでいてあまりサラウンド効果に嫌みがなく自然な音作りになっていることも理由のひとつだ。

残念ながら前述した最廉価グレードには設定がないこともあり、購入を検討するのであれば615万円の「sDrive20i Sport Line」からが実質検討すべきグレードになるだろう。

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私の永遠の1台 VOL.26 BMW 2002ti
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