三大チューナーのつくるスペシャルポルシェ「RUF」「ゲンバラ」「シュトロゼック」とは?

RUF CTR

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ドイツの誇るスポーツカーであるポルシェにこだわり続け、特別なモデルを輩出してきた三大チューナーをご存じでしょうか。チューナーの範疇を超え自動車メーカーとして認められている「RUF(ルーフ)」、かつてニュルブルクリンクで最速タイムを叩き出したこともある「ゲンバラ」、独創的なスタイリングで注目を集めた「シュトロゼック」。そんな3つのチューナーが手がけたポルシェについて紹介します。

文・西山昭智
Chapter
自動車メーカーとしての矜持が込められた1台:ルーフ CTRイエローバード
フラッグシップに冠される“雪崩”:ゲンバラ アヴァランシェ
個性的な顔つきとグラマラスなデザイン:928シュトロゼック ウルトラ

自動車メーカーとしての矜持が込められた1台:ルーフ CTRイエローバード

画像:RUF Automobile GmbH

創業者アロイス・ルーフによって立ち上げられたルーフ(RUF)オートモービル。その歴史は古く1939年までさかのぼることができます。

初期にはVWのチューニングを手がけていた以降、歴史のほとんどをポルシェとともに歩んできたRUFは、ドイツ自動車工業会に所属している自動車メーカーです。

ユーザーの要望に真摯に向き合い仕上げられたルーフの各モデルには、オリジナルのパーツや独自の技術が用いられ、最高のパフォーマンスを発揮するほか、レストア部門も持ち、新旧ポルシェの整備や修理も手がけています。

そんなルーフを代表するモデルといえば、CTRでしょう。930型をベースにして1987年に発表されたこのモデルには、鮮烈な黄色のボディカラーにちなんで”イエローバード”というペットネームが与えられています。

CTRは、当時、フェラーリ F40の323km/hという市販車世界最速記録を塗り替える、339.8km/hをマークしたことで一躍その名が世に広まりました。

エンジンは空冷水平対向6気筒をボアアップさせ排気量を3.4Lまで拡大。ツインターボを備え、最高出力469ps最大トルク553Nmを発生。ボディパネルはアルミ、バンパーはグラスファイバーを用い、ロールケージで剛性を高め、ミラーも空力を考慮した専用パーツが使われていました。

さらに翌年の1988年には、トランスミッションを5速から6速MTに換装した後期型CTRで、342km/hをマーク。ルーフ=最速のポルシェとして認知されました。

製造されたコンプリートカーは30台のみで、その他に専用キットによって仕上げられたコンバージョンモデルも存在しています。

CTRは911のモデルチェンジに合わせるように、CTR2(993)、CTR3(997)へと進化します。なかでもCTR3は、エンジンをミドシップ化するなど大幅なモディファイが行なわれたことで話題を集めました。

フラッグシップに冠される“雪崩”:ゲンバラ アヴァランシェ

1979年に創業者ウーヴェ・ゲンバラによって立ち上げられた会社で、当初はBMWやポルシェのインテリアを手がけていました。

本格的にポルシェのチューニングを開始したのは1981年のことで、この年にフラットノーズに改造された911を発表しています。

ゲンバラは、ニュルブリンク北コースのラップタイムにこだわり、1994年に発売した993型ベースのルマン ビターボ530で、当時の最速タイムとなる7分52秒を記録。さらに2000年代には、996 GT3ベースのビターボ GTR600で7分44秒というタイムをマークしました。

とはいえ、ゲンバラという名前が一般のユーザーにも知られるようになったのは、1985年デビューのアヴァランシェ。雪崩という意味を持つアバランシェは、ベースの930ターボをフラットノーズ化、横幅を広げられたリアフェンダーはルーバーの付いたワイドバージョン、さらにインテリアにも贅を尽くしたモデルで、エンジンチューニングは上記で紹介したルーフが担当していたことでも有名です。

アバランシェのネームは、その後、フラッグシップ的なポジションにおかれ、2000年代になると997ターボをベースにしたアヴァランシェ GTR750 エボを発表。

2017年のジュネーブショーでは、最高出力800ps最大トルク950Nmを謳う新型アヴァランシェが発表されました。991ターボをベースにし、性能だけでなく戦闘的なスタイリングでも話題を集めました。

個性的な顔つきとグラマラスなデザイン:928シュトロゼック ウルトラ

ヴィットリオ・シュトロゼックによって創業されたシュトロゼック デザイン。街中やサーキットで、圧倒的な存在感を放つデザインが人気のチューニングメーカーです。

イタリアに出自を持つ家系に生まれた創業者によるデザインは、ポルシェらしからぬ個性的なヘッドライトや流麗なボディラインが特長で、911だけでなくボクスターやケイマン、近年ではカイエンなどをベースにしたモデルも手がけています。

そんなシュトロゼックの名を知らしめたのが、FRの928をベースにした928シュトロゼック ウルトラ。ポップアップ式ヘッドライトを大胆にもプロジェクタータイプへ換装し、グラマラスにワイド化されたフェンダーが特長です。

928のカスタムではケーニッヒが有名ですが、このシュトロゼック版928も世界的な名車としていまも多くのファンを魅了しています。

同じポルシェをベースにしながらも、それぞれの思想やこだわりによって、三者三様の個性が光るスペシャルなチューンドポルシェ。市販された数も少なく、現在ではほとんど見かける機会さえない希少なクルマばかりです。

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