ディーノはいかにしてフェラーリの伝説となったのか?

フェラーリ ディーノ

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1967年に発売されたディーノ 206GTは、ディーノブランドを名乗った初めての市販車であり、フェラーリ初の量産ミドシップカーであったこと、小排気量のV6エンジンを搭載していたことなど、歴代フェラーリのなかでもエポックな存在でした。現在の価値は、世界的オークションやマニア同士の売買で1億円近くの値段がつくこともあるほど高く、マニア垂涎のモデルとなっています。ディーノとは、どのようなクルマなのでしょうか?

文・杉山敬太
Chapter
亡き息子への思いを込めた車名
ディーノ 206GT
ディーノ 246GT/GTS
新型ディーノも噂されている⁉

亡き息子への思いを込めた車名

ディーノという車名は、フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリの息子アルフレード・フェラーリの愛称”アルフレディーノ”に由来しています。

アルフレードはフェラーリの後継ぎとして期待され、学校を卒業後エンジニアとしてフェラーリ社に入り、フェラーリの代名詞でもあるV型12気筒エンジンよりも小さい、V型6気筒エンジンの開発に情熱を注いでいましたが、難病のためエンジンの完成を見ることなく24歳という若さでこの世を去ってしまいます。

アルフレードが亡くなった翌1957年、フェラーリはF2レースに65度のバンク角を持つ1.5L V型6気筒エンジンを積んだシングルシーターを投入します。車名は「ディーノ156 F2」でした。

この65° V6エンジンは、排気量拡大や改良を受けながら、F1やスポーツカーレースに投入。1965年には、見慣れた横長のエンブレムを付けた166Pがレースデビュー。その後、65° V6エンジンを積んだモデルは、ディーノという独立したブランドになります。

新しいブランドを名乗った背景には、若くして他界した愛息への特別な思いがあったのではないでしょうか。

ディーノ 206GT

マニア垂涎のディーノ 206GTが発売されたのは、1968年のこと。当時のF2レースのホモロゲーション用に企画されたものでした。

そのホモロゲーションは、連続した12ヶ月間に500台以上が生産された量産車のユニットを使用すること。そのためフェラーリはフィアットと協力してロードカー向けにエンジンを再設計。フェラーリとフィアットで、それぞれディーノというモデルを販売することになりました。

フェラーリの販売したディーノ 206GTは、アルミボディで車重わずか900kg。その車体の中心に2.0L V6エンジンを搭載することで、それまでにないライトウェイトスポーツカーを実現できたのです。生産台数は2年で約150台と少なく、世界的に希少なクルマであると言えます。

エンジン:65度V型6気筒DOHC 
排気量:1,987cc 
最高出力:185ps/8,000rpm
駆動方式:MR
車両重量 :900kg

全長×全幅×全高:4,150mm×1,700mm×1,115mm
ホイールベース:2,280mm
トランスミッション:5速MT

ディーノ 246GT/GTS

F2の出場条件を満たし、エンジン排気量にこだわる必要がなくなったフェラーリは、ポルシェ911に対抗するため、2.4Lのエンジンを積んだディーノ 246GTを開発しました。

ボディやエンジンの一部をスチール製に変えることでコストダウンを図り、より安価に製造することが可能となりました。また、ホイールベースが伸びたことで操縦安定性が高まり、先代よりも扱いやすいロードカーとなったのです。生産台数は6年間と長く、販売台数は206GTを上回る3,761台でした。

エンジン:65度V型6気筒DOHC 2,418cc 
最高出力:195PS/7,600rpm
駆動方式:MR
車両重量 :1,080 kg

全長×全幅×全高:4,235mm×1,700mm×1,135mm
ホイールベース:2,340mm
トランスミッション:5速MT

新型ディーノも噂されている⁉

復活がうわさされているディーノ。プロトタイプの目撃情報もありますが、はたしてそれがディーノと名乗るモデルなのかはまだわかりません。

またフェラーリが開発に携わったV6エンジンはすでにありますが、新しいディーノに搭載されるのはもっと小さい4気筒とも言われています。そういったもろもろの噂は、2019年3月開催のジュネーブショーで明らかになりそうです。

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