ペダルの踏み間違いはなぜ起こる?について考えてみた

アクセルペダル

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煽り運転のニュースが増えたためか、ここのところペダル踏み間違え事故のニュースは減ったような気がしますが、以前から気になっていたテーマなので改めて考えてみました。

文・大田中秀一
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いつもCarMeをご覧いただき誠にありがとうございます。
一部、記事内容を加筆・修正いたしました。
(2019年3月4日)
Chapter
なぜペダルの踏み間違えは起こるのか?~仮説~
なぜペダルの踏み間違えは起こるのか?~想定原因~
なぜペダルの踏み間違えは起こるのか?~原因の考察~

なぜペダルの踏み間違えは起こるのか?~仮説~

結論から言いますと、”日ごろのペダル操作方法に問題がある”のだと確信しています。

事故を一件一件検証したわけではないので、というか、そういう方面の検証がなされているという記録を見つけられなかったため、あくまでも私の想像です。

ですが、なぜそのような結論に至ったのかをご説明いたします。

なぜペダルの踏み間違えは起こるのか?~想定原因~

常々疑問でした。”なんで踏み間違えるのか?”と。発生のメカニズムが全く理解できない。

踏み間違えて暴走(加速してしまう)するということは、以下の2つのどちらかであると考えられます。

1、「ヤバい!」と思ったときに、ブレーキペダルを踏んだつもりがアクセルペダルを踏んでいた
2、「ヤバい!」と思ったときに、踏んでいるアクセルペダルをそのまま踏み込んでしまった

あっ!と思ったときにまさか2はないだろう。だってアクセルペダルを踏んでいることは自分でわかってるはずなので、ブレーキペダルを踏むつもりで、いま踏んでいるアクセルペダルを更に踏み込むなんてあり得ないのではないか?

あるとすれば1のほうです。しかしその場合、別の疑問が現われます。とっさの時に、ブレーキペダルを踏んだつもりでアクセルペダルを踏んでしまうということがなぜ起こるのか?

考えられることはひとつ。

”アクセルペダルもブレーキペダルも踏んでいない時に足がペダル以外の場所にある”

場合です。床にぺたっと足をおいている、足がどちらのペダルの上にあるのかわからない状態にあるというような場合など。これだと、とっさの時に慌てて踏んだペダルがアクセルだったということがあり得ます。

あり得ますが、ここで更に疑問が現われます。すぐに戻せばいいんじゃないか?

しかしその時すでに体は、そう簡単ではない状況になっていると思われます。関節がない一本の棒のように足が伸びきってしまっていて、もはや戻したくても戻らない状態になっているのです。

では、次項で私なりの考察をお話いたします。

なぜペダルの踏み間違えは起こるのか?~原因の考察~

私はレーシングスクール/ドライビングレッスンのインストラクターを務めることもあるのですが、そこでクルマを走らせる前に教える基本的なことがあります。これは私がこれまでに参加者として参加したどのレッスンでも教えられていることなので、普遍的なものだと言えると思います。

それは次の2点です。

1、ペダルは、かかとを床につけたまま、かかとを支点に足首で操作し、踏んでいなくても常にどちらかのペダルの上に足を置いている
2、ドライビングポジションは、ハンドルを持ったときに肘が曲がっていてくるくる回したときに肩がシートバックから離れないように、そして1のペダル操作ができるように膝も曲がった状態になるように、シートの前後位置とシートバックの角度を調節する

クルマを安全に確実に走らせる繊細な操作ができるために必要なことだと教えています。これは、"必要なときに必要な早さで必要な分だけ操作する”ためには、まずこのポジションで運転席に座っていることが大事だということなのです。

ハンドルやペダルから遠く、手も足も伸びた姿勢で運転していると、ペダルをじわっと踏むような局面、ハンドルもじわっと適切な角度まで回さなければならない局面で、どかんとペダルを踏んでしまったり、ハンドルも一気にぐるんと回してしまい、よろしくない事態を招いてしまいます。

足が伸びた状態だと、かかとをつけた状態でいられないし、そうなるとペダル操作の時に膝を曲げて何かを踏みつけるような感じになってしまい、繊細で微妙な操作ができなくなります。

かかとを床につけずに膝の曲げ伸ばしでペダル操作をしていると、焦ってどかんとペダルを踏んだときに足が伸びきってしまい、元に戻せなくなってしまいます。もし踏んだペダルがアクセルだったら……

適切な姿勢で運転するということは、平常時に危険を呼び寄せないために必要なことだと思っています。

”常に”かかとを床につけていて、”常に”どちらかのペダルの上に足を乗せていれば、自分の足がどちらに乗っているかが自然に意識されるので、とっさの時にも正しい方を踏めるし、そもそも踏み間違えるようなことはないと思います。
ペダル操作に焦点を当てて一例を挙げるとこんな感じです。

1)かかとを床につけたままブレーキペダルを踏んでシフトレバーをDに入れる
2)クリープで動きながらブレーキペダルをかかとは床につけたまま足首でくいくいという感じで踏み込んだり戻したりしながらクリープ(アクセルを踏まなくてもゆるゆると前進後退する状態)でスピードをコントロール
3)かかとを床につけたまま足をアクセルペダルに移し、足首を動かしじわーっと踏み込んで加速する
4)加速が必要なくなったときはかかとを床につけたまま足首を戻し、かかとを床に付けたまま足先をブレーキペダルに移しペダルは踏まずに踏む瞬間を待つ
5)踏むときがきたらかかとを床に付けたまま足首を動かし必要なだけ踏み込む
6)完全に停止して駐車券を取ったり料金を支払うようなとき、鞄をがさがさするなどのように、運転から意識が離れたり姿勢が変わったりするようなときにはDレンジからNに移す。そしてできるだけブレーキペダルは踏んだままにしておく
7)かかとを床につけたまま、あるいはつけ直して足首の動きでブレーキペダルを強く踏みDレンジに入れて……

というような感じです。書き方がしつこくて申しわけありません。

ポイントは次の3点です。

①ペダルはかかとは床に固定
②ペダルは足首をくいくいと動かす感じで踏む
③足先がどのペダルも踏んでいない、あるいはどのペダルの上にもないという時を作らない=アクセルを踏んでいない時はブレーキに備えてペダルの上に乗せている

かかとを床に固定でくいくいという感じで踏んでいれば、有事の際にもふっと戻せばいいですし、膝をさっと引けばパッと足が離れます。

しかし膝でがんと踏んでいるとそれができなくなってしまいます。そうは言っても、車種によってペダルタイプや配置が異なるため理想のポジションが取りにくい、かかとがしんどいというようなことがあるため、理想通りにならないこともあると思いますが、上に書いたようなことを常に意識していれば致命的なことにはならないように思います。

ちなみに、なんでこのようなことを思ったか?

件のスクールで、外から見ていた運転が雑な人、うまく走れないと悩んでいる人、あらぬところでコースを外れ土手を登ってしまった人などのドライビングポジションやペダル操作を確認すると、ペダルやハンドルに遠いし、かかとを床につけずに膝の伸縮でペダル操作をしている人が多いという経験から、きっとこういうことだろうと推定したからです。

気になる方は、エンジン停止状態であれこれ想像しながらやってみてください。特に膝でペダルをどかんと踏んだ状態で足首で戻そうとした場合と比べるとわかってもらえるのではないかと思います。

一人でも多くの人がペダル操作を意識することによって一件でも悲劇が減ることを願ってやみません。

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