60年以上の歴史!クラウンはなぜ今も売れ続けるのか?

トヨタ クラウン 2018

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2018年は1955年に初代モデルが登場して以来60年以上の伝統を持つトヨタクラウンが、15代目モデルにフルモデルチェンジされた年であった。現行型15代目クラウンも2018年6月の登場以来、4,500台の月間販売目標台数に対し発売から1ヶ月でその約7倍となる約3万台の受注を集め、2019年1月も4,660台を販売するという堅調な売れ行きをキープしている。

文・永田恵一
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なぜクラウンは長年に渡って売れ続けているのか
日本での使用を最優先したクルマだから
アグレッシブな面もあるから
ディーラーのサービスの良さ

なぜクラウンは長年に渡って売れ続けているのか

60年以上の伝統を持つ日本車というと、クラウンの双璧のような存在として日産 スカイラインがあるが、スカイラインは特に現行型となる13代目モデルになって以来、残念ながら日本での販売は低迷しており、存在感が薄れている。では、なぜクラウンが長年に渡って売れ続けているのだろうか。

日本での使用を最優先したクルマだから

日本のクルマ造りの黎明期となる1950年代、日本メーカーは海外メーカーとの技術提携やノックダウン生産からクルマ造りに参入したところが多かった。しかしトヨタはアメリカ車を手本とした部分は大きかったにせよ自社開発でクルマ造りをはじめ、初代クラウンは純国産としては初となる乗用車だった。

またクラウンはゼロクラウンと呼ばれた13代目モデル以降中国でされたこともあったが、基本的には日本専用車である。そのため海外での使用をさほど考える必要がなく、日本での使いやすさに重点を置いた開発ができることが、売れ続ける大きな理由だ。

具体的には一時期は1,750mm付近、現在は1,800mmという狭い道の多い日本でも大きな問題なく乗れる全幅をキープしている点、平均スピードの低い日本での使用を重視し、足回りはハンドリングよりも乗り心地を優先した時代があったことなどが挙げられる。

アグレッシブな面もあるから

クラウンが保守的なクルマというイメージが強いかもしれないが、じつは攻めている部分もたくさんあるクルマである。

思い出してみると、技術面ではクジラクラウンと呼ばれた4代目モデルのアヴァンギャルドなスタイル(これは失敗に終わったが)、日本車初となった7代目モデルのスーパーチャージャーや8代目モデルのトラクションコントロールの採用、エンジンを長年続いた直6からV6に替え、クルマの土台となるプラットホームも一新したゼロクラウンなどが印象的だ。
またバリエーションでも9代目モデルでクラウンとセルシオの間の車格となるマジェスタを加え、11代目から14代目ではスポーティなイメージのアスリート系の登場、14代目では6気筒エンジンのイメージが強いクラウンのパワーユニットを4気筒2.5ℓのハイブリッドを中心に替えた。

ほかにも限定色でのピンクやマイナーチェンジ後の空色(ブルー)などの特別色の設定、ドイツニュルブルクリンクでの開発も行った現行モデルなど、考えれば考えるほどクラウンは保守的なクルマではないことが分かる。

ディーラーのサービスの良さ

特に地方でクラウンの新車を買うと整備の際にクルマを取りに来てくれることも多いようだ。クルマを取りに来てくれるというのはレクサスでもやっておらず、こういった手厚い付き合いもクラウンが売れる理由の1つだろう。

といったクルマだけに、クラウンは日本で法人、個人使用とも高いステータスを持つようになり、7代目モデルでは「いつかはクラウン」という重い意味を持つキャッチコピーも生まれ、日本人が考える「ゴールのクルマ」の1台となった。また売れているクルマだけに、買い替え需要の土台となる母体需要が多いことも、売れ続ける大きな要因だろう。

しかし、最近日本では価格を含めメルセデス・ベンツやBMWといった輸入プレミアムブランドも買いやすくなってきたことや、クラウンのようなポジションを持つクルマとしてトヨタ社内でアルファード&ヴェルファイアも台頭してきているのも事実だ。

またクラウンはずいぶん前から言われていることだが、前述した2つの要因も影響しユーザーの平均年齢の高齢化というのも大きな課題となっており、クラウンも決して安泰ではないというのも事実だ。

それだけにクラウンが今後どのようにしてクラウンらしさやクラウンならではの魅力を保っていくのかというのは、メーカーにとっては難しく、ユーザーとしては注目したいテーマになるのではないだろうか。

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