【ジョバンニ・ペトロルッティの視点】まだまだ立場の弱いEV、真打ちの登場はまだか

時代はEVへ

日産 リーフ

もちろん、日産が早くからEV開発にシフトしたのは、HVの開発でトヨタ・ホンダに出遅れたというのが一理あるかもしれない。

リーフ発売当時の日本では、「プリウス」が我が世の春を謳歌し、欧州ではディーゼル車がポピュラーな内燃機関として定着していた。しかし、中国のEV優遇策、ディーゼルゲートに端を発した欧州のEVシフト、アメリカのZEV法など、時代は徐々にEVへと傾きつつある。

日産 リーフ

しかし先日、アメリカでは米下院共和党の税制改革案に、EV購入者を対象とした税控除の廃止を盛り込んだとの報道があった。EV普及の是非は、ドナルド・トランプのような時の権力者の”ご機嫌”に委ねられているというべきであろうか。

日本ではプリウスが首位の座を明け渡し、「ノートe-POWER」というリーフの技術を流用したHVが人気となっている。盛者必衰というべきか、未来がどうなるかは誰にも分からないのである。

前振りが長くなってしまったが、今回リーフをほぼ丸1日試乗する機会を得た。「EVかガソリンか」の二者択一論ではないというのが私の見解だが、日常の足として使用した場合どうなのかというのを中心にレポートしてみたいと思う。

意図的に”普通”を狙ったデザイン

日産 リーフ

まずはデザイン。EVならではの開口部の少ないフロントマスクや、いかにも空気抵抗が少なそうなシルエットが初代の特徴であった。知り合いのデザイナーが電気ナマズと揶揄していたが、彼の好みはさておきEVとしての先進性をアピールするのがデザイン上の狙いである。

日産 リーフ

今回試乗したモデル(と言っても外寸など全体のプロポーションは初代と大きく変わらないのだが)は、初代とはうって変わって”普通”のデザインとなった。

日産 リーフ

元々リーフは、バッテリーを床下に配するため腰高感のあるデザインだったのだが、新型では釣り目具合を抑えたり、ボディサイド下部に水平ラインを配置することで、全体的にロー&ワイドな印象を持たせている。

普及モデルとして、日産は意図的に”普通”を狙ってきているのである。これであれば少なくとも、デザインが販売の足を引っ張ることはないであろう。

EVならではの”充電呪縛”

日産 リーフ

では実際に乗ってみてどうだったか。先日のマイナーチェンジで400kmへと航続距離が伸びたという。初代が200km強だったことを考えると、これならば実用的に十分事足りるというのが巷での評判である。

私がスタッフから受け取った時点でバッテリー残量は約60%、200km程度走行可能という表示だった。その後高速道路を50kmほど走行し、40%を割ったところで海ほたるSAへ入ったのだが、昼時で駐車場は満車状態。

あろうことか充電スペースに軽自動車(もちろん660ccのガソリン車)が停まっていた。マナーの悪さに辟易したが、EVの立場の弱さを感じた出来事だった。

日産 リーフ

備え付けのカーナビには充電スポットが多数表示されており、目的地周辺のコンビニに急速充電があるとのことなので、今回は先を急ぐことにした。これで約20分のロス。忙しい人にEVは向かないかもしれない。

コンビニに到着すると運よく充電スペースが空いていたので、飲み物を買って店内のイートインスペースで時間を潰すことにした。

ショッピングや食事の間に充電、という広告を目にするが、次に立ち寄った大型ショッピングセンターでは、充電の終わったリーフオーナーが、次のリーフに充電スポットを譲るよう館内放送で呼び出されていた。これではおちおち買い物もしていられないではないか。

充電スポットを増やすことも大事だが、もう少し効率の良い充電サービスの登場を願うばかりである。

日産 リーフ

撮影は無事に終了し、帰宅後に再度充電をしようと自宅近くのディーラーを訪れたのだが、営業時間外であったためか充電スペースは展示用の中古車で占拠されていた。ナビには24時間充電可能という表示があるにもかかわらずこれでは充電ができない。

バッテリー残量にまだ余裕があったからよかったものの、ディーラーですらこの対応である。電池残量が1%だったら…と考えると恐ろしくなる。

日産 リーフ

仕方なく少し離れたディーラーへ向い、先約がいたため奥の駐車スペースで待っていたのだが、私の番になった時、後から来た別のリーフが先に充電しようとしてオーナーと一悶着あった。

素敵なドレスを身にまとった美女なら譲る気にもなったが、相手はパジャマ姿の中年男性である。ブツブツと文句を言って彼は立ち去ったが、真っ暗な駐車場で一人虚しい気持ちになった。この日はたまたま私に運が無かっただけかもしれないが。

この日、待ち時間等を含め充電に費やした時間の合計はおよそ1時間半。ガソリン車であれば5分程度で済んでしまう。自宅に充電設備があり、外での充電は緊急時のみと割り切るのが、現在の正しい使い方なのだろう。

しかし、充電のデメリットを除けばスムーズな加速やランニングコストなど美点も多い。日本では年末には登場すると噂される大容量バッテリーモデルこそ、リーフの真打なのだろう。

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文・ジョバンニ・ペトロルッティ/GiovanniPetrolutti
ミラン在住の覆面ジャーナリスト。デザイン工学および自動車工学の博士号をもつなど、自動車および工業デザインの双方に造詣が深い。デザインという感性によりがちなものを論理的に解釈することに努めている。愛車はマツダ・MX-5(初代)。

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