気筒休止エンジン復活! なぜ排気量を減らして走ると燃費は良くなるの?

マツダ CX-5 (2016)

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昔から「歴史は繰り返す」といいますが、自動車技術もいったん繰り返す部分があります。たとえば、かつて流行した『気筒休止テクノロジー』は、2018年になって再び注目を集めています。マツダはCX-5のマイナーチェンジで2.5Lガソリンエンジンに気筒休止機構(通常は4気筒で、状況に応じて2気筒になる)を採用したことがきっかけです。そのほか日本国内で買いやすい気筒休止エンジンといえばフォルクスワーゲン ゴルフの1.4Lターボエンジンも思い浮かびます。

文・山本晋也
Chapter
小排気量エンジンが必ずしも燃費が良いとは限らない
気筒休止エンジンのそもそもの狙い
気筒休止をすることで燃費性能が向上する理由

小排気量エンジンが必ずしも燃費が良いとは限らない

いずれも4気筒エンジンのうち2気筒を休止させるというもので、気筒休止中に働いている部分でいえば、エンジン総排気量は半分になります。

2.5Lエンジンであれば1.25Lになるわけで、直感的に燃費が良さそうと感じることでしょう。小排気量エンジンを積んだ小型車のほうが燃費性能に優れた傾向にあることが、そうした認識を後押しします。とはいえ、必ずしもエンジンの排気量が小さければ燃費性能に有利というわけではありません。

そもそも小排気量エンジンに省燃費イメージが強いのは、小排気量エンジンを搭載するクルマが小型であることが多く、結果として軽量な車体で、燃費に有利な構成となっている面があることは否めません。大きな車体のクルマに極端に小さなエンジンを載せたからといって燃費性能が向上するとは言えないのです。

気筒休止エンジンのそもそもの狙い

車両重量や走行抵抗によって、そのパッケージにおいてバランスの取れたエンジン排気量というのは存在します。

実際、重量級ボディを小排気量エンジンで動かそうとすると発進時や急加速時など負荷のかかるシチュエーションでエンジンが無理をすることになるので、逆に効率的には不利になります。

ハイブリッドではない、内燃機関だけで走るクルマならば、車体サイズ(重量)とバランスのとれたエンジンを無理なく使うことが、全体としては燃費に貢献します。ただし、高速巡航など、限られたシチュエーションにおいては必要なパワーが少なく、エンジン排気量が小さくてもカバーできることがあります。

そうした状況に限って、疑似的にエンジンを小さくすることで効率を上げて、ピンポイントでの燃費を稼ごうというのが気筒休止エンジンの狙いです。

気筒休止といってもバルブの動きを止めるだけであり、エンジンの構造からピストン自体の往復運動が止まることはありません。そのため摩擦抵抗はさほど減りません。一方、バルブを閉じたシリンダーにおいてピストンは圧縮と膨張を繰り返すため圧縮時にはエネルギーを消費しますが、膨張時に相殺されるというふうに考えられます。

気筒休止をすることで燃費性能が向上する理由

では、低負荷のときに気筒休止をするとエンジン効率が上がる理由は何でしょうか。

気筒休止のアドバンテージを理解するには「ポンピングロス」がキーワードになります。同じ空気量を吸い込むときに口が小さければ大きく吸う力が必要になり、逆に口が大きければ小さな力で吸い込むことができるというのは体験的に理解できるでしょうが、前者はポンピングロスが大きい状態、後者は小さい状態になります。

ガソリンエンジンの場合、空気を吸い込む口に当たるのはスロットルバルブで、つまりアクセル開度の大きい状態のほうがポンピングロスは小さく、効率的なのです。

たとえば、高速巡航などの低負荷時に必要なパワーを得るのにスロットルバルブを少ししか開く必要がないと、それはポンピングロスが大きい状態になります。そこで、気筒休止をすると排気量が半分になるわけですからスロットルバルブを大きく開かなくてはなりません。

つまりポンピングロスが小さい、効率的な状況になるわけです。こうして気筒休止をすることで燃費性能は向上するのです。

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