【鈴木ケンイチのダンガン一閃!】EVならではの走りと充実した運転支援—それがリーフの魅力だ

日産 リーフ

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ここ数年、欧州の自動車業界の話題は、EV(電気自動車)に対するものが、驚くほど増えている。それもこれも、2015年に発覚したフォルクスワーゲンによるディーゼル不正による影響が大きい。

文・鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
世界で最も成功しているEV
EVならではの力強い加速と低重心、そして優れた静粛性
最新の運転支援システムの充実も魅力のひとつ

世界で最も成功しているEV

実のところ、それ以前までフォルクスワーゲンをはじめとするドイツ自動車メーカーの多くは、厳しくなる一方の燃費規制に対して、「ハイブリッドではなく、ディーゼル・エンジンで対応する」というスタンスを取っていた。

しかし、不正が明るみになると、一斉に「これからは電動化だ!究極はEVだ」と方針を転換。「これから、どんどんと市場にEVを投入する」と、コンセプトカーを数多く発表するようになったのだ。

しかし、正直なところ、日本から見れば、欧州のEVブームはカラ騒ぎにしか思えない。何を言おうが、結局、欧州ブランドから発売されているEVは、今のところBMWの「i3」やフォルクスワーゲンの「e-Golf」などわずかしかないのだ。

一方、日本では日産から「リーフ」が2010年に発売開始となっている。ほぼ同時期に三菱自動車のEVである「i-MiEV」も発売された。また、商用バンのEVである日産「e-NV200」も2014年に登場している。しかも、「リーフ」に関しては、2017年にフルモデルチェンジし、すでに第二世代となっている。

その「リーフ」の販売数も2018年6月末までに、世界累計で34万台を突破し、EVとして世界最多を記録した。欧州でも過去10万台以上を販売しているのだ。つまり「リーフ」は、少なくとも現時点において「世界で最も成功したEV」なのだ。

そんな「リーフ」が日常的に走り回る日本から見れば、欧州のEVブームも「何を今さら」という印象となるわけだ。

EVならではの力強い加速と低重心、そして優れた静粛性

「リーフ」の走りをひと言で表せば「EVの魅力のそのもの」だ。加速は、スムーズで力強い。これはエンジンではない、モーターならではの特徴だ。モーターは低回転域から大きなトルクが出せるし、ギヤもないからだ。

「リーフ」の最高出力は110kW(150馬力)と、さほどの数値ではないが、最大トルクが320Nmもある。ガソリン車で言えば3リッタークラス相当であるから、必要十分以上の加速力を備える。また、爆発音を発するエンジンがないのだから、静粛性は当然のように高い。

さらに、曲がり角をいくつかこなせば、重心が低く、安定感が強いこともわかるだろう。床下にびっしりと重い電池を積んでいるEVならではの動きだ。つまり、スムーズで力強く、静か。しかも低重心で安定感がある。これが「リーフ」の走りと言える。

そして、それはすべてEVであることが理由となる。ある意味、「EVはどんな走りなの?」と疑問に思う人は、ぜひとも「リーフ」のハンドルを握ってほしい。そこに答えを見つけ出すことができるだろう。
ちなみに「リーフ」にはアクセル操作だけで、加速から停止までをこなす「e-Pedal」もある。これもEVならではの機能だ。モーターは電流を流せば回転するが、逆に電流なしで回転させれば発電する。その発電時のモーターの抵抗力をブレーキに使うのが、「e-Pedal」の原理。

つまり、モーターを、走る方向にもブレーキ方向にも使う。そして、これが使ってみると非常に便利なのだ。急ブレーキは無理だが、普通の交通の流れであれば、アクセル操作のみで対応できる。アクセルとブレーキを踏みかえる必要がないから楽チンそのものである。

また、「リーフ」は、2010年に初代モデルが登場し、2017年に第二世代にフルモデルチェンジした。しかし、内容を吟味してみれば、デザインは一新されているが、技術的には旧型の継承&磨き上げである。劇的な変化はないけれど、熟成は十分にある。

EVの最大のウイークポイントとなる“短い航続距離”は、初代の一充電走行距離200kmから400kmと、最新型では2倍にまで伸びている。また、発売前に散々に心配されていた「リチウムイオン電池の危険性」や「リチウムイオン電池の急激な劣化」に関しても、大きな問題は聞こえてこない。EVに関して言えば、日産の技術は確かなものと言えるだろう。

最新の運転支援システムの充実も魅力のひとつ

熟成されたEVとしての走りに加えて「リーフ」は、先進運転支援システムの充実という魅力が備わる。それが「プロパイロット」と「プロパイロット・パーキング」だ。

「プロパイロット」は、高速道路での、いわゆるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)だ。先行する車両に一定距離を保って追従する機能で、ステアリング操作の補助も行ってくれる。完全無欠の自動運転ではないので、ドライバーがしっかりと見張っている必要はあるけれど、この機能のあるなしで、運転の疲労感は雲泥の差だ。気が楽になり、一度、利用するとやめられなくなるほどである。

一方、「プロパイロット・パーキング」は、駐車作業をシステムが代行してくれるもの。スタート位置に上手にクルマを置くことができれば、面白いように駐車が決まる。安全のため動きがゆったりなので、駐車に慣れている人には、もどかしいかもしれない。しかし、“運転が苦手”“車庫入れ・縦列駐車が苦手”という人には、願ってもない機能だろう。

EVとしての磨き上げられた走りと信頼性に最新の運転支援システムを備えた「リーフ」。しかも、何よりも嬉しいのは、そうした高性能なEVを、普通の勤め人でも手に入る価格で実現しているということ。だからこそ「リーフ」は世界で最も成功したEVとなれたのだ。
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